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漢方偉人伝 森立之(もりりっし)

「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 森立之(もりりっし)」を公開しました!

中国をも超えた日本の医学研究者・森立之とは?不屈の天才が築いた考証医学の最高峰

江戸時代末期、本場中国の医学研究をも凌ぐと評価される偉業を成し遂げた、日本人医師がいたことをご存知でしょうか。

その人物が森立之(もり りっし)です。

書誌学者としては「森枳園(もり きえん)」の名でも知られ、文豪・森鷗外の作品にも登場する人物として知られています。

名門医家の跡継ぎとして将来を約束されながら、一度は失職し、12年間にも及ぶ流浪生活を経験します。

しかし、その逆境を乗り越え、日本医学史に残る偉大な研究を成し遂げました。

今回は、森立之の波乱に満ちた人生と、日本が世界に誇る「考証医学」の功績をご紹介します。

森立之が生涯をかけた「考証医学」とは

森立之が極めたのは、「考証医学(こうしょういがく)」と呼ばれる学問です。

考証医学とは、古い医学書や歴史資料を徹底的に比較・検証し、内容の正確さや本来の意味を明らかにする研究方法です。

単なる経験や伝承ではなく、多くの文献を客観的に照らし合わせながら真実を追究する、極めて学術的な医学研究でした。

なぜ日本で考証医学が発展したのか

考証医学はもともと中国で生まれた学問です。

しかし、医学分野において大きく発展したのは、意外にも日本でした。

その理由には、当時の社会制度の違いがありました。

中国では、科挙に合格した知識人が政治や学問を担っていたため、医師が第一線の学問研究へ進むことは容易ではありませんでした。

一方、日本では医師は知識人として高い地位を持ち、学問に専念しやすい環境が整っていました。

さらに、遣唐使などによって持ち帰られた貴重な古代医学書が、日本では戦乱による焼失を免れ、多数保存されていました。

こうした環境が、日本の考証医学を世界最高水準へ押し上げた大きな理由と考えられています。

名門医家から一転、失職という人生最大の試練

森立之は名門医家の出身で、福山藩の藩医として将来を期待されていました。

しかし、ある出来事をきっかけに失職してしまいます。

その理由については、

・歌舞伎役者と舞台に立ったため
・多額の弁償を伴う問題を起こしたため

など諸説が伝えられています。

真相ははっきりしていませんが、この失職によって立之の人生は大きく変わりました。

12年間の流浪生活でも研究を諦めなかった

職を失った立之は、家族を連れて各地を転々とします。

生活のために、

・按摩
・獣医

などの仕事をしながら、苦しい生活を送りました。

その期間は実に12年間にも及びます。

しかし、そのような逆境の中でも、医学研究への情熱だけは失われることはありませんでした。

地道に資料を集め、古典医学の研究を続けていたのです。

奇跡の復職と怒涛の研究人生

友人たちの支援によって、立之は奇跡的に藩医へ復職します。

ここから彼の研究は一気に花開きました。

膨大な古典医学書を調査し、それぞれの内容を比較・検討しながら、数々の大著を書き上げていきます。

その代表作が『本草経攷注』です。

このほかにも、中国医学の古典に対する巨大な注釈書を次々と完成させました。

古い文献を自在に引用しながら、内容を徹底的に検証したその研究は、当時としては前例のない水準だったと言われています。

現代でも中国が高く評価する研究

森立之の研究は、生前にはほとんど出版されませんでした。

しかし、没後になってその価値が再評価されます。

現在では中国でも出版され、日本人による考証医学の最高峰として高く評価されています。

中には、「本場中国でもこれを超える研究はまだ現れていない」とまで評される著作もあります。

日本人医師が、中国医学そのものの研究史に名を残した非常に珍しい例と言えるでしょう。

森立之が医学史に残したもの

森立之は、一度は人生のどん底を経験しながらも、決して学問への情熱を失いませんでした。

逆境の中でも研究を続け、不屈の努力によって世界最高水準とも評価される医学研究を築き上げたのです。

彼が残した考証医学の成果は、日本だけでなく、中国医学の歴史にも大きな足跡を残しています。

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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦(臨床歴20年)

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦(臨床歴20年)

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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