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苦い・甘い・すっぱいには理由がある|漢方薬の「気味」と五気の力【東洋医学】
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「薬の気味と五気の力」を公開しました!
食べ物や生薬の「本当の性質」とは?東洋医学の四気五味を分かりやすく解説
食べ物や薬の力は、栄養価や味だけでは判断できないことをご存知でしょうか。
東洋医学では、食材や生薬が体を温めるのか、冷ますのか、そしてどのような働きを持つのかを「気味(きみ)」という考え方で捉えます。
気味は、体質や症状に合った食材や生薬を選ぶための重要な判断基準です。
今回は、その基本となる「四気」と「五味」について分かりやすく解説します。

東洋医学でいう「気味」とは
気味とは、食材や生薬が持つ二つの性質を表す言葉です。
一つ目の「気」は、その食材や生薬が体を温めるのか、冷やすのかを示します。
二つ目の「味」は、酸味や苦味などの味と、それぞれが持つ体への働きを表します。
東洋医学では、この気と味の組み合わせを見ながら、体質や症状に適したものを選びます。

体を温めるか冷ますかを示す「四気」
食材や生薬が持つ温度の性質は、「寒・熱・温・涼」の四つに分類されます。
これを「四気(しき)」と呼びます。
寒性と涼性
寒性や涼性のものには、体にこもった熱を冷ます働きがあります。
例えば、
・顔がほてる
・喉が強く渇く
・体が熱っぽい
・炎症がある
といった熱の症状がある時に用いられます。
寒性は冷ます力が強く、涼性は比較的穏やかに熱を冷ます性質です。
熱性と温性
熱性や温性のものには、体を温め、冷えを改善する働きがあります。
例えば、
・手足が冷たい
・寒気がする
・お腹が冷えて痛む
・温かい飲み物を好む
といった状態に用いられます。
熱性は温める力が強く、温性は比較的穏やかに体を温める性質です。

体と反対の性質でバランスを整える
四気の基本は、体の状態と反対の性質を使ってバランスを整えることです。
体に熱がこもっている場合は、寒性や涼性のものを使います。
反対に体が冷えている場合は、熱性や温性のものを選びます。
これは東洋医学における「寒には熱を、熱には寒を」という基本的な治療原則にもつながっています。
ただし、表面上は熱く見えても、実際には体の芯が冷えている場合もあります。
そのため、見た目の症状だけではなく、全身の状態を見ながら判断することが大切です。

食材や生薬の働きを示す「五味」
気と並んで重要なのが「味」です。
東洋医学では、食材や生薬の味を、
・酸
・苦
・甘
・辛
・鹹
の五つに分類します。
これを「五味(ごみ)」と呼びます。
それぞれの味には特有の働きがあり、五臓との関係も深いと考えられています。

酸味は「肝」と関係する
酸味には、緩んだものを引き締め、体から必要なものが漏れ出るのを防ぐ働きがあるとされます。
例えば、汗のかき過ぎや慢性的な下痢などに用いられることがあります。
五臓では「肝」と関係が深いと考えられています。
梅や酢などが、酸味を持つ代表的な食材です。
苦味は「心」と関係する
苦味には、体にこもった余分な熱を冷まし、不要なものを下へ降ろす働きがあるとされます。
また、体内の湿気を乾燥させる方向にも働きます。
五臓では「心」と関係が深いと考えられています。
ゴーヤや苦味のある山菜などが代表例です。

甘味は「脾」を養う
甘味には、体に必要なエネルギーを補い、緊張を緩め、痛みを和らげる働きがあります。
胃腸の働きを支えることから、五臓では「脾」との関係が深いとされています。
米やかぼちゃ、いも類などの自然な甘味が代表的です。
ただし、砂糖を多く含む甘いものを摂り過ぎることとは意味が異なります。
辛味は「肺」に働きかける
辛味には、気や血を巡らせ、体表にある邪気を発散させる働きがあります。
風邪のひき始めに、体を温めて汗を促す食材や生薬に多く見られる性質です。
五臓では「肺」と関係が深いと考えられています。
生姜やねぎ、しそなどが代表的です。
鹹味は「腎」と関係する
鹹味とは、塩辛い味を指します。
東洋医学では、硬くなったものを柔らかくし、体内の不要なものを下へ導く働きがあるとされます。
五臓では、生命力の源とされる「腎」と関係が深いと考えられています。
海藻や塩味を持つ食材が代表例です。
ただし、塩分の摂り過ぎは体に負担をかけるため注意が必要です。

味はどの臓器に働くかを示す目安
東洋医学では、それぞれの味が特定の臓器に届きやすいと考えます。
これを「どこに作用しやすいか」という意味で捉えます。
例えば、
・酸味は肝
・苦味は心
・甘味は脾
・辛味は肺
・鹹味は腎
と対応します。
ただし、酸味を摂れば必ず肝が良くなるという単純なものではありません。

体質や症状に合った量を、バランス良く取り入れることが重要です。
四気と五味を組み合わせて考える
食材や生薬は、四気と五味の両方を持っています。
例えば、温性で辛味を持つものは、体を温めながら気血を巡らせる働きが期待されます。
一方、寒性で苦味を持つものは、体にこもった熱を冷まし、余分なものを下へ降ろす方向に働きます。
このように、温めるか冷ますかという「気」と、どのような働きを持つかという「味」を組み合わせることで、その食材や生薬の性質をより深く理解できます。

体質に合わないものは不調の原因にもなる
体に良いとされる食材でも、すべての人に同じように合うわけではありません。
冷えやすい方が寒性の食材を摂り過ぎると、さらに冷えが強くなる場合があります。
反対に、熱がこもりやすい方が温性や熱性のものを摂り過ぎれば、ほてりや口の渇きが悪化することもあります。
大切なのは、食材や生薬の性質だけでなく、自分の現在の体質や状態を知ることです。
四気五味は自然の力を生かす知恵
東洋医学の四気五味は、食べ物や生薬が体にどのような影響を与えるのかを理解するための古くからの知恵です。
体を温めるのか冷ますのか。
どのような働きを持ち、どの臓器と関係が深いのか。
こうした特徴を見極めることで、毎日の食事や漢方治療に役立てることができます。
ただし、本格的に体質改善を考える場合は、自己判断だけでなく専門家に相談することも大切です。
西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


