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お茶で飲む頭痛薬「川芎茶調散」とは?

「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「お茶で飲む頭痛薬「川芎茶調散」とは?」を公開しました!

川芎茶調散とは?風邪や冷えからくる頭痛に使われる漢方薬

「お茶と一緒に飲む」という、少し変わった使われ方をしてきた頭痛の漢方薬があることをご存知でしょうか。

その漢方薬が「川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)」です。

川芎茶調散は、頭痛を中心とした頭部の症状に用いられてきた歴史の長い処方で、中国・宋代の医書『太平恵民和剤局方』に収載されています。

処方名に「茶」という文字が入っているのも特徴で、古典では薬を細かい粉末にし、食後に清茶とともに服用する方法が記されています。

今回は、川芎茶調散がどのような頭痛に適しているのか、配合されている生薬の特徴や、葛根湯・五苓散などとの違いについて詳しく解説します。

川芎茶調散はどんな頭痛に使われる?

川芎茶調散は、東洋医学でいう「風邪(ふうじゃ)」が頭部に影響して起こる頭痛に用いられる代表的な処方です。

特に、

・風邪のひき始めに頭が痛む
・冷たい風に当たると頭痛が起こる
・頭が締め付けられるように痛む
・頭痛とともに肩や首がこる
・頭痛が中心で、強い胃腸症状などは目立たない

といった場合に検討されます。

漢方では、頭は「諸陽の会」と呼ばれ、多くの陽の経絡が集まる場所と考えられています。

そこに外から「風」や「寒」といった邪気が侵入すると、頭部の気血の巡りが妨げられ、頭痛が起こると考えるのです。

川芎茶調散は、この風邪を発散させながら、頭部の気血の巡りを整えて痛みを和らげていく処方です。

主役となる生薬「川芎」

処方名にも入っている「川芎(せんきゅう)」は、川芎茶調散の中心となる生薬です。

川芎は「血」の巡りを促す代表的な生薬の一つで、特に頭部の症状によく用いられます。

頭痛だけでなく、めまいや月経に伴う症状など、血の巡りが滞っている状態に幅広く応用されます。

古くから頭部へ作用する生薬として重視されてきたため、川芎茶調散でも重要な役割を担っています。

頭のさまざまな場所に働きかける生薬

川芎茶調散の面白いところは、頭痛に関係する複数の生薬が組み合わされていることです。

構成される代表的な生薬には、

・川芎
・白芷
・羌活
・荊芥
・防風
・薄荷
・香附子
・甘草

などがあります。

川芎は頭部の血の巡りを整え、特に頭頂部や側頭部などの頭痛に用いられます。

白芷は額や眉間、鼻周辺など前頭部の症状に用いられることが多い生薬です。

羌活は、後頭部から首筋にかけての痛みなどに使われます。

このように、頭のさまざまな場所に関係する生薬が一つの処方に組み合わされているため、川芎茶調散は頭痛に特化した処方として古くから活用されてきたのです。

「風」を追い出す荊芥・防風

川芎茶調散には「荊芥」と「防風」という生薬も含まれています。

この二つは、体表に入り込んだ「風邪」を発散させるためによく用いられる生薬です。

漢方でいう「風」は、自然界の風だけを意味しているわけではありません。

突然症状が現れたり、症状の場所が変化したりするような病態にも「風」の性質があると考えます。

風邪のひき始めや、冷たい風を受けた後などに頭痛が起こる場合、荊芥や防風によって体表から風邪を追い出す方向へ働きかけます。

薄荷と香附子が巡りを整える

爽やかな香りを持つ「薄荷」も川芎茶調散を特徴づける生薬です。

薄荷は頭や目など上半身の症状に用いられ、こもった状態を発散させ、頭部をすっきりさせる方向に働きます。

さらに「香附子」は、漢方でいう「気」の巡りを整える代表的な生薬です。

ストレスや緊張などによって気の巡りが悪くなると、頭痛や張るような不快感につながることがあります。

つまり川芎茶調散は、「風を追い出す」「血を巡らせる」「気を巡らせる」という複数の方向から頭痛にアプローチする処方なのです。

なぜ「お茶」が名前に入っているの?

川芎茶調散という名前で特に気になるのが「茶」の文字です。

これは、古典において茶と一緒に服用する方法が記されていたことに由来します。

茶にも頭や目をすっきりさせる性質があると考えられ、処方の働きを補助する目的があったとされています。

ただし、現在販売されている川芎茶調散のエキス製剤には、製品によって構成や服用方法に違いがあります。

そのため、現代の製剤を必ずお茶で服用しなければならないという意味ではありません。

実際に使用する際は、製品の添付文書や医師・薬剤師の指示に従うことが大切です。

葛根湯との違い

風邪のひき始めに頭痛がある場合、「葛根湯」と迷うことがあります。

葛根湯では、

・悪寒
・発熱
・汗が出ていない
・首筋から背中にかけて強くこわばる

といった「項背強」が大きな目安になります。

一方、川芎茶調散は、頭痛そのものが症状の中心になっている場合に用いられる処方です。

つまり、首や背中の強いこわばりを伴った風邪の初期なら葛根湯、頭部の痛みが前面に出ているなら川芎茶調散というように、症状全体から使い分けていきます。

五苓散との違い

頭痛に使われる漢方薬として、もう一つ有名なのが「五苓散」です。

五苓散では、漢方でいう「水」の偏りが重要になります。

例えば、

・頭痛
・むくみ
・めまい
・吐き気
・喉が渇く
・尿量の変化
・天候や気圧の変化で悪化する

など、水分バランスの乱れを示す症状がある場合に用いられることがあります。

そのため、気圧の変化による頭痛だから必ず川芎茶調散というわけではありません。

同じ頭痛でも、「風」の影響が中心なのか、「水」の偏りが中心なのか、あるいは別の原因なのかによって選ぶ処方は変わります。

「頭痛なら川芎茶調散」ではない

川芎茶調散は頭痛に用いられる代表的な漢方薬ですが、すべての頭痛に適するわけではありません。

漢方では、同じ「頭痛」という症状でも、

・冷えが関係している
・風邪の初期に起こっている
・水分が停滞している
・血の巡りが悪い
・気の巡りが滞っている

など、背景にある状態を見極めて処方を選びます。

また、突然経験したことのない激しい頭痛が起きた場合や、麻痺、しびれ、ろれつが回らない、意識がおかしい、高熱を伴うなどの場合は、漢方薬を自己判断で使用するのではなく、速やかな医療機関への受診が必要です。

まとめ

川芎茶調散は、中国・宋代から伝わる、頭痛を中心とした症状に用いられてきた漢方処方です。

特に、

・風邪のひき始めに起こる頭痛
・冷たい風などをきっかけに起こる頭痛
・頭痛とともに首や肩がこる
・頭部に症状が集中している

といった状態が処方を考える一つの目安となります。

川芎を中心に、白芷、羌活、荊芥、防風、薄荷など、頭部や風邪に関係する生薬が組み合わされていることも大きな特徴です。

同じ頭痛でも、葛根湯が適する頭痛、五苓散が適する頭痛など、その原因や体の状態によって使う漢方薬は異なります。

「頭が痛いから頭痛薬」というだけではなく、「なぜこの頭痛が起きているのか」を考える。

そこに、漢方ならではの処方選びの特徴があります。

西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。

自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦(臨床歴20年)

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦(臨床歴20年)

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

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