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発疹を出し切る漢方「升麻葛根湯」
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「発疹を出し切る漢方「升麻葛根湯」」を公開しました!
升麻葛根湯とは?発疹が出始めたときに使われる漢方薬を分かりやすく解説
お子さんの体に、赤いポツポツとした発疹が出始めた。

発熱や寒気もあり、風邪のような症状もある。
このような発疹性疾患の初期に、古くから用いられてきた漢方薬の一つが「升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)」です。
升麻葛根湯は、皮膚の表面に現れようとしている発疹を外へ発散させながら、体にこもった熱を冷ます方向に働く処方です。

特に古典では、麻疹などで発疹が十分に現れず、体内にこもっているような状態に用いられてきました。
今回は、升麻葛根湯がどのような状態に適しているのか、配合されている生薬の働きや、葛根湯・麻黄湯との違いについて詳しく解説します。
升麻葛根湯とは?
升麻葛根湯は、発熱や悪寒などの風邪に似た症状とともに、皮膚に発疹が現れ始めた状態に用いられてきた漢方処方です。
漢方では、病邪が体の表面にありながら、十分に外へ発散できていないと考える場合があります。
その結果、
・発熱
・悪寒
・頭痛
・体の痛み
・汗が出にくい
・発疹がうまく出きらない
といった症状が現れることがあります。
升麻葛根湯は、このような状態に対して「解肌透疹(げきとうしん)」と呼ばれる、体表を開いて発疹を外へ出しやすくする方向に働く処方です。

ポイントは「発疹が出始めている」こと
升麻葛根湯を考えるうえで重要なのが、皮膚症状です。
古くから特に麻疹などの初期で、
「赤い発疹がポツポツと出始めたものの、まだ十分に現れていない」
という状態に用いられてきました。
つまり、発疹そのものを無理に消すというよりも、体が外へ出そうとしている反応を助けるという考え方です。
漢方では、発疹が十分に現れず病邪が体内にこもると、かえって症状が長引くことがあると考えられてきました。
そのため、皮膚の表面へ病邪を発散させる働きが重視されているのです。
升麻葛根湯を構成する5つの生薬
升麻葛根湯は、主に次の5つの生薬から構成されています。
・升麻
・葛根
・芍薬
・甘草
・生姜
非常にシンプルな構成ですが、それぞれが明確な役割を持っています。
なかでも中心となるのが「升麻」と「葛根」です。

升麻が発疹を外へ導く
処方名にも入っている「升麻(しょうま)」は、升麻葛根湯を特徴づける重要な生薬です。
升麻には、体表の熱を発散させながら、発疹を皮膚の外へ出しやすくする「透疹」という働きがあると考えられています。
さらに、熱を冷まし、炎症を鎮める目的でも使われる生薬です。
そのため、発熱を伴いながら発疹が十分に出きっていない状態で重要な役割を果たします。
葛根が体表の緊張を緩める
もう一つの中心的な生薬が「葛根」です。
葛根は、葛根湯にも含まれていることでよく知られています。
体表の緊張を緩め、病邪を外へ発散させる方向に働くほか、首や肩などのこわばりにも用いられます。
また、升麻と組み合わせることで、体表にこもっている熱や発疹を外へ導く働きを助けます。
「升麻+葛根」が、升麻葛根湯の中心となる組み合わせなのです。
芍薬・甘草・生姜が体を支える
発散する働きだけが強すぎると、体力を消耗してしまうことがあります。
そこで配合されているのが「芍薬」です。
芍薬は体の血や潤いを守りながら、筋肉の緊張を和らげる方向に働きます。
さらに甘草が処方全体を調和させ、生姜が胃腸の働きを支えながら、発散作用を補助します。
つまり、
「升麻と葛根で外へ発散する」
「芍薬で体を守る」
「甘草と生姜で全体を整える」
というバランスの取れた構成になっています。

葛根湯との違いは?
升麻葛根湯と名前がよく似ているのが「葛根湯」です。
葛根湯には、
・葛根
・麻黄
・桂枝
・芍薬
・甘草
・大棗
・生姜
が配合されています。
葛根湯は、比較的体力があり、
・悪寒
・発熱
・汗が出ていない
・首筋から背中がこわばる
といった風邪の初期に用いられる代表的な処方です。
一方、升麻葛根湯には、麻黄や桂枝が含まれておらず、代わりに升麻が配合されています。
そのため、葛根湯のように体を温めて強く発汗させるというよりも、熱を冷ましながら皮膚の表面へ発疹を導くところに特徴があります。
両者の大きな違いは、
「発疹があるかどうか」
です。

麻黄湯との違いは?
麻黄湯も、悪寒や発熱のある風邪の初期に用いられる漢方薬です。
麻黄湯では、
・強い悪寒
・高めの発熱
・汗が出ていない
・全身の筋肉痛や関節痛
・咳
などが目立ちます。
体力が比較的あり、病気と激しく戦っている状態です。
一方、升麻葛根湯では、風邪に似た症状に加えて「発疹」が重要な判断材料になります。
同じ発熱や悪寒でも、皮膚症状の有無によって処方の考え方が大きく変わるのです。

鼻や粘膜の乾燥も一つの手がかり
升麻葛根湯が適する状態では、鼻の中が乾燥するなどの粘膜症状がみられることがあります。
熱が体の上部にこもることで、鼻や喉などの潤いが失われやすくなると考えます。
ただし、「鼻が乾燥しているから升麻葛根湯」という単純な判断ではありません。
発熱、悪寒、発疹の状態、汗の有無などを含め、全身の症状を総合的に確認することが重要です。

現代では麻疹や水疱瘡は医療機関への相談が大切
升麻葛根湯は歴史的に麻疹などの発疹性疾患に用いられてきましたが、現代では注意が必要です。
麻疹は感染力が非常に強く、肺炎や脳炎など重い合併症を起こす可能性があります。
また、水痘(水ぼうそう)についても、年齢や体の状態によっては重症化する場合があります。
発熱とともに発疹が現れた場合は、自己判断で「麻疹だろう」「水ぼうそうだろう」と決めず、まず医療機関へ相談することが大切です。
特に麻疹が疑われる場合は、直接医療機関を受診すると他の人へ感染を広げる可能性があるため、事前に電話などで連絡し、受診方法を確認してください。
発疹にはさまざまな原因がある
子どもの発疹には、
・麻疹
・水痘
・風疹
・突発性発疹
・手足口病
・溶連菌感染症
・アレルギー
・薬疹
など、さまざまな原因があります。
見た目だけで判断することは難しく、なかには早急な治療が必要な疾患もあります。
高熱が続く、呼吸が苦しい、ぐったりしている、水分が取れない、意識がおかしいなどの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

まとめ
升麻葛根湯は、発熱や悪寒などの風邪に似た症状とともに、発疹が出始めている状態に古くから用いられてきた漢方薬です。
特に、
・発熱や悪寒がある
・頭痛や体の痛みがある
・汗が出にくい
・赤い発疹が出始めている
・発疹がまだ十分に出きっていない
といった状態が一つの目安となります。
升麻と葛根によって体表へ病邪を発散させ、芍薬、甘草、生姜がそれを支えるという構成が特徴です。
葛根湯が「発疹のない風邪の初期」、麻黄湯が「強い悪寒と無汗、全身痛」が目立つ状態に使われるのに対し、升麻葛根湯では「発疹」が処方を考える重要なポイントになります。
ただし、発熱を伴う発疹にはさまざまな感染症が隠れている可能性があります。
特にお子さんの場合は、漢方薬だけで自己判断せず、必要に応じて医療機関で診断を受けたうえで、その状態に合った治療を選ぶことが大切です。

西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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