電話でもお気軽にご相談ください 092-724-7061 営業時間9:00~20:00

お知らせ

こむら返りの特効薬【芍薬甘草湯】

「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「こむら返りの特効薬【芍薬甘草湯】」を公開しました!

芍薬甘草湯とは?こむら返りや急な差し込む痛みに使われる漢方薬

夜中に突然、ふくらはぎがつって激痛で目が覚める。

運動中に足の筋肉が急にひきつる。

差し込むような胃の痛みや、急な腹痛に襲われる。

このような「急に起こる筋肉のけいれん」と「激しい痛み」に用いられる漢方薬が「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」です。

芍薬甘草湯は、症状が出たときに飲む「頓服薬(とんぷくやく)」として広く知られ、スポーツ選手が試合中のトラブルに備えてお守り代わりに携帯することもあるほどです。

今回は、芍薬甘草湯がどのような場面で使われるのか、漢方から見た「けいれん」の原因、2つの生薬の働き、桂枝加芍薬湯・小建中湯との違いについて詳しく解説します。

夜中に足がつって激痛で目が覚める場面

芍薬甘草湯は「急に起こるひきつれと痛み」の漢方薬

芍薬甘草湯の大きな特徴は、病名や体質を問わず使われることです。

共通しているのは、「急激な筋肉のけいれん」と「激しい痛み」です。

こむら返り・胃けいれん・月経痛など芍薬甘草湯が使われる場面

驚くほどの即効性がある「頓服薬」

多くの漢方薬は、体質を整えるために一定期間続けて飲むものです。

それに対して芍薬甘草湯は、ジワジワではなく「一気に」効くことを期待して、症状が出たときに飲む頓服薬として使われます。

「あ、つりそうだな」という予兆があるときに飲むという使い方もされています。

症状が出たときに飲む頓服薬としての芍薬甘草湯

足だけじゃない。全身の「ひきつれ」に活躍

芍薬甘草湯というと「こむら返り」のイメージが強いかもしれません。

しかし、手足の筋肉(骨格筋)だけでなく、胃腸など体の内側の筋肉(平滑筋)の異常な緊張にも用いられます。

・夜中や運動中のこむら返り
・急な胃けいれん、差し込むような腹痛
・筋肉が過緊張を起こす急性の腰痛
・激しい月経痛

このように、筋肉がひきつれて激しく痛むさまざまな場面で活躍します。

全身の急激なひきつれに用いられることを示した図
全身の筋肉の過緊張に用いられることを示した図

漢方では、なぜ「けいれん」が起きると考える?

漢方では、けいれんの原因を筋肉の「栄養不足」と「潤い不足」と考えます。

十分な栄養と潤いがある筋肉は、しなやかで伸び縮みが自在なロープのような状態です。

ところが栄養や水分が枯渇すると、筋肉は乾燥して硬く縮こまったロープのようになり、少し引っ張っただけでプチッと切れるように、ちょっとした刺激で異常な収縮、つまり激痛を起こしてしまいます。

栄養と潤いが不足した筋肉をロープで例えた図

秘密は「究極のシンプルさ」

芍薬甘草湯は、芍薬(しゃくやく)と甘草(かんぞう)という、たった2つの生薬だけで構成されています。

通常、漢方薬は多くの生薬を組み合わせて作られますが、芍薬甘草湯は漢方薬としては異例なほどシンプルです。

だからこそ、切れ味が鋭く、即効性が生まれると考えられています。

芍薬と甘草の2つの生薬だけで構成されることを示した図

芍薬が筋肉に「栄養」と「潤い」を届ける

芍薬は、収縮してひきつった筋肉に水分と栄養を補給し、過度な緊張を優しくゆるめる生薬です。

カラカラに乾いた筋肉を潤し、強張りをほどくためのベースを作る役割を担っています。

芍薬が筋肉に栄養と潤いを届ける働き

甘草が急な「痛み」と「緊張」を一気にほどく

甘草は、急迫した状態をゆるめる生薬です。

筋肉の異常なけいれんを素早く鎮め、急迫する痛みをブロックする働きを持ちます。

芍薬で潤った筋肉に対して、甘草が鎮痙・鎮痛のスイッチを強力に押すイメージです。

甘草が急激な痛みと緊張を解きほぐす働き

2つが合わさることで効果が高まる

痛みをやわらげる作用を持つ芍薬と甘草が組み合わさることで、鎮痛・鎮痙の効果が飛躍的に高まります。

症状が出たときだけ飲む頓服薬として頼りにされる理由が、ここにあります。

芍薬と甘草による鎮痛・鎮痙のタッグ

効くサインは「腹直筋の異常緊張」

漢方では、お腹を触って体の状態を確かめる「腹証(ふくしょう)」を重視します。

芍薬甘草湯が効きやすい人のサインとして挙げられるのが、腹直筋(ふくちょくきん)の異常な緊張です。

仰向けになってお腹を触ったとき、おへその両側の縦の筋肉が、まるで木の棒のように硬く突っ張っていないでしょうか。

これは手足の筋肉だけでなく、胃腸など体の内側の筋肉までが過度に緊張し、ひきつれている証拠と考えます。

腹直筋が棒のように硬く突っ張る腹証のサイン

桂枝加芍薬湯・小建中湯との違い

お腹の痛みに使われる漢方薬は、芍薬甘草湯だけではありません。

痛みの性質や体質によって、次のように使い分けられます。

・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
突然の激痛、差し込むような痛みに。腹直筋が棒のように硬く、体質は問わず発作時に使う。
・桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
お腹が張ってシクシク痛む方に。比較的体力が低下している方向け。
・小建中湯(しょうけんちゅうとう)
虚弱な体質で、慢性的な腹痛や疲れやすさがある方に。子どもにも使われる。

芍薬甘草湯は、あくまで「突然の激痛」に対するレスキュー薬という位置づけです。

腹痛の漢方の使い分け(芍薬甘草湯・桂枝加芍薬湯・小建中湯)
痛みの性質で選ぶ漢方薬の比較表

知っておきたい「使い方のルール」

芍薬甘草湯は、症状が出たときや、つりそうな予兆があるときだけ飲む頓服薬です。

慢性的に毎日ダラダラと飲み続ける薬ではありません。

芍薬甘草湯には甘草が多く含まれています。長期間の連用や、甘草を含むほかの漢方薬との併用によって、むくみ、血圧の上昇、手足のだるさ(偽アルドステロン症)などが起こることがあるため注意が必要です。

「急激で激しい痛み」専用の、短期決戦の薬として使いましょう。

芍薬甘草湯は頓服として使うというルール

暮らしの中の「お守り」として

・スポーツ選手の必需品
マラソンやゴルフ中の急なこむら返りに備えて、お守り代わりに携帯する人も多くいます。
・ベッドサイドの常備薬
夜中の足のつりに悩む方は、水と一緒に枕元に置いておくと安心です。

スポーツ時やベッドサイドの常備薬としての使い方

こむら返りが頻繁に起こる場合は医療機関での確認も大切

こむら返りは誰にでも起こりうるものですが、頻繁にくり返す場合には、別の病気が隠れていることもあります。

特に、

・毎晩のように足がつる
・しびれや感覚の異常をともなう
・足のむくみや冷えが強い
・腹痛が長く続く、または強くなっていく

といった場合には、医療機関で確認することが大切です。

また、高血圧や心臓・腎臓の病気で治療中の方は、服用前に医師や薬剤師、登録販売者などの専門家に相談してください。

まとめ

芍薬甘草湯は、急激な筋肉のけいれんと激しい痛みを鎮める漢方薬です。

特に、

・夜中や運動中のこむら返り
・差し込むような急な胃の痛みや腹痛
・お腹の縦の筋肉が棒のように硬い

といった状態が一つの目安になります。

芍薬が筋肉に潤いを与え、甘草が緊張を即座に解きほぐす。

たった2つの生薬だからこそ、症状が出たときに頼れる「お守り」のような存在です。

芍薬甘草湯のまとめ

西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。

自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦(臨床歴20年)

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦(臨床歴20年)

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

この著者の記事一覧へ