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漢方偉人伝 張仲景(ちょうちゅうけい)

張仲景 ― 『傷寒論』を著した“医聖”の生涯と遺産

中国後漢末期、漢方医学の金字塔とも言える名著『傷寒論』を著した偉大な医師がいました。
その名は、張仲景(ちょうちゅうけい)
彼は扁鵲、華佗、李時珍と並び、「中国古代四大名医」の一人に数えられ、現在も「医聖」として尊敬されています。

荊州南陽で生まれた清廉な名医

張仲景は、**西暦150年ごろ、荊州南陽郡(現在の河南省南陽市)**に生まれました。
人柄は清廉で、政治的にも信頼され、建安年間には長沙太守に任じられています。

しかし、彼が医学の道に本格的に進む決意をしたのは、ある悲劇的な経験がきっかけでした。

医師を志した理由 ― 疫病によって失われた家族たち

張仲景の青年期、彼の一族には深刻な疫病が流行します。
その10年間で、200人いた親族のうち約3分の2が命を落としたと記録されています。

とくに多かった死因が「傷寒(しょうかん)病」、つまり寒邪による感染性の熱性疾患でした。

この悲しみと無念を胸に、張仲景は同郷の名医・張伯祖(ちょうはくそ)から医術を学び
人々の命を救うために、真剣に医学と向き合うようになります。

『傷寒雑病論』 ― 現代に続く医学の大成

張仲景の医学の特徴は、伝統を重んじつつも、患者一人ひとりの症状に応じて柔軟に対応する点にあります。

その集大成が、彼が著した『傷寒雑病論』です。

  • 傷寒病(急性熱性疾患)の発症からの流れを整理し、六経弁証として体系化
  • 雑病(慢性疾患)に対しても体質・証に合わせた処方を提示
  • 多くの処方が「証」に基づいて厳密に設計されており、今なお現場で使われる漢方薬が多数含まれています

この書はのちに再編され、

  • 『傷寒論』
  • 『金匱要略(きんきようりゃく)』

の2つの文献に分かれ、いずれも漢方医学の基礎文献として広く用いられています。

餃子のルーツも張仲景?

興味深い伝承として、現代でも親しまれている**「餃子」**の起源が、張仲景にあるという話があります。
寒さで耳が凍傷になってしまう貧しい人々を見た張仲景は、羊肉と薬草を包んだ「耳の形をした皮」を配り、凍傷を防いだと伝えられています。

それがのちに餃子の起源になったとも言われ、医術だけでなく人を思う優しさまでもが伝説として残っています。

張仲景の遺産と、今も生きるその精神

張仲景は西暦219年にその生涯を終えました。
しかし、彼の理論・処方・思想は、現代の漢方診療にもしっかりと根付いています。

とくに「証に基づく処方選択」という考え方は、まさに現在のオーダーメイド漢方治療の原型そのものです。


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西漢方薬店では、張仲景が目指したように、症状と体質をしっかり見極めたうえでの処方提案を大切にしています。
「どの漢方が自分に合うのか分からない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦(臨床歴20年)

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦(臨床歴20年)

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

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