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漢方偉人伝 巣元方(そうげんぽう)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 巣元方(そうげんぽう)」を公開しました!
埋もれた医学の金字塔 ― 巣元方と『諸病源候論』の数奇な運命
中国唐代の医学史において、“失われかけた医学の宝庫”と呼ばれる書物があります。
その名は、『諸病源候論(しょびょうげんこうろん)』。
医学の歴史に大きな足跡を残した名医・**巣元方(そうげんぽう)**が編んだ、画期的な医学書です。

病気の「原因」と「兆候」を体系化した初の試み
隋の時代、巣元方は、これまでバラバラに語られていた病気の知識を、
- 病気の発生する原因(病源)
- 現れる症状・兆候(候)
という視点で整理しようと試みました。
当時、こうした体系だった「病因証候学」の考え方は存在しておらず、
『諸病源候論』はまさにその草分けといえる存在です。
完成直前に隋が滅亡 ― 幻の名著となる
巣元方は、600年代初頭に隋の**煬帝(ようだい)**に医学書の編纂を上奏し、勅命を得て執筆に着手。
5年の歳月をかけて完成間近というところで、隋が戦乱によって滅亡してしまいます。
そのため、『諸病源候論』はしばらく世に出ることなく埋もれてしまったのです。
唐代の王翻によって再発見、引用されて広まる
時代が唐に移ったのち、唐代の官僚・**王翻(おうはん)**が
原稿を偶然に発見し、自身の著作『外台秘要(がいだいひよう)』に数多く引用したことで、
その価値と存在が再び知られることになります。
こうして、『諸病源候論』はようやく宋代になって単独出版され、
中国医学史上の重要文献のひとつとして正式に認められるようになりました。
収録された知識の幅広さと先進性
『諸病源候論』には、当時知られていたあらゆる病気の原因と症状が網羅されています。
✅ 主な収録分野:
- 内科疾患(発熱、喘息、腹痛など)
- 外科疾患(瘡・瘍・骨折など)
- 婦人科・小児科・皮膚科・感染症
- 精神疾患や養生法
中でも注目されるのは、外科手術に関する詳細な記述です。
たとえば腸の縫合手術に関する方法や注意点まで言及されており、
当時の外科技術が相当なレベルに達していたことが分かります。
古代文献の保存庫としての役割も
『諸病源候論』には、すでに失われてしまった古代医学書からの引用も数多く含まれています。
- 『黄帝内経』以前の記述
- 民間療法や禁忌の知恵
- 当時の医師たちの臨床経験や地域医療の知見
これらは、単なる医学知識を超えて、中国医学の歴史そのものを後世に伝える重要な情報源となっているのです。
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『諸病源候論』が示したように、病は原因と兆候から読み解くことが大切です。
西漢方薬店では、あなたの体質や症状の“背景”を丁寧に見極め、
痛みや不調の根本改善を目指す漢方処方をご提案しています。
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失われかけた知恵が、いまも私たちの健康に息づいています。
体の不調に気づいたときは、ぜひご相談ください🌿
この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


