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漢方偉人伝 王冰(おうひょう)

「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 王冰(おうひょう)」を公開しました!

「黄帝内経」に12年──王冰の革新と中医学への遺産


王冰とは何者か?──唐代の医学研究者の横顔

8世紀唐代に活躍した医学者・王冰(おうひょう)は、
中国医学の最重要古典「黄帝内経」の中でも特に『素問』の注釈に生涯を捧げた人物
です。

幼少期から養生術に深く興味を持ち、医学の探究に没頭。
やがて官職「太史令」に就いた彼は、その知見をまとめ、
全24巻にも及ぶ『補注黄帝内経素問』を完成させました。


病の根源を見極める──革新的な分類法

王冰は病気を次のように分類しました:

  • 内因性の病(気の乱れによるもの)
  • 外因性の病(気の乱れによらないもの)

この分類は、体内のバランスに着目した中医学の根幹となり、現代にも受け継がれています。

また、彼は肺・脾・腎の三臓による水液代謝の連携を重視。
これらの相互作用を丁寧に分析し、臓腑の機能的関係性を明確にしました。


陰陽バランスを整える治療理論

王冰の治療哲学には、次のような明確な原則があります:

  • 陰虚(潤い不足) →「水を補って陽の火を制す」
  • 陽虚(熱力不足) →「火を養って陰の翳りを消す」

さらに、「病気の火」を2種類に分けて考えました:

  • 人火:生理的な火(生命力)
  • 龍火:病理的な火(炎症や異常な熱)

これらを峻別することで、体質と病態に合わせた的確な治療が可能になると説いたのです。


現代中医学への影響

王冰の注釈と理論は、現代の中医学の診断や弁証論治(症状に基づいた処方)の土台となっています。
その革新性と洞察力は、「黄帝内経」を理解するうえで避けて通れない存在として今なお評価されています。


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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦(臨床歴20年)

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦(臨床歴20年)

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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