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漢方偉人伝 劉完素(りゅうかんそ)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 劉完素(りゅうかんそ)」を公開しました!
【名医列伝】火熱を制し、命を救った革新者――劉完素の生涯と医学理論
「病に母を亡くして」――志を抱いた若き日の劉完素
中国金代、医学史に名を刻む**劉完素(りゅう かんそ)**という偉大な医師がいました。
彼が医学を志すきっかけとなったのは、最愛の母を病で失ったことでした。
悲しみの中で「もう誰にもこのような思いをさせたくない」と強く決意し、
25歳から本格的に医書の研究を始め、名医としての道を歩み始めました。

「寒凉の理」――火熱説という革新
劉完素が確立した**「火熱説」**は、それまでの常識を覆す画期的なものでした。
当時の北方の乾燥した気候と、それに影響された人々の体質を深く観察し、
風・寒・暑・湿・燥・火の「六気」は最終的に火熱の病邪に転じるという理論を打ち立てたのです。
この火熱に対応するため、彼は寒凉薬を用いた治療法を中心に組み立て、
それまでの治療とは全く異なるアプローチを展開しました。
民間に尽くし、河間学派を築く
劉完素はその名声から三度、皇帝より宮中に召されましたが、すべて辞退。
あくまで庶民のために医療活動を続けることを選びました。
弟子の育成にも力を注ぎ、多くの名医を輩出し、
やがて**「河間学派」**と呼ばれる一大学派を形成するまでに至ります。
現代に続く処方と伝説の治療
彼が考案した処方には、今なお広く使われている**「防風通聖散」**などが含まれます。
肥満や高血圧、湿熱体質の改善に用いられるこの薬方は、
火熱を鎮める彼の理論の結晶ともいえるものです。
また、ある時、難産で仮死状態の女性を針一本で救い、母子ともに命を取り留めたという逸話が残っています。
この奇跡的な出来事は「一針救二命」として人々の間で語り継がれました。
遺徳を偲び、今も続く庙会(ミャオフイ)
劉完素の影響力は、死後も衰えることはありませんでした。
彼を慕う人々は各地に祠(ほこら)や廟(びょう)を建て、その功績を称えました。
とくに出身地である河北省河間市の師素村では、
今も毎年正月と三月に**「庙会(ミャオフイ)」という祭事**が開かれ、
地元の人々が劉完素の遺徳を偲んでいます。
現代に活かす漢方の智慧を
劉完素が提唱した**「体質や環境に合わせた治療」**という考え方は、
現代の漢方医学にも通じています。
ただの対症療法ではなく、根本からの改善を目指す彼の理念は、
いまなお多くの漢方専門家に受け継がれています。
自分に合った処方を知るために
漢方薬は体質に合ってはじめて効果を発揮します。
もし今、何らかの不調や慢性症状でお悩みの方は、
劉完素のように「人を診る」医療の知恵を活かした、専門家による漢方相談をご利用ください。
西漢方薬店ではオンライン相談を実施中
あなたの症状に合った漢方薬を、
しっかりとお話を伺いながらご提案いたします。
どうぞお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


