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漢方偉人伝 王好古(おうこうこ)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 王好古(おうこうこ)」を公開しました!
陰証理論を確立した革新の医師・王好古 〜中医学における内傷病学の礎〜
陽気の虚が生む「陰証」という病態に挑んだ医学者
中国・元代に、「陰証」という概念を体系化し、中医学に新たな地平を切り拓いた医師がいました。
その名は、王好古(おう こうこ)。1200年に河北省に生まれ、
当時最高の医術を学び尽くした末に、自身の革新的な理論を打ち立てた人物です。

張元素・李東垣の理論を土台に
王好古は、まず臓腑弁証の祖・張元素に師事し、
次に**脾胃論を大成させた李東垣(李杲)**からも深い教えを受けました。
彼はこの二人の理論を融合させ、
「外感病中心」だった当時の中医学に、内因性の虚証病態=陰証という視点を持ち込んだのです。
陰証とはなにか?
陰証とは、体内の陽気が不足し、冷えや無力感などが慢性的に現れる状態を指します。
王好古は、病の本質を
「外から入る邪気だけではなく、体内の正気(陽気)の弱さにある」
と捉えました。
特に、**三陰病証(太陰・少陰・厥陰)**における病理を深く分析し、
「陰が深く潜むことで生じる複雑な症状群」に対する治療法を確立したのです。
温補による治療の徹底
王好古の治療方針は一貫して明快です。
- 陰証には温補(体を温めて補う)を基本とする
- 寒涼薬は極力使用しない
- 附子(ぶし)や乾姜(かんきょう)などの温熱性生薬を積極的に用いる
彼の著書『陰証略例』には、全58処方中46方が「温中散寒」「回陽救逆」といった
体を芯から温める処方で構成されており、
それはまさに、冷えを根から断つ治療哲学の表れでもあります。
内傷雑病への道を開いた中医学の革新者
王好古の陰証学説は、当時の「外感病」中心の世界に一石を投じ、
内傷性の慢性疾患への中医学的アプローチを切り拓いた画期的な理論でした。
その影響は、後世の温補学派や慢性病治療法の発展に大きく貢献し、
現代の中医学においても極めて重要な位置を占めています。
あなたの体調不良も「陰証」かもしれません
- 体が冷えて仕方がない
- 朝からエネルギーが湧かない
- お腹を壊しやすい
- 慢性的な下痢や手足の冷えが続く
そんなお悩みの背後には、王好古が見つけ出した「陰証」が隠れているかもしれません。
体質に合った漢方で「芯からの元気」を取り戻す
西漢方薬店では、オンラインでの漢方相談をおこなっております。
あなたの体質と症状を丁寧に見極めたうえで、
温補や気血の調整など、陰証に対する的確な処方をご提案いたします。
漢方薬は体質に合って、はじめて効果を発揮します。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、
ぜひ漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


