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漢方偉人伝 張景岳(ちょうけいがく)

「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 張景岳(ちょうけいがく)」を公開しました!

【明代の名医】張景岳 ― 温補学派を確立した革新者

明代の医学者、張景岳(ちょうけいがく)は「温補学派」の創始者として知られ、
彼の医学思想は後世の中医学に多大な影響を与えました。
今回は、その生涯と功績をひもといてみましょう。

幼少期から医学への道へ

張景岳は1563年、浙江省紹興に生まれました。幼少の頃から聡明で、特に医学への関心が強く、
若くして『黄帝内経』の研究に没頭しました。
その成果として著した『類経』は、難解だった『黄帝内経』を体系的に整理した名著であり、
後世の医家が学ぶための重要な指針となりました。

「陽非有余、真陰不足」という新しい視点

張景岳の医学思想の中で特に有名なのが、「陽非有余、真陰不足」という理論です。
当時の医学界では「陽が過剰で陰が不足している」という考え方が主流でしたが、
彼は「人間の体は陽も陰も不足しがちである」と主張しました。
この発想は、慢性疾患や虚弱体質の根本を捉えた革新的なものでした。

温補を重視した治療と代表処方

この理論をもとに、張景岳は「温補」—すなわち体を温めて補う治療—を提唱しました。
代表的な処方に「左帰丸」「右帰丸」があります。
これらは腎の機能を補い、虚弱体質の改善や老化防止などに用いられています。

張景岳の処方は「精専簡煉(せいせんかんれん)」と呼ばれ、
薬の数を最小限にしつつ、それぞれの生薬の効果を最大限に引き出す工夫がなされていました。

古方を再解釈し、新たな治療体系を創出

彼は古方(古代の処方)にも深く通じており、
従来の処方に新しい解釈を加えて多くの新方を生み出しました。
たとえば、六味地黄丸を基礎に、さまざまな病態に応じて派生方を構築し、
体質や症状に合わせた柔軟な治療を可能にしました。

張景岳の遺産

張景岳の医学は、当時の「寒涼主義」に偏った治療方針を正し、
温めて補うことで生命力を高めるという新しい方向性を示しました。
彼の思想は慢性疾患や虚弱体質の治療において今もなお参考にされており、
中医学の発展に計り知れない貢献を果たしています。


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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦(臨床歴20年)

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦(臨床歴20年)

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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