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漢方偉人伝 施沛(せはい)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 施沛(せはい)」を公開しました!
【明末の天才医師】施沛 ― わずか一ヶ月で歩けない患者を治した奇跡の名医
明朝末期、中国に“奇跡の名医”と呼ばれた人物がいました。
彼の名は施沛(せはい)。字は沛然、号は笠澤居士。1585年に華亭(現在の上海市松江)に生まれました。
その優れた診断力と治療技術は、当時の医療界に大きな衝撃を与えました。

◆ 歩けなかった患者をわずか一ヶ月で完治させた奇跡
施沛の名を一躍有名にしたのが、戸部の高官・許替勿の治療例です。
許替勿は「痛痺(つうひ)」と呼ばれる関節や筋肉の痛みで、歩行が困難な状態にありました。
施沛は彼の体質と症状を見極め、
- 丹参虎骨酒(たんじんここつしゅ)
- 草薢蠲痺湯(そうかいけんぴとう)
という独自の処方を組み合わせて治療を行いました。
その結果――
治療開始からわずか一ヶ月で、患者は自力で歩けるまでに回復。
当時の人々にとって、まさに奇跡のような出来事でした。
◆ 名医との交流と研究の深さ
施沛は、同時代の著名な医師李中梓とも深く交流しており、
お互いの治療経験や理論を共有しながら、中国医学の発展に寄与しました。
その学問的関心は臨床にとどまらず、
薬学・経絡学・鍼灸・解剖学と幅広い分野に及びました。
◆ 教育への情熱と後世への遺産
施沛の主な著作には以下のようなものがあります。
- 『祖剤』四巻
張仲景の古典処方を基に、宋・元時代以降の新処方を整理・分類した実践的薬学書。 - 『藏府指掌図書』・『経穴指掌図』
内臓や経穴の位置を詳細に図解した医学教育書。
現代で言う「解剖・生理学図鑑」の先駆けとも言える存在です。
さらに、彼の診療記録『云起堂診籍』は、弟子の富元亮によって整理され、現在まで伝わっています。
これは17世紀中国の医療実態を知る上で非常に貴重な史料とされています。
◆ 施沛の生涯と功績
施沛は1661年、76歳でこの世を去るまで、診療・研究・教育の三本柱を貫きました。
彼の研究は後世の医家たちに継承され、
中国医学の発展に欠かせない礎を築いた人物として、今なお高く評価されています。
西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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