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漢方偉人伝 高世拭(こうせいしょく)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 高世拭(こうせいしょく)」を公開しました!
古代医学を現代に蘇らせた天才医師・高世拭
清朝初期を代表する『素問』研究者と小児科の革新者
はじめに
中国医学には、2000年以上にわたって受け継がれてきた数多くの古典があります。
しかし、古代の文章は非常に難しく、後世の医師にとっては理解が難しい部分も多く存在しました。
この課題に真正面から取り組み、古典医学を「現代に使える医学」へと蘇らせた人物こそ、
清代初期の医学者・高世拭(こう・せいしょく) です。
本記事では、彼の代表作と医学史への貢献を分かりやすく紹介します。

古典『黄帝素問』を分かりやすく解説した『黄帝素問直解』
高世拭の最大の功績は、前漢から伝わる医学の根本理論書『黄帝素問』の徹底的な研究でした。
『素問』は
- 五臓六腑
- 陰陽
- 気・血・津液
- 病気の発生理論
といった中医学の基礎がまとめられた重要文献ですが、古い文体で書かれており、当時の医師でも理解に苦しんでいました。
そこで高世拭は 『黄帝素問直解』 を執筆し、複雑な理論を平易に、しかも体系的に解説しました。
特に以下の内容は高く評価されています:
- 五臓六腑の働きを現代の臨床に応用できるよう整理
- 病気による体表の色の変化(望診)の詳細な説明
- 臨床に直結する実践的な注釈
彼の解説により、『素問』は難解な古典から「現場で読んで使える医学書」へと進化したのです。
小児科医学にも残した偉大な足跡
高世拭は古典研究に留まらず、小児科の専門家としても突出した才能を見せました。
●『瘄論』(1699年)は小児感染症の専門書
1699年に完成した 『瘄論(そつろん)』 は、麻疹(はしか)を中心とした小児感染症を論じた画期的な著作です。
この書では
- 小児の生理的特徴
- 病気の進行
- 症状別の治療法
- 合併症への対応
などが実践的な形でまとめられています。
この著作は後に『医学真伝』に収録され、小児科医学の重要資料として高く評価されました。
古代医学を「現代語訳」した功績
高世拭の偉大さは、
古典医学の知識を、後世の医師が“実践で使える形”に翻訳した点
にあります。
ただ研究するだけではなく、次の時代の医師たちのために体系化し、整理し、分かりやすい形で残した——
これは医学の発展に大きく寄与する非常に重要な仕事でした。
その成果は清代だけでなく、後世の中国医学や日本の漢方医学にも影響し続けています。
西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


