電話でもお気軽にご相談ください 092-724-7061 営業時間9:00~20:00

お知らせ

漢方偉人伝 陳士鐸(ちんしたく)

「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 陳士鐸(ちんしたく)」を公開しました!

陳士鐸──弁証論治を極めた明末清初の天才医師

独創的な診断法と治療理論で後世に多大な影響を与えた名医

はじめに

明朝末期から清朝初期にかけて活躍した医師・陳士鐸(ちん しだく)は、
「弁証に精通した名医」として中国医学史に名を残した人物です。

彼の弁証法は極めて独創的で、診断・治療ともに新しい視点を提示し、
後世の医師たちにも大きな影響を与えました。
国医大師の張燦岬も

「臨床で行き詰まった時、陳士鐸の方法に基づいて弁証すれば予想外の効果が得られる」
と高く評価しています。


陳士鐸の生涯

  • 1627年頃に浙江省紹興で生まれる
  • 1707年頃に没す
  • 明末から清朝初期という激動の時代を生きながら、独自の医学体系を築き上げた人物です。

彼の医術の核心にあるのは「弁証」。
著作の多くに“弁証”という語を冠し、病の変化を正確に捉えることの重要性を繰り返し説きました。


独創的な弁証論治の姿勢

陳士鐸は医学の難しさをこのように述べています。

「脈を弁別しなければ脈の微細さはわからず、
 証を弁別しなければ証の変化はわからない。」

つまり、
脈の読み取りと証(病態)の見極めが治療成功の鍵である
という明確な理念がありました。


有名な症例:昼は軽く夜に悪化する咽頭痛

ある患者は

  • 喉が腫れ痛む
  • 昼は軽く、夜に悪化する
    という症状を呈していました。

他の医師は陽証と判断し、瀉火薬で治療しましたが、症状はさらに悪化。

ここで陳士鐸は

  • 昼夜で症状が逆転する
    という変化に注目し、
    「腎火が上炎する陰証」と見立てました。

そして 引火湯 を処方すると

  • 1回で痛みが消失
  • 2回で完治

という劇的な効果が見られました。

これは彼が病の“微細な変化”を見逃さなかった名例として知られています。


『本草新編』に見る「勧医六則」

陳士鐸は医師の心得として「勧医六則」を示しました。

内容には以下のような理念が含まれています。

  • 未病先防:病気になる前に予防する重要性
  • 医師は治療を慎重に行い、安定した方法を重視する
  • 患者は治療費を惜しまないこと、医師は金銭を第一の目的にしないこと
  • 医師は常に謙虚で、医学理論を深く学ぶ姿勢を保つ

時代を超えて響く、医師としての倫理観に満ちた内容です。


幅広い著作と理論体系

陳士鐸は多才で、著作も多岐にわたります。

主な代表作

  • 『石室秘録』(内科)
  • 『弁証録』(弁証学の体系化)
  • 『洞天奥旨』(外科)
  • 『脈訣闡微』(脈診の深い解析)
  • 『本草新編』(薬物学・医師の心得)

これらの作品は 理論と臨床が緊密に結びついた、完成度の高い弁証論治体系 を構成しています。


まとめ

陳士鐸は、
「病の本質を見抜き、個々の症状の変化を捉えて治療する」
という中国医学の核心を実践した名医です。

その弁証論治は300年以上経った現代でも臨床的価値が高く、
難治症状に向き合う際の指針として医療者から信頼されています。


西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦(臨床歴20年)

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦(臨床歴20年)

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

この著者の記事一覧へ