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漢方偉人伝 祁坤(きこん)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 祁坤(きこん)」を公開しました!
祁坤──外科医学の地位を高めた明末清初の改革者
『外科大成』で外科を再定義した先駆的医師

はじめに
明朝末期から清朝初期の中国医学界では、
「内科こそ中心、外科は従」 という偏った価値観が一般的でした。
そんな時代に、外科医学に革命を起こした人物がいます。
浙江省紹興の医師 祁坤(き こん) です。
彼は「外科こそ医学の根幹」と考え、その思想は後世まで受け継がれました。
祁坤の生涯
祁坤(字:広生・愧庵、号:生陽子)は、
明末清初という政治・社会の変動が激しい時代を生きた医師です。
当時の中国医学社会では、
- 内科=重要
- 外科=軽視される
という価値観が強く根付いていました。
しかし祁坤はこれに強い疑問を抱きました。
外科医学の地位向上を目指した革新的視点
祁坤は、人体の外側に表れる症状や外科疾患こそ、
内臓の病態を映し出す重要な手がかり
と考えていました。
そこで彼は
- 梅毒(当時の流行病)
- 外傷
- 潰瘍
- 感染症
など外科領域の疾患について、当時の文献や症例を集め、
膨大な研究と臨床経験を積み重ねました。
代表作『外科大成』──外科の百科全書
その研究の集大成が、1665年出版の『外科大成』 です。
『外科大成』の特徴
- 外科疾患に関する知識を体系的に整理
- 梅毒・性病治療を詳細に論述
- 外科処置や治療法を豊富に紹介
- 当時の外科の“集大成”と呼ぶにふさわしい内容
その充実した内容と構成は後世の医家たちから高く評価され、
外科医学の発展に大きな影響を与えました。
孫・祁宏源へ受け継がれた医学思想
祁坤の志は孫の 祁宏源 によっても継承されました。
祁宏源は清朝の宮廷医療機関 太医院 の外科医として活躍し、
名医・呉謙とともに清朝最大の医学書 『医宗金鑑』 の編纂にも参加しました。
その際、祁坤の『外科大成』を基に
『外科心法要訣』 を編纂し、
祁家の外科医学を体系化して後世に伝えたのです。
まとめ
祁坤は、
外科が軽視されていた時代にその重要性を提唱し、
外科医学の体系化と地位向上を成し遂げた先駆者でした。
彼の代表作『外科大成』は後世の外科医学に多大な影響を与え、
孫の祁宏源へと受け継がれ、清朝医学の発展に繋がっています。
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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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