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漢方偉人伝 黄元御(こうげんぎょ)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 黄元御(こうげんぎょ)」を公開しました!
失明から立ち上がり医学界を革新した天才医師・黄元御
清朝が認めた「脾胃論」の創始者
はじめに
中国清朝時代、ひとりの儒学者が思いもよらぬ医療事故をきっかけに歴史を変えました。
黄元御(こうげんぎょ)。
彼は本来、科挙を志す儒学者でしたが、失明という悲劇を経て医学の道へ進み、
後世に多大な影響を与える医学者となりました。
本記事では、黄元御の人生と医学理論、そして彼が残した重要な貢献を解説します。

医療ミスによる失明──運命を変えた30歳の転機
黄元御は1705年に生まれ、若い頃は儒学を学び科挙を目指していました。
ところが 30歳の時、医師の誤診により左目を失明する という大きな不幸に見舞われます。
深い絶望に陥る中で、彼はある決断を下しました。
「立派な宰相になって世を救えないなら、名医になって人を救おう」
この言葉が彼の人生を変え、ここから黄元御は猛勉強の末、
中国医学史に名を残す偉大な医師となっていきます。

古典医学を独自に再構築「脾胃論」の誕生
黄元御の最も重要な医学理論が 「脾胃論(ひいろん)」 です。
●脾胃論の核心
- 人体の健康の中心は 脾胃(=消化器系) にある
- あらゆる病気は脾胃の失調から生じる
- だからこそ治療の第一歩は 脾胃の機能回復
という思想です。
この発想は当時としては革新的で、現代中医学にも大きな影響を与えています。

皇帝も認めた名医──乾隆帝の治療
黄元御の実力は宮廷にも知られるようになり、
ついには 乾隆帝の病気を見事に治癒 させるという偉業を成し遂げます。
その功績により宮廷医(御医)に任命され、
乾隆帝からは感謝の証として「妙悟岐黄」という扁額を授かりました。
皇帝が医師に扁額を贈ることは非常に珍しく、
それだけ彼の学識と技術が卓越していたことを示しています。

後世に影響を与え続ける黄元御の名著
彼の学術は、「黄元御医書十一種」としてまとめられています。
主な代表作
- 『四聖心源』(医学思想の核心をまとめた主著)
- 『傷寒懸解』(『傷寒論』の独自解釈)
- 『金匱懸解』(『金匱要略』の解説書)
特に『四聖心源』は日本の漢方医にも愛読されており、
現代の臨床にも応用され続ける名著です。

まとめ
黄元御は医療事故という逆境から立ち上がり、
独自の医学理論「脾胃論」を確立し、皇帝を治療し、
後世の医学発展に多大な影響を残しました。
彼の歩んだ道は、
“医学とは人を救うための学問である” という信念に貫かれています。
西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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