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漢方コラム

体質から整える漢方的花粉症対策

3月。空気がやわらかくなってきたな、と感じた翌朝、目が覚めた瞬間からくしゃみが止まらない。鼻がぐずぐずして、目がかゆくて、頭がぼんやりする。「ああ、また今年もこの季節が来た」と、どこか気が重くなる方も多いのではないでしょうか。

花粉症は今や国民病とも呼ばれ、男女を問わず、幅広い世代の方が毎年頭を悩ませています。薬を飲めばある程度楽にはなる。でも、飲み続けることへの漠然とした不安があったり、「毎年同じことの繰り返しで、根本的に変えたい」という気持ちがあったりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。

漢方の世界では、花粉症を「外からやってくる攻撃」ではなく、「体の内側が変化に対処しきれていないサイン」としてとらえます。花粉そのものではなく、それを受け止める体の状態に目を向けることで、毎年の花粉シーズンを少しずつ穏やかに過ごせるようになっていく、そのような視点が、漢方的な花粉症へのアプローチの根本にあります。

花粉症は、体からの「今の状態」を知らせるメッセージ

同じ量の花粉を吸っても、症状が強く出る人と、ほとんど気にならない人がいます。この違いはどこから来るのでしょうか。

漢方では、その答えを「体質」に求めます。花粉という刺激に対して、体がどれだけ落ち着いて応じられるか。その底力が、人によって異なる。だから症状の出方も違う、という考え方です。

毎年この時季になると決まって体がつらくなる。それは、あなたが弱いからではありません。今の体の状態が、何かしらのバランスを求めているサインかもしれない。漢方はそのように、体のメッセージを丁寧に読み解こうとします。

症状を薬で抑えることは、決して悪いことではありません。つらい毎日を乗り越えるために、薬の力を借りることはとても大切です。ただ、その一方で体質そのものに少しずつ働きかけることができたら、来年の春が今年よりも楽になっていくかもしれない。そういう積み重ねを大切にするのが、漢方的な花粉症との向き合い方です。

あなたの花粉症は、どのタイプ?

漢方では、同じ「花粉症」でも、体の状態によっていくつかのタイプに分けて考えます。自分がどのタイプかをふんわりと知っておくことが、体質を整える第一歩になります。難しく考えなくて大丈夫です。日頃の体の傾向を思い浮かべながら、読んでみてください。

水(すい)が滞るタイプ

水っぽいサラサラした鼻水がとめどなく出る。目のかゆみよりも、鼻のむずむずや鼻水の多さが気になる。体がむくみやすく、梅雨どきや雨の日に体が重くなりやすい。そんな方は、漢方でいう「水(すい)」の巡りが乱れているかもしれません。

水とは、体の中を流れるすべての水分のことを指します。余分な水分が体の中に溜まり、うまく循環しない状態が続くと、鼻や目の粘膜が過剰に反応しやすくなると漢方では考えます。

気(き)が不足するタイプ

疲れやすく、体がだるい。声が小さくなりがちで、風邪をひきやすい。花粉症の症状が出ると同時に、体全体がぐったりしてしまう。こうした傾向がある方は、「気(き)」が不足している状態かもしれません。

気とは、体を動かす根本のエネルギーのようなものです。気がしっかりと充ちていると、外からの刺激に対して体が落ち着いて防衛できます。気が不足すると、花粉のような外からの変化に体が過剰に反応しやすくなってしまいます。

熱がこもるタイプ

目の充血が強く、鼻が詰まりやすい。のどがよく乾き、体が火照ることが多い。頭痛が出やすかったり、口の中が苦く感じたりすることもある。これらの症状が目立つ方は、体の中に余分な「熱」がこもっている状態が考えられます。

このタイプの方は、辛みの強い食べ物やアルコール、睡眠不足などが続くと症状が悪化しやすい傾向があります。

3つのタイプは、きれいに分かれているわけではありません。複数の要素が重なっている方も多くいらっしゃいます。どれかひとつに完全に当てはまらなくても大丈夫。自分の体の傾向をおおまかに感じとることが、大切な第一歩です。

毎日の食事で、体質を少しずつ整える

漢方的な食養生は、特別なものを用意する必要はありません。毎日の食事の中に、体質に合った食材を少し意識して取り入れるだけでいい。その小さな積み重ねが、体質を穏やかに変えていきます。

水の巡りが気になる方へ

体の余分な水分を穏やかに排出するのを助けてくれるのは、小豆やハト麦、冬瓜(とうがん)、とうもろこし、きゅうりといった食材です。また、生姜やネギなど体を温める食材を少し加えることで、巡りをサポートしてくれます。甘いもの、脂っこいもの、冷たい飲み物は体の中に余分な水分を溜めやすくします。この時季は少し控えめにしてみてください。

気が不足しがちな方へ

体のエネルギーを補うには、大地の恵みを感じるような、黄色や橙色の食材が助けになります。かぼちゃ、にんじん、さつまいも、山芋、これらはほっこりとした温かみのある食材たちです。白いごはんも、気を補う大切なエネルギー源。無理に抜かず、しっかりと食べることが体を支えます。

食べ過ぎ、早食い、冷たいものを一気に飲み込む習慣は、気を消耗させます。食事はゆっくり、温かいものをていねいに。それだけでも、体の充実感が少しずつ変わってきます。

熱がこもりやすい方へ

体の余分な熱を静めてくれるのは、緑の濃い野菜や白い食材です。セロリ、春菊、白菜、豆腐、緑豆など。辛みの強いものや揚げ物、お酒は体に熱をこもらせやすいので、花粉の多い時季は意識して距離を置いてみてください。冷たいものを急に摂るのではなく、常温や温かいものを取り入れながら、ゆっくりと熱を和らげていくのがおすすめです。

食事以外で「守る体」を育てる習慣

体質を整えるのは、食事だけではありません。毎日のちょっとした習慣が、体の防衛力に思いのほか大きな影響を与えます。

眠ることの力

漢方では、腸の状態と全身の免疫力は深くつながっていると考えます。腸が元気でいられると、体が外からの刺激に対して落ち着いて対応できるようになります。腸を整えるために何より大切なのが、睡眠です。できれば深夜0時前には眠りにつくことを意識するだけで、体の回復力が変わってきます。眠る前のスマートフォンや、夜遅い食事は腸を疲れさせます。眠る前の時間を、少し穏やかに過ごしてみてください。

体を冷やさない意識を

体が冷えると、水の巡りが滞り、気の不足も加速します。春先はまだ朝晩の冷えが残る季節。重ね着をうまく活用し、足元と首元を冷やさないようにするだけで、体の状態がずいぶん変わります。白湯(さゆ)や生姜湯など、体を温める飲み物をこまめに取り入れる習慣も、体の内側を支えてくれます。

「流す」時間を、日常の中に

心と体はつながっています。ストレスや緊張が続くと、気の流れが滞り、体全体のバランスが乱れやすくなります。深呼吸、短い散歩、好きな香りのアロマを焚く、どんな小さなことでもいいので、「今日の疲れをいったん流す」時間を意識して作ってみてください。その時間が、体の巡りを取り戻す助けになります。

おわりに

花粉症は、毎年繰り返されるもの
そう思ってあきらめていた方にも、ぜひ今年は少し、体の内側に目を向けていただけたらと思います。

「なぜ症状が出るのか」ではなく、「今の私の体はどんな状態か」を知ること。そこから始まる小さな積み重ねが、来年の春を、今年よりも穏やかにしてくれるかもしれません。

今年の花粉シーズンが終わってからでも、今まさに症状がつらい今からでも、体と向き合い始めるのに遅すぎることはありません。春の終わりに、「今年は少し楽だったな」と感じていただけるように、一歩ずつ、ご自身のペースで整えていきましょう。

今年の花粉シーズンをきっかけに、自分の体質を少し知ってみませんか。

「自分が水滞なのか気虚なのか、よくわからない」
「食事を変えたいけれど、何から始めればいいか迷っている」

そんな気持ちがあれば、ぜひ私たちのオンライン相談へ。体質のことも、日々の食事のことも、どんな小さなことでもお気軽にどうぞ。あなたの体のリズムに寄り添いながら、一緒に考えていきます。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴20年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

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