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漢方偉人伝 柯琴(かきん)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 柯琴(かきん)」を公開しました!
柯琴──『傷寒論』研究を革新した清代の天才医師
以方名証・六経理論で中医学に新たな視野を開いた人物
はじめに
清代の中国医学史において、
『傷寒論』研究に革新的な手法を持ち込んだ医師が 柯琴(か きん) です。
彼は「以方名証」という臨床に直結する診断法を提唱し、
後世の傷寒学の発展に大きな影響を与えました。

柯琴の生涯
柯琴は 1662年に浙江省慈渓で誕生。
字は韻伯、号は似峰といいました。
若い頃は科挙を目指し儒学を学んでいましたが、
思うように功名を得られなかったため、医学の道へ進みます。
- 詩文に優れた教養人
- 博学で信頼される人物
- 一度は技術習得のため京師へ渡るが成果は得られず帰郷
- その後、虞山に移り住み研究に没頭
臨床医としての名声は低かったものの、
彼の学術的成果は後世に計り知れない影響を与えました。
柯琴の代表作『傷寒来蘇集』
柯琴の最大の功績は、
『傷寒来蘇集』の編纂 です。
構成は以下の通り:
- 『傷寒論注』 四巻
- 『傷寒論翼』 二巻
- 『傷寒附翼』 二巻
合計八巻からなり、
『傷寒論』の注釈書としては非常に完成度の高い作品です。
『内経』と張仲景をつなぐ解釈
柯琴は『内経』の理論を巧みに引用し、
張仲景の本意を読み解こうとしました。
多くの医家の誤解を正し、
脈診・証候についても深く掘り下げています。
文章は明快で分かりやすく、
「歴代注釈書の中でも最上級」と評価されているほどです。
革新的な診断法「以方名証・因方類証」
柯琴が最も有名なのは、
「以方名証(いほうめいしょう)」というアプローチの提唱 です。
これは、
処方(方剤)によって証(病態)を分類する
という画期的な考え方。
- どんな証かを判別しにくい
- しかし処方の対応からなら判定できる
という臨床上の問題を見事に解決しました。
さらに「因方類証」という応用理論を示し、
臨床実用性を飛躍的に高めました。
この方法は後世の傷寒学派に強い影響を与え、
現代でも重要な思考法として受け継がれています。
「六経為百病立法」──六経理論の再構築
柯琴は六経理論についても新たな視座を提示しました。
六経の理論を、あらゆる疾病の治療法則として位置づける
という考え方です。
六経という古典的な枠組みを
现代の臨床に応用するための基盤を築いたと言えます。
まとめ
柯琴は1735年、虞山で73歳の生涯を閉じました。
しかし彼が残した学術体系は、
現在の中医学界でも非常に高く評価されています。
- 『傷寒論』研究の革新者
- 以方名証という臨床的手法の創始者
- 古典解釈に新風を吹き込んだ学者
として、今も輝き続ける存在です。
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