漢方コラム
冷房で体が冷える「冷え夏」とは?女性に多い不調の改善法

夏になると「暑くて汗が止まらない」というイメージがありますが、一方で「手足が冷たい」「お腹が冷える」「肩こりや頭痛がひどくなる」といった不調を訴える人が増えています。このような夏の冷えは「冷え夏」や「夏の冷え」と呼ばれ、特に女性に多く見られる症状です。
冷えは単に「寒い」と感じるだけではありません。体温調節や血流、自律神経にも影響を与え、さまざまな体調不良につながることがあります。
今回は、冷え夏の原因や漢方の考え方、自宅でできる対策についてご紹介します。
目次
冷え夏とは?
冷え夏とは、外気温は高いにもかかわらず、冷房や冷たい飲食物などの影響によって身体が慢性的に冷えてしまう状態です。
近年ではオフィスや商業施設、電車など、ほとんどの屋内でエアコンが稼働しています。
暑い屋外と冷えた室内を何度も行き来することで、体温を調節する自律神経に負担がかかり、冷えや疲労感が起こりやすくなります。
日本は高温多湿のため、冷房は熱中症予防にも欠かせません。しかし、冷えすぎた環境では「冷えによる不調」が起こることも忘れてはいけません。
なぜ女性に多いの?
女性は男性に比べて冷えを感じやすいとされています。
その理由には次のような特徴があります。
筋肉量が少ない
筋肉は熱を作る工場です。
女性は男性より筋肉量が少ないため、熱を生み出す力が弱く、冷えやすくなります。
ホルモンバランス
女性ホルモンは血流や自律神経にも関係しています。
月経周期や更年期などホルモンバランスの変化によって、冷えを感じやすくなることがあります。
血行不良
デスクワークや運動不足によって血液循環が悪くなると、手足など末端まで温かい血液が届きにくくなります。
冷え夏で起こりやすい症状
夏の冷えは、全身にさまざまな影響を及ぼします。
代表的な症状には次のようなものがあります。
- 手足が冷たい
- お腹が冷える
- 下痢になりやすい
- 食欲不振
- 胃もたれ
- 肩こり
- 首こり
- 頭痛
- むくみ
- 生理痛の悪化
- 疲れが取れない
- 朝起きられない
- めまい
- 不眠
「夏バテだと思っていたら、実は冷えが原因だった」というケースも少なくありません。
漢方ではどう考える?
漢方では、冷えは単なる温度の問題ではなく、「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスの乱れとして考えます。
気虚(ききょ)
エネルギー不足の状態です。
疲れやすい、食欲がない、汗をかきやすい人に多く見られます。
夏バテとの関連も深いタイプです。
血虚(けっきょ)
血液による栄養が不足した状態です。
顔色が悪い、めまい、立ちくらみ、爪が割れやすいなどが特徴です。
女性に多くみられます。
瘀血(おけつ)
血流が悪くなった状態です。
肩こり、生理痛、冷え、くすみなどを伴うことがあります。
水滞(すいたい)
体内の水分代謝が悪くなった状態です。
むくみ
頭重感
めまい
下痢
などが起こりやすくなります。
梅雨から夏にかけて増えるタイプです。
冷え夏を悪化させる生活習慣
次のような生活は冷えを招きやすくなります。
冷たい飲み物を飲み過ぎる
アイスコーヒー
ジュース
氷入りの飲料
ばかり飲んでいると胃腸が冷え、消化機能も低下します。
シャワーだけで済ませる
夏は湯船につからない人も増えます。
しかし38~40℃程度のお湯に10〜15分程度つかることで、血流が促され、自律神経も整いやすくなります。
薄着
ノースリーブや短パンで冷房の効いた部屋に長時間いると、お腹や腰、足首が冷えます。
運動不足
筋肉を使わない生活では熱が作られません。
特にふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、血液を押し戻す重要な役割があります。
今日からできる冷え対策
首・手首・足首を温める
「三首」と呼ばれる部分には太い血管があります。
薄手のカーディガン
ストール
レッグウォーマー
などを活用するだけでも効果が期待できます。
温かい飲み物を取り入れる
すべてを温かいものにする必要はありません。
1日数回でも
- 白湯
- 温かいお茶
- 生姜湯
などを取り入れることで胃腸への負担が軽減されます。
軽い運動
ウォーキング
ストレッチ
スクワット
ふくらはぎの運動
などを続けることで血流改善につながります。
エアコンの設定温度を見直す
環境省の「クールビズ」では、室温28℃を目安とした無理のない冷房利用が推奨されています(※建物や環境に応じて調整が必要です)。
風が直接体に当たらないようにすることも大切です。
漢方相談という選択肢
「冷え」と一言でいっても、その原因は人それぞれです。
- 胃腸が弱いタイプ
- 血流が悪いタイプ
- むくみやすいタイプ
- ストレスによる自律神経の乱れが強いタイプ
など、体質によって適した漢方薬や養生法は異なります。
例えば、胃腸の働きを整える処方、血流を改善する処方、水分代謝を整える処方などが選択されることがありますが、自己判断ではなく、体質や症状に合わせて専門家に相談することが大切です。
西漢方薬店オンライン漢方相談であれば、自宅にいながら現在の体調や生活習慣を詳しく確認し、一人ひとりに合わせたアドバイスを受けることができます。
まとめ
夏は暑さ対策ばかりに目が向きがちですが、実際には冷えによる体調不良に悩む方も少なくありません。
特に女性は筋肉量やホルモンバランスの影響から冷えを感じやすく、放置すると夏バテや胃腸障害、肩こり、頭痛、睡眠の質の低下など、さまざまな不調につながることがあります。
冷房を我慢する必要はありませんが、羽織ものを活用する、温かい飲み物を取り入れる、軽い運動を習慣にするなど、小さな工夫で冷えを和らげることは可能です。
「毎年夏になると体調を崩す」「冷えと疲れが続いている」という方は、単なる夏バテではなく、冷え夏が背景にあるかもしれません。体質に合わせた漢方や生活習慣の見直しも選択肢の一つとして、西漢方薬店オンライン漢方相談へ。
体質を見直しながら、自分らしく快適に過ごせる毎日を目指していきましょう。
参考資料・データ参照先
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf - 環境省「COOL BIZ(クールビズ)」
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/coolbiz/ - 日本東洋医学会「漢方医学Q&A」「一般向け情報」
https://www.jsom.or.jp/ebm/faq/ - 日本女性医学学会(女性の健康に関する情報)
https://www.jmwh.jp/ - e-ヘルスネット(厚生労働省:生活習慣・運動・健康情報)https://kennet.mhlw.go.jp/tools/
※本記事は一般的な健康情報を提供するものであり、診断や治療を目的としたものではありません。
この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴20年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


