漢方コラム
夏バテを予防しよう。
暑い夏の盛り、体調がすぐれずだるい、食欲がない、胃腸の調子が悪い、下痢をする、体重が落ちる、頭が痛い、めまいがする…。
こんな症状、つらいものです。
こういった症状をよく夏バテと呼びますが、「夏バテ」とはなんでしょう?
夏バテとは?
高温多湿な日本の夏の暑さによる体調不良の総称です。
医学的に夏バテという病気があるわけではありません。
暑気中り(しょきあたり)、暑さ負け、夏負け、夏やせと呼ばれることもあります。
夏バテという言葉から夏の病気であると思われがちですが、夏のこの時期に体調を崩すのは本来夏バテとは言わないようです。
本来は秋口に体調を崩した際、夏に体力が弱った影響で体調を崩したという意味が正解です。
夏バテはどうして起こるの?
原因1つ目は、自律神経の乱れです。
自律神経は、交感神経と副交感神経がほどよくバランスをとるように働いています。
ただ夏場は暑さに対応すること自体が自律神経にとっても大きな負担となります。
身体はその都度外気に適応しようとしますから、外は暑い、部屋はエアコンなどで涼しい、この温度差が大きいとそのストレスによっても自律神経が乱れてしまいます。
冷えすぎた部屋にずっといる場合でも、冷え”によるストレスから自律神経がうまく働かなくなります。
原因2つ目は、日本の高温多湿の環境による体力の消耗や発汗の異常です。
多湿により汗の蒸発が妨げられ、汗がうまく出せないと体内に熱がこもって体温調整がうまくできなくなることで体力が消耗し、消化器官の機能低下につながります。
原因3つ目は、連日連夜続く熱帯夜による睡眠不足です。
夜も気温が下がりにくく寝つきが悪くなりがちですが、十分な睡眠がとれないと日中の疲労回復がうまくできずに疲れがたまってしまいます、
合わせて自律神経の乱れにも繋がります。
夏バテ症状
夏バテの代表的な症状は、全身のだるさと疲労感です。
なんとなく身体がだるく、疲れが取れにくい日が続きます。
その他にも様々な症状が出てきます。
疲労感・疲れが取れにくい
吐き気
下痢
乾燥
集中力の低下
立ちくらみ
頭痛
筋肉痛
倦怠感
腹痛、食欲不振
夏風邪・・・
夏バテチェック
ご自身で夏バテが潜んでいるかどうかチェックして見てください。
チェック数が多いと夏バテの可能性があります。
□食欲がない
□疲れやすい
□つい水分をとりすぎてしまう
□よく冷えた飲み物を好む
□水分をあまりとらない
□朝食を抜くことが多い
□睡眠不足だ
□冷房の効いた場所に長時間いる
□汗を書かない
□体重減少
□甘いも飲み物やお酒をと多く飲む
□下痢気味
夏季うつや熱中症について
夏バテの症状と同様な病気があります。
夏季うつとは季節性感情障害(SAD)の一つで、夏の時期に発生する季節性のうつ病のことです。
季節性のうつ病にはこれといった原因はなく、食欲低下や不眠、不安感、精神的不調といった症状が決まった季節にあらわれます。
症状が出る期間が夏の場合は「夏季うつ」、冬の場合は「冬季うつ」と呼ばれます。
6月から9月の夏の時期に症状があらわれる夏季うつは、食欲不振や不眠といった症状が夏バテともよく似ているために、自分ではなかなか気付けないことが多いようです。
夏季うつと夏バテの大きな違いは、身体の不調に加えて心の疲れがあるかどうか。何をするにもやる気が出ない、気分が優れない、憂鬱な気持ちが続くなど、身体のだるさだけではなく精神的な不調もみられる場合は、該当する場合がありますので、悩まず相談ください。
もうひとつ夏に起きやすい症状として熱中症が挙げられます。
熱中症とは体温が上昇し、めまいやけいれん、頭痛などを引き起こす病気のことです。
夏バテ予防
しっかりと睡眠をとり、生活のリズムを整えましょう。
○食事
食欲が減退しがちな夏は、量より質に重点を置いた食事を摂りましょう。
とくに疲労回復に効果的な玄米、豚肉、ウナギ、豆類、ねぎ、山芋などの良質なタンパク質、高エネルギー、高ビタミンの食材を積極的に摂取し、栄養のバランスを重視した食事を心がけましょう。
冷たい飲食物、生もののとりすぎは、胃腸に負担をかけるので注意してください。
○睡眠
疲れを溜めないようにしましょう。
睡眠には心身の疲労を回復する働きがあります。
○リラックス
ぬるめのお風呂にしっかり浸かり、心身をリラックスさせましょう。
○運動
適度な運動により汗かく習慣を取り戻し、温度差の激しい屋内外の出入りなどで乱れがちな体温調節機能が改善させましょう。日中は暑いので、朝の涼しいうちに有酸素運動であるウォーキングに行ったり、冷房の効いた部屋で軽い体操をするなど適度な運動を心がけましょう。
○エアコンとの距離
あまり身体を冷やしすぎるのはよくありません。
適度な温度調節や、冷房の風が直接当たらないように風向きなどを調節したり、上着を羽織ったり、長いパンツや靴下をはくなど工夫をして体温の調節をしましょう。
夏バテと漢方
漢方には「陰陽論」というものがあります。
「暑いのは陽で寒いのが陰」など自然界にあるすべてのものは、相反する陰と陽という性質を持つという考え方です。
夏は、一年でもっとも暑い陽の強い時期で、汗をかくことで消耗しやすくなったり、潤いが不足しやすい季節と考えられています。
ご存知の通り、身体は常に体温を一定に保つようになっています。
身体が熱を持つと汗をかいたり、血管を拡げたりして体温を調節します。
しかし、この調節を行うにはエネルギーを使います。
エネルギーは、食べ物を胃腸で吸収してつくられます。
当然、冷たい食べ物・飲み物を摂ると胃腸が冷え、消化吸収力が落ちてバランスを崩します。
胃腸が元気かどうかは、ひとつの大切なチェックポイントとなります。
気になる症状は、人それぞれです。
西漢方薬店では、来店いただかなくても、スマホやPCでオンライン漢方相談を受けられます。お客様のお悩みや症状、体質、生活習慣等をお伺いした上で、お客様にあった漢方薬をご提案し、根本改善のためのアドバイスをいたします。
この記事を書いた人
西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
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