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漢方コラム

冬の養生

暦の上では立冬(11月上旬)~立春(2月上旬)までのおよそ3か月間の冬です。

寒い冬は絶好の養生の期間だといわれています。

その理由は、漢方では、エネルギーの消費を抑えるために気血といった栄養成分を「貯める」時期、生命力を身体の奥に蓄えておく時期と考えられています。

冬の養生とは?

日本の冬は寒さが厳しく乾燥しやすいのが特徴です。

寒さは、身体に大きなストレスがかかります。

とにかく寒さから身体をカバーして静かに過ごすことが基本です。

漢方では、冬と関係の深いのが「腎」です。

腎は、五行「木火土金水」でみると水に属し、五季の中では冬。

五悪の中では寒にあたり、腎は、寒さを嫌い寒さにとっても弱いのです。

「肝心(腎)要(かんじんかなめ)」という言葉があります。

実は、この語源は「肝臓」と「心(腎)臓」がとても大切な臓器であることに由来すると言われているのです。

腎は身体の中でとても大切な臓器です。

腎の働きをチェック

腎はどのような働きをするのでしょうか?

1.老廃物を身体から排出する

腎臓は血液を濾過して老廃物や余分な塩分を尿として身体の外へ排出してくれます。また、身体に必要なものは再吸収し、体内に留める働きをしています。

2.血液をつくる

赤血球は骨髄の中にある細胞が、腎臓から出るホルモンの刺激を受けてつくられます。腎臓の働きが悪くなると、このホルモンが出てこなくなってしまうため、血液が十分に作られなくなる可能性が高くなります。

3.イオンバランスを調節

腎臓は体内のイオンバランスを調節したり、身体に必要なミネラルを体内に取り込む役割も担っています。腎臓が悪くなると体液量の調節がうまくいかないため、身体のむくみにつながり、疲れやめまいなど不調が現れることがあります。

4.血圧のコントロール

腎臓は、塩分と水分の排出量をコントロールし血圧を調整しています。

5.骨の発育(ビタミンD)

腎臓は、カルシウムを体内に吸収させるのに必要な活性型ビタミンDをつくっており、骨の発育に大きく関与しています。

この働きをしている腎が冷えると体内を流れる水も冷え、身体に様々な不調が起こってしまうのです。腎臓・膀胱系が弱くなり、老廃物が排出しにくくなります。

結果、膀胱や生殖器、ホルモン、免疫、骨、耳、脳などいろいろな器官に影響が出てきます。

また体温を上げなくてはならないので、心臓にかかる負担が大きくなりますし、寒さから、身体を守るために毛細血管が収縮し、血圧も上昇するようになります。

そして脳血管にも影響し脳卒中などの病気が起きやすくなるのです。それだけでなく骨や腰にも、手足、腰、ヒザ、肩などの運動器のトラブルにもつながります。

さらに免疫機能とも関わりがあるので、ウイルス感染症が流行しやすい冬に、しっかりと養生すべきなのです。

冬の養生方法

では、冬の養生法にはどのようなものがあるのでしょうか。

1. 心穏やかに

冬は、できるだけ感情の起伏を少なくし、静かに、楽観的に過ごしましょう。

2.早寝早起き

「夜は暗くなったらすぐ休み、朝は太陽が昇って暖かくなってから起き出すのがよい」と古典「黄帝内径」にあります。

ゆっくりになった日の出とともに働き、日が沈んだら休むのが理想です。

万事に無理をしない、エネルギーを消耗しないことに重点を置きましょう。

3.外からの「寒邪」に気を付けましょう

「寒邪」が身体に侵入し冷えると、風邪をひいたり、手足や関節を冷やしてしまい、痛みを発してしまうことがあります。

腹巻やスパッツ、使い捨てカイロなどで、特に身体の中心部、おなかからおしりにかけて、しっかり温めましょう

4.入浴はぬるめの長湯しましょう

からだを芯から温めるには、ちょっとぬるめ(38℃前後)のお湯に、ゆったりと少し長くつかりましょう。足湯も良いです。

5.マッサージ

冷えやすい方は、その部分をもんだり、さすったり、押したり、たたいたりと簡単なマッサージをしましょう。

末梢の血行も良くなりますし、さらにはリラックスできます。

6.しっかりと食べる

温性の食品を積極的に摂りましょう。

生食を避け、ゆでたり、焼いたり、煮たりする工夫をしましょう。

また、決まった時間に三度の食事で胃腸をいたわる努力をしましょう。

食事時間がバラバラだと、胃腸トラブルのもとになります。

ダイエットのために食事を抜いたり、仕事が忙しくて食事時間が遅くなったりしないよう気をつけましょう。

冬にお勧めの食材

五臓で、冬に当てられた色は黒。

黒い食物は「腎」を補うと言われていますので、献立に積極的に採り入れてみてください。

・身体を温める食材

長葱、ニラ、胡桃、栗、黒豆、生姜、紫蘇、エビ、帆立、鮭、牡蠣、羊肉、鶏肉、牛肉、ヨモギ、シナモン、胡椒

・血や体液を作る食材

胡麻、山芋、鶏卵、豆腐、小松菜、人参、イカ、牡蠣、アサリ、豚肉、りんご、ベリー

・気の巡りを良くする食材

玉葱、らっきょう、そば、鮭、柑橘系、紫蘇、香草類、ジャスミン、胡椒

・血の巡りを良くする食材

黒豆、黒酢、黒きくらげ、黒糖、ニラ、蓮根、シナモン

・乾燥から守る食材

蓮根、大根、山芋、キクラゲ、白胡麻、胡桃、蜂蜜、豆腐

ご相談ください

・毎年、冬になると風邪をひき、治りにくい

・管支喘息や咳喘息のような激しい咳

・冷え性

・冷えからくるインフルエンザ、ノロウィルスなどの感染症

・頭痛・倦怠感・肩こり・意欲低下など夏バテに似た症状を引き起こす冬バテ

・なかなか症状がよくならない

・肌トラブル

・心臓や腎臓の障害

様々なお悩みがあるかと思います。

早く自然治癒力を高め、負けない身体を作ってあげることが重要ですので、お悩みの方はそのままにせずご相談ください。

手洗い・うがい・身の回りのこまめな殺菌と外出時のマスクの着用など予防が第一なのは間違いありません。

そして冬の養生方法を参考に、毎日を規則正しく、穏やかに過ごしましょう。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

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