漢方コラム
酒は百薬の長
忘年会・クリスマス・年末年始の真っただ中。
ウイルス感染症のため、なかなかお酒の機会が減ってしまったという方も多いと思いますが、それでもつい飲みすぎてしまい、翌朝頭痛や吐き気、だるさに悩まされる……という方も多いのではないでしょうか。
酒は百薬の長
酒は百薬の長ということわざをご存知ですか?
故事ことわざ辞典によると、「適量の酒はどんな良薬よりも効果がある」とお酒を賛美した意味があります。
しかしながら、その後に「飲むは必ず適量とすべし」という文が続いているのです。
(ここはポイントです。)
漢方や東洋医学の世界でも医療にお酒はつきものと考えられています。
医療の医の旧漢字「醫」。
こちらにも、「酒」にも使われている「酉」という部首が付いています。
日本では養命酒、西洋でも薬草を使ったお酒がたくさんあります。
このように酒には薬効があると考えられてきた歴史があります。
実際には、アルコールには消化を助けて食欲を増進させたり、血行・血流をよくして体を温めたり、深い眠りを誘うなどの効果があるのです。
代表的な酒の原料
■小麦
小麦の果皮は身体をやや冷ます性質があると言われ、小麦の種子は、意識、精神の安定をつかさどる心に働くとも言われています。 これを滋養することで、低下して不安定となった精神状態を正常化する効果があります。
■大麦
大麦はグルテンをほとんど含まないので、胃腸の消化により負担の少ない性質を有すると考えられています。麦芽はビールやウィスキーなどに用いられていますが、怒りに関する鬱々とした感情を解きほぐす作用があるとも言われてます。
■ホップ
ビールに用いられるホップの球果は、もともと西洋で用いられている薬用植物でした。利尿、血液浄化、月経促進作用があると考えられていました。最近では、鎮静的睡眠促進作用も発見されました。
飲みすぎ危険~よくある症状
ただ怖いことに・・・アルコールは飲み方次第で毒にもなります。
東洋医学の世界では、酒は熱性物質があると考えられています。
火が潜む水なんて言われることもあります。
下記の不快な症状は、すべてお酒がもたらしているのです。
■胸焼け
二日酔いで胸やけ・・・・という言葉がありますが、経験されたことはありますでしょうか?
胃酸が上がってくるような感じや胸が焼ける感じ、ヒリヒリ、ジリジリする感じや痛みが胸に違和感として現れる状態を胸焼けと言います。
胸焼けのほとんどが、胃酸の逆流によって食道の粘膜が刺激されることが原因です。
食後などで満腹になった胃が拡張し、食道と胃の間にある下部食道括約筋が緩むことによって起こります。
■熱邪
熱邪により、目の充血、頭痛、ほてり、不眠、動悸、胃の不快感、口の渇き、尿の色が濃いなどの熱症状が見られます。
上半身に症状が集中する理由は、熱は上に昇りやすいからです。
アルコール度数の高いお酒でこれらの症状が出やすいです。
■寒邪
胃腸が冷え、下痢などが起こります。
体を冷やすものの取りすぎが原因で起こります。
冷たいビール、酎ハイなどを多くとりすぎると症状がでます。
体の水分が溜まっている状態の水毒と寒邪が両方関わり、むくみが出ることもあります。
■水毒
体内に溜まった水分がうまく排出されないために起こる、さまざまな不調が起こります。
水毒になると、代謝や血行が悪くなって体温が下がります。
体温が下がれば、免疫機能を持った白血球の働きが悪くなり、腸や腎臓などの内臓機能が低下するため、免疫力が下がってしまうのです。
体が重い、体が冷える、鼻水が出る、鼻がつまる、めまいがするなど様々な症状がおきます。
楽しくお酒をいただくために・・・
お酒の適量は、厚生労働省の「健康日本21」で「節度ある適度な飲酒」は純アルコール量で20g(25mL)となっています。
これは、ビールだと500mL、日本酒やワインだと180mL程度です。
そして週に1日以上の休肝日をつくることと、泥酔するまで飲まないことが重要とあります。
1日の終わりに仕事の疲れを癒すために・・・・
楽しい打ち上げに・・・・
やはり健康でないと、楽しくお酒が飲めません。
よくお酒を飲む方は、漢方薬で体の負担を減らすこともおすすめいたします。
この記事を書いた人
西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。