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漢方コラム

簡単にできる漢方「食養生」を始めてみよう!

日々の不摂生やストレスが溜まってくると「なんとなく調子が悪い」と感じることがあります。その時、すぐに薬に頼るのではなく、漢方を生活に取り入れてみませんか?

漢方というと「漢方薬」のイメージが強いですが、もともとの考え方は「一に養生、二に漢方」といい、薬よりも養生を大切にしています。

「養生」とは、元々持って生まれた「生命力」や「自然治癒力」を高めていくことです。

今回はいくつかある養生の中でも、シンプルかつ簡単に生活に取り入れることのできる「食養生」を紹介します。

食養生とは?

食事は毎日の生活に欠かすことができません。

私たちの体は、毎日私たちが食べるものでできていると言っても過言ではありません。

そして「食養生」とは、体に良い食事によって、体の不調を根本的に直して健康を回復させることです。

それでは「食養生」は具体的にどのようなことをすれば良いのでしょうか?

食養生の基本

食養生には「五味(ごみ)」「五性(ごせい)」「五色(ごしょく)」の3つの考えがあります。

五味(ごみ)とは?

五味とは、「酸味」「苦味」「甘味」「辛味」「鹹味(塩味)」の5つの味のことです。

また、それぞれの味が五臓に対応していて臓器を調整する作用があります。


酸味

酸味は「肝」に作用し、体内から水分が必要以上に漏れ過ぎないように調整し、筋肉を引き締め、頻尿や多汗、下痢、出血などの症状に用いられます。とりすぎると尿や胃が不調になります。

代表的な食材は「酢」「梅」「レモン」「サンザシ」などです。

苦味

苦味は「心」に作用し、体の余分な熱をとり、水分を取り除き、炎症、高熱などを鎮静させます。皮膚トラブルや便秘、喘息などの症状に用いられます。とりすぎると、体の冷えの原因になります。

代表的な食材は「ゴーヤ」「銀杏」「レタス」「コーヒー」「緑茶」などです。

甘味

甘味は「脾」に作用し、痛みを和らげ、気血を補ったり筋肉の緊張を緩めます。

疲れた時や虚弱体質の人に用いられます。
とりすぎると、体がだるくなることがあります。

代表的な食材は「米」「卵」「ブロッコリー」「いも類」などです。

辛味

辛味は「肺」に作用し、停滞していた「気」と「血」の流れを良くし、邪気を発散します。

風邪の初期や風邪の初期や冷え性などの症状に用いられます。

とりすぎると、水分が排出されすぎてしまい、乾燥することもあります。

代表的な食材は「生姜」「ねぎ」「ニンニク」「大根」などです。

鹹味(塩味)

鹹味は「腎」に作用し、固まったものを柔らかくするので、便秘やしこり、老化防止などに用いられます。

とりすぎると、小腸や腎に負担がかかります。

代表的な食材は「わかめ」「イカ」「あさり」「のり」などです。

五性(ごせい)とは?

漢方では食の性質を「五性」といい、5つに分類しています。体を温める、冷やすの働きを示すもので「寒性」「涼性」「温性」「熱性」「平性」があります。

寒性

寒性は体を極端に冷やします。

体の熱を発散させ、水分を補い、消炎作用があり、毒を排泄します、

代表的な食材は「ゴーヤ」「あさり」「バナナ」「昆布」などです。

涼性

涼性は体を冷やします。

体の余分な熱を冷まし、のぼせ、火照りをおさえる作用があります。

代表的な食材は「アスパラガス」「レタス」「セロリ」「トマト」などです。

温性

温性は体を穏やかに温めます。

体を温め冷え性に作用があり、気・血の流れを良くします。

代表的な食材は「ニンニク」「生姜」「鶏肉」「カボチャ」です。

熱性

熱性は体を極端に温めます。

新陳代謝を高め、内臓を活発化させる作用があります。

代表的な食材は「唐辛子」「酒」「シナモン」「山椒」です。

平性

平性は体を温めも冷やしもしません。

日常的に食べる物に適していて、どんな体質の人でも食べやすい食材です。

代表的な食材は「梅」「里芋」「キャベツ」「ニンジン」です。

五色(ごしょく)とは?

食べ物を「赤」「黄」「緑」「白」「黒」の5つの色に分類していることを「五色」といいます。

赤は元気と活力を与える作用があります。

代表的な食材は「トマト」「マグロ」「カツオ」「スイカ」などです。

黄は気分を明るくして消化を助ける作用があります。

代表的な食材は「バナナ」「栗」「山芋」「とうもろこし」などです。

緑は気分をリラックスさせて、体調を整える作用があります。

代表的な食材は「ほうれん草」「小松菜」「春菊」「菜の花」などです。

白は心身ともにスッキリとする作用があります。

代表的な食材は「玉ねぎ」「にんにく」「たこ」「かに」などです。

黒は心を落ち着かせてホルモンバランスを整える作用があります。

代表的な食材は「牡蠣」「わかめ」「のり」「もずく」などです。

食養生法十項目とは?

それでは、食養生を実践するにはどのようにしたら良いのでしょうか?

食養生では、健康な体を作るために10つの項目を意識します。

【食養生法十項目】

1.気候風土にあったその場所で取れる食材を食べる

2.季節に合った旬の物を食べる

3.食材を丸ごと全部食べる

4.米などの穀物、自然発酵食、豆類、野菜を多く摂る

5.加工食品や食品添加物をできるだけ避ける

6.食事の量は腹7分目

7.一口ごと十分噛む

8.水分を摂りすぎない

9.楽しい雰囲気で食事をとる

10.食べ物に対して、感謝の気持ちを大切にする

食養生法十項目を生活に取り入れてみよう

食養生法十項目の10つを全て実践しようとすると難しいですが、まずはできることから取り組んでみることがおすすめです。

例えば、「季節に合った旬の物を食べる」は食材を意識して選ぶだけで実践できます。その季節の食べ物は美味しいだけでなく栄養価もとても高く、季節特有の症状を和らげる作用をしてくれます。

「食材を丸ごと全部食べる」はトマトやカボチャやにんじんなど、なるべく皮や根まで食べる食材を選ぶことを意識します。

「加工食品や食品添加物をできるだけ避ける」は昔ながらの「一汁三菜」の和食を意識することで自然と避けることができます。

また、現在の食生活で増えている食事の中でジュースやスナック菓子を控え、市販のドレッシングなど食品添加物が多い食品を避けましょう。

そして「食事の量は腹7分目」はお腹がいっぱいになるまで食べるのではなく、食べる量を少し控えめにしてみましょう。

現代社会は食材が豊富にありすぎてしまい、食品ロスなどの問題を抱えています。

食事は必要以上に用意するのではなく「少し足りないかな」と思うぐらいの量がおすすめです。

まとめ

私たちの体は私たちが毎日食べたもので作られています。

食養生は即効性がなく、今日始めたからと言って明日効果が出る物ではありませんが、日々の食事を見直し、食養生法十項目を意識することで、少しずつ体に変化が現れてきます。

「なんだか最近調子が悪い」と感じる時は、すぐに薬に頼ってしまうのではなく、日々食べている物を見直してみることが健康な体への近道かもしれません。

みなさんも、ぜひ食養生を取り入れてみてくださいね!

体からの小さなSOSを感じたらぜひ一度、西漢方薬店にご相談ください。

どうぞお一人で悩まずに、一緒に改善していきましょう。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

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