漢方コラム
体質改善は何から始めたら良いの?
私たちの日々のストレスや食生活など、小さな一つ一つの積み重ねがいつの間にか体を蝕んでしまい「なんとなくの不調」を感じるようになっています。
「最近すぐ疲れやすい」「なかなか寝付けない」「昔よりも痩せにくくなった」と悩んでいる方は、もしかすると根本的に体質を改善することであらゆる悩みが解消されるかもしれません。
確かに「体質改善」をすると悪い状態から良い状態に変化し、不調も良くなることは頭ではわかっているのですが、何から始めたら良いのかわからない方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は「体質改善の方法」についてご紹介します。
自分の体調としっかり向き合い、体質改善にチャレンジしてみてくださいね!
食事習慣の見直し
忙しい日々の中でゆっくりと食事をとることができず、つい早食いになってしまったり、ジャンクフードやインスタント食品など手軽に食べられるものに偏りがちになってしまいます。
ですが、その積み重ねが体調不良の要因の1つとなっている可能性があります。
早食いやジャンクフードなどの胃に負担がかかる食事が中心になってしまうと、胃腸の機能が弱ってしまいます。その結果、消化・吸収がうまくできず体が栄養不足になってしまい体にだるさや疲れが残ってしまうのです。
また、「体に良くないのだろうな」と思いつつも、食事をとる時間が取れず朝ごはんは食べずにお昼に一気に高カロリーの食事をとってしまうことも多いのではないでしょうか?
そこで、食事習慣を見直す第1歩として、まずは「1日3食」をバランスよくとることから始めるのがおすすめです。
そして、できるだけ「和食」を意識してみてください。
とは言うものの、現代においてはパンや麺類が中心の食生活の方が多いのも事実です。
ですが、「小麦粉」に含まれるグルテンは消化されにくく腸の粘膜に張り付いてしまい、腸内環境を悪化させる可能性があります。
一方、「ごはん」は糖質だけでなく、タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維なども含んでいて、消化も良く胃腸に負担をかけません。
体質改善のためにも、食事はできるだけ「和食」を心がけるようにしましょう。
適度な運動
子どもの頃は毎日のように公園や校庭を走り回っていたのに、いつの間にか走ることは年に1度か2度あるかどうかになっていないでしょうか。
ですが、「適度に体を動かす」ということは体にとって良いことであり、体質改善をするためにもおすすめの方法です。
ですが、運動習慣のない人にとって、いきなり「運動しましょう」というのは逆にストレスになってしまいます。
ストレスフルな生活を送る中で、強制的に運動をしなくてはいけないと言うことはストレス以外の何者でもありません。
不調を改善するための運動でストレスを感じてしまっては本末転倒になってしまいます。
そのため、無理のない範囲でまずは「15分程度の有酸素運動」から始めてみましょう。
有酸素運動とは「楽だけど少しきつい程度の運動」であり、ウォーキングやジョギング、サイクリング、スイミング、ヨガなどが挙げられます。
「疲れているのに運動なんてしたくない」と言う方もいるかもしれませんが、実は有酸素運動のあとは血流が良くなり体内の老廃物が排出されやすくなります。そのため、横になって休んでいるよりも少し体を動かした方が疲労は回復しやすくなるのです。
ただし、激しい運動は筋肉疲労が溜まってしまい、回復するまでに時間がかかってしまうので逆効果になってしまいます。
理想的な頻度は週に2〜4回。1回の運動時間の目安は約15〜20分程度です。
例えば、目的地の一駅前で降りて歩いてみることや、ジムのプールで軽く泳いでみること、朝の公園でジョギングするなど、短時間で軽い運動に留めておきましょう。
漢方
体質改善のために漢方の力を借りることも1つの方法です。
漢方では、まず自分の体と向き合い、今の状態をチェックし、体質のタイプによって様々な生薬を複合的に組み合わせます。
そのため、一人一人に合わせてオーダーメイドで漢方薬を用いるので、体質改善にはピッタリです。
また人の体は「気」「血」「水」の3つの要素によって成り立っていると考えられています。
「気」は生命を維持する力で、血液、水、臓器を動かし、体を温めます。
「血」は血液を意味し、全身に栄養を運び、ホルモンバランスを整えます。
「水」は血液以外の液体であり、リンパや汗や尿など体のあらゆる水分のことです。
この3つがバランスよく循環している状態がいわゆる「健康な状態」なのです。
ですが、この「気」「血」「水」のうち、どれか1つでも不足したり滞っていたりしてバランスが崩れていると不調を感じる要因となってしまいます。
漢方医学において不調にもそれぞれのタイプがあり
気虚(ききょ)
血虚(けっきょ)
陰虚(いんきょ)
気滞(きたい)
瘀血(おけつ)
水毒(すいどく)
などに分類されます。
気虚(ききょ)
気虚とは「気」が不足している状態です。元気の源である「気」が不足してしまっているので、気分が落ち込みやる気が出ず、エネルギーの消耗が多くなっている状態です。
主な症状は
・疲れやすく元気がない
・風邪を引きやすい
・なかなか起きられず、疲れが残っていることが多い
・食欲がない
・胃腸が弱い
・手足が冷える
などです。
このような症状の時は気を補う作用のある漢方薬がおすすめです。
例えば、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や人参養栄湯(にんじんようえいとう)などです。※これらが必ずあなたの身体に合うとは限りません。服用する前に必ず漢方の専門家にお尋ねください。
血虚(けっきょ)
血虚とは「血」が少なく不足している状態です。体を作るための血が不足しているため、体の栄養が不足し、さまざまなトラブルが起こりやすくなります。
主な症状は
・髪が抜けやすい
・爪が割れる
・めまい立ちくらみがある
・顔色が悪い
・生理不順
・手足の痺れ
・不眠
などです。
このような症状の時は血を補う作用のある漢方薬がおすすめです。
例えば、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や四物湯(しもつとう)などです。※これらが必ずあなたの身体に合うとは限りません。服用する前に必ず漢方の専門家にお尋ねください。
陰虚(いんきょ)
陰虚とは「水」が不足している状態です。
体の水分が不足して潤いがなくなっているので、冷やす力が弱まり、余計な熱で火照りやすくなっています。
主な症状は
・のぼせ
・火照り
・のどの乾き
・ドライマウス
・咳
・皮膚の乾燥
・排便痛
などです。
このような症状の時は水を補う作用のある漢方薬がおすすめです。
例えば、知柏地黄丸(ちばくじおうがん)や麦門冬湯(ばくもんどうとう)です。※これらが必ずあなたの身体に合うとは限りません。服用する前に必ず漢方の専門家にお尋ねください。
気滞(きたい)
気滞とは「気」の巡りが悪くなっている状態です。
元気の源である気が滞ってしまっていると、自律神経のコントロールがうまくいかず、精神的に不安定になってしまいます。
主な症状は
・イライラ
・不安
・喉の違和感
・胃やお腹のハリ
・ゲップ
・おなら
・生理不順
などです。
このような症状の時は気の巡りを良くする作用のある漢方薬がおすすめです。
例えば半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)や抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)です。※これらが必ずあなたの身体に合うとは限りません。服用する前に必ず漢方の専門家にお尋ねください。
瘀血(おけつ)
瘀血とは「血」の巡りが悪い状態です。
血の巡りが悪いと体に栄養素が行き渡らず、体内で滞ってしまうため不調の原因になります。
主な症状は
・手足の冷え
・肩こり
・頭痛
・シミ
・くすみ
・生理不順
・手足の痺れ
などです。
例えば桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や桃核承気湯(とうかくじょうきとう)です。※これらが必ずあなたの身体に合うとは限りません。服用する前に必ず漢方の専門家にお尋ねください。
水毒(すいどく)
水毒とは「水」が必要以上に溜まっている状態です。体内に水が溜まってしまい、手足がむくんだりしてしまいます。
主な症状は
・手足のむくみ
・めまい
・胃腸の不調
・喉が渇きやすい
・汗かき
などです。
例えば五苓散(ごれいさん)や防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)などです。※これらが必ずあなたの身体に合うとは限りません。服用する前に必ず漢方の専門家にお尋ねください。
まとめ
体質改善にかかる期間はどのくらいなのでしょうか?
一般的に人間の血液は120日間で入れ替わると言われています。体質改善はすぐ効果が出るものではありません。約4ヶ月程度、体質改善の方法を試してみてようやく「少し変わってきたかな?」と思うぐらいかもしれませんが、腰を据えてじっくり取り組んでくださいね。
日々の忙しさを優先してしまい、ついつい自分の体のことは後回しになってしまいます。
体からのSOSである不調を少しでも感じたら、根本的に体質を見直してみることがおすすめです。
以下のリンクから体質診断をすることができます。
はじめの1歩として、まずは自分の体のことを知ることから始めてみませんか?
この記事を書いた人
西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。