漢方コラム
漢方薬は本当に効くの?西洋薬の違い、漢方薬のメリット・デメリット
一般的に病院で処方される西洋薬は「病気そのもの」が治療の対象となり、薬を飲んでからすぐに症状にアプローチします。
一方、漢方薬は「病気を持つ人」が治療対象となり、人それぞれの体質や精神状態に合わせて自然治癒力を利用することで体調を改善していきます。
そのため、なかには即効性を感じることは少なく「漢方薬はちゃんと効くのかな?」と感じてしまい、結果として「効果がないのかも」と思う方も少なくないのかもしれません。
そこで、今回は「漢方薬と西洋薬の違い」「漢方薬のメリット・デメリット」についてご紹介します。
目次
漢方薬と西洋薬の違い
漢方薬とは?
漢方薬は様々な効果を持つ「生薬」の組み合わせによって作られています。一般的に西洋薬と比べると副作用は少なく、一人一人の体質や症状に合わせて生薬を配合するため、個人の体の状態に合わせてより良い漢方薬を選択することができます。
また、「漢方」は「中国から来た」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実は日本で名付けられた名前です。漢方という名前は江戸時代に西洋医学を「蘭方」と呼んだことに対して東洋医学が漢の時代に伝わったものであることから「漢方」と名付られました。
漢方薬と西洋薬との違い
■種類の違い
漢方薬で一般的に使われる生薬は約250種類あります。
これらの生薬を症状によって組み合わせて使用するのですが、現在日本の病院で処方される漢方薬は約150種類ほどになります。
150種類と聞くと「多い」と感じる方もいるかもしれませんが、実は西洋薬は約1万種類以上あるため、漢方薬は西洋薬と比較するとかなり少ないことがわかります。
その理由として、西洋薬は原則として一つの化学物質を使用するのに対し、漢方薬で使用する生薬には1つの中に数千種類の物質が含まれているため、結果として種類が多くなってきてしまっています。
■治療方針の違い
西洋薬は「1つの病気や症状」に対して「1つの薬」という治療方針であり、病気に対してピンポイントで強い効果を発揮します。
一方漢方薬は、1つの病気に対するアプローチではなく、一人一人の体質や不調に合わせて生薬を配合することで治療をしていきます。同じ病気に対しても、処方される人によって異なる漢方薬が選ばれることもあります。
ですが、西洋薬のように即効性があるものではないことが多く、「本当に効いているの?」と感じてしまう分かりにくい部分もあるのも事実です。
漢方薬のメリット
「本当に効いているの?」と思われやすい漢方薬ですが、メリットもあります。
今回は漢方薬のメリットを3つ紹介します。
早い段階で治療が始められる
漢方薬は病気に直接アプローチする西洋薬と違い、まだ病気になっていない状態である「未病」の段階で治療を開始することができます。
おそらく多くの方は冷え性や更年期障害など病名はついていないけれど「なぜか最近調子が悪い」など不調を感じることが1度ではなく幾度もあるのではないでしょうか。
そのような時は、ひたすら無理をして我慢するのではなく、漢方の専門家に相談して自分に合った漢方薬を処方していただくことがおすすめです。
副作用が少ない
漢方薬はまだ病気になっていない状態から、それぞれの体質にアプローチすることにより改善し、症状にマイルドに作用していくので副作用が少ないと言われています。
しかし、漢方薬に全く副作用がないわけではありません。また、他の薬との飲み合わせによって副作用が出る場合もあります。
少しでも「おかしいかな?」と感じた場合はすぐに服用をストップし、専門家に相談するようにしましょう。
自分の体を見つめ直すことができる
漢方はそもそも薬を飲むのではなく、食べているものが体を作って根本的に改善していくという「薬食同限(やくしょくどうげん)」という考えが根底にあります。
私たちの体は毎日食べるもので作られています。そのため、食事を見直すことは薬を飲むのと匹敵するほど大きな影響を与えることができます。
忙しい毎日の中、食生活の乱れや、規則正しい食事をすることが疎かになってしまい、結果として体に負担をかけることになってしまいます。
漢方薬を飲むことによって、自分の体について見つめ直す時間ができ、食生活を改善することでより体質改善の効果が期待できます。
漢方薬のデメリット
漢方薬はメリットがある一方でデメリットもあります。
■即効性がない(体質改善や慢性病の場合)
漢方薬のデメリットは体質改善や慢性病の治療の際、即効性がないことです。
漢方薬の種類には即効性のある漢方薬も存在しますが、体質改善や長年の慢性病に関しては、細胞や血液が入れ替わる3ヶ月は最低必要になります。
西洋薬のメリットとして、まずは症状を抑えるなどのアプローチをする場合があります。
もし、すぐに効果が出てほしい症状がある場合は漢方薬のみに頼るのではなく、専門家に相談して西洋薬もあわせながら治療を進めてください。
■飲みにくい場合がある
漢方薬は生薬を症状によって組み合わせて使用するのですが、中には苦味があるものがあるため飲みにくさを感じる方もいます。
ですが、苦味がある漢方薬には「熱を冷ます」「排泄を促す」という働きがあるとされています。例えば「大黄(だいおう)」や「黄連(おうれん)」などです。
昔から「良薬口に苦し」という言葉もあるように、苦味も漢方薬の大切な性質になりますので、工夫して飲むようにしましょう。
漢方薬が苦い場合は?
体に効くことがわかっているとはいえ、やはり「苦い薬」は飲みたくはないものですよね。
そんな時におすすめしたい飲み方を紹介します。
お湯に溶かす
80度くらいのお湯に漢方薬を入れ、かき混ぜてください。薬が良く溶けた後、氷を入れて冷やすことで匂いや苦味を抑えられ飲みやすくなります。
注意していただきたいのは、温かくして飲んだ方が良いのか、冷やして飲んだ方が良いのかは種類によって異なりますので、その際はお尋ねください。
薬ですので基本的には美味しくなるわけではないので、ご自分の飲める範囲の量で試してみてください。
形を変えてもらう
漢方薬は粉末タイプの薬が多いですが、最近では技術の発展により錠剤タイプの薬も登場しています。どうしても粉末タイプの薬が苦手な場合は専門家と相談し、錠剤タイプの薬に変更してもらってください。
オブラートに包む
オブラートとはデンプンでできている、薄く透き通ったシート状になっているものです。
一般に飲みにくい粉薬を飲む時などに利用されるため、漢方薬を飲む時にも利用することができます。
オブラートに包んだだけでは、口の中で粘膜にくっついて敗れて薬が出てしまい、逆に飲みにくくなってしまう場合があります。
オブラートを使用する場合は
1.コップに少量の水を入れオブラートに漢方薬を包んだものを浸す
2.オブラートが徐々に溶け始めるまで2分程度待つ
3.水ごと一緒に飲み込む
の順番で試してみてください。
オブラートをうまく活用することにより苦味を感じることなく漢方薬を飲むことができるのでおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
漢方薬は西洋薬と比べると即効性がないため、「効果がないの?」と思われることが多いのですが、決して効果がないわけではありません。
また、同じような症状に見えても一人一人抱えている不調は微妙に違っています。
そんな時は漢方薬を飲むことで不調の根本的な要因にアプローチし、徐々にですが確実に体質を改善することにつながってきます。
ぜひ、専門家と相談しながらご自分に合う漢方薬を見つけてくださいね。
体からの小さなSOSを感じたら
ぜひ一度、西漢方薬店にご相談ください。
どうぞお一人で悩まずに、一緒に改善していきましょう。
この記事を書いた人
西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。