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漢方コラム

生薬とは?

21世紀になり、人々の生活は急激なテクノロジーの進化により便利なものとなりました。

しかし、便利になったと同時に様々なストレスや健康問題を抱える人が増え「病気とまではいかないけど、どこか調子が悪い」と不調を訴える人が増えてきている中、最近注目を集めているのが「生薬(しょうやく)」です。

しかし「生薬」と聞いても、どのようなものであるのか正確に理解している人はまだ少ないかもしれません。

そこで今回は、生薬にスポットを当てて紹介していきたいと思います。

生薬とは?


生薬とは自然界から取れる植物や動物の薬効部位を用いて、体と心の調和を目指す伝統的な医療方法の1つです。

現在、日本で常用される生薬の種類は200種類と言われています。また、生薬は単独で使うのではなく複数を組み合わせて使うことで効き目を高めたり、補い合ったりしています。

また、生薬を正しく組み合わせて効果的に使用するためには分類を把握しておくことが重要です。

天然産物による分類

・植物性

・動物性

・鉱物性

・菌類性

味による分類

・酸(すっぱい)

・苦(にがい)

・甘(あまい)

・辛(からい)

・鹹(しおからい)

性質による分類

・温(熱)

・寒(涼)

・平

作用および使い方による分類

・上薬(特効薬的な効果はないが、毎日摂取して体質を強化する効果があり、他の薬の副作用を軽減する)

・中薬(少量から短期間なら毒性がなく、穏やかに作用する)

・下薬(作用は強いが、摂取量や摂取期間に十分配慮する必要がある)

生薬の歴史

生薬の歴史はとても古く、縄文時代の遺跡からキハダの樹皮が発見されたと言われていますが、体系的な知識として確立したのは中国の後漢の時代(西暦25~220年)のことでした。
中国における最も古い生薬の文献は『神農本草経』という書物で、365種類の生薬について書かれています。
その後、日本には飛鳥時代に朝鮮半島経由で生薬関係の文献が持ち込まれ、江戸時代には生薬の研究は日本国内でも盛んになりました。薬草などの調剤される前の原料を「生薬(きぐすり)」として古くから用いられ、1880年に日本の薬学者、大井玄洞が「生薬」を「しょうやく」と名付けました。その後20世紀に化学療法が確立されるまで、薬といえば「生薬」のことを表していました。

現在の日本では、中国と日本の長い歴史の中で選び抜かれた生薬を使用し、生薬の効果効能に再び注目が集まっています。

生薬と漢方薬

生薬は漢方薬を構成する原料です。漢方薬はその生薬を使い、漢方医学の考え方に基づき組み合わせたものをいいます。

例えば日本でも多くの人が聞いたことがある「葛根湯(かっこんとう)」は葛根、大棗、麻黄、芍薬、桂皮、生姜、甘草の7種類の生薬から構成されています。

また、女性ホルモンバランスを整えると言われている「加味逍遥散(かみしょうようさん)」は柴胡、芍薬、蒼朮、当帰、茯苓、山梔子、牡丹皮、甘草、生姜、薄荷の10種類の生薬で構成されています。

生薬は複数の生薬を正しく配合することで生薬単体のデメリットや副作用を抑え、相乗効果を期待できるため、さまざまな症状に対応することができるようになります。

ですが、漢方薬は飲みにくいものも多いため、ぜひ専門家に飲みやすい工夫などご相談ください。

代表的な生薬

生薬は長い期間にわたって使い続けられてきたことにより、有効性と安全性を検証してきました。その種類は非常に多いのですが、その中から代表的な生薬をいくつかご紹介します。

甘草

▼効果効能

炎症緩和、消化促進、咳抑制

▼使用部位

根(ルート)

▼説明

原産国は中国、モンゴルです。

甘い味で、他の生薬の苦味を緩和したり全体の調和を助ける役割があります。

代表的な漢方薬は「逍遥散(しょうようさん)」、「四逆散(しぎゃくさん)」です。

人参

▼効果効能

体力強壮、免疫力向上

▼使用部位

根(ルート)

▼説明

原産国は中国、韓国です。

長期間の使用により疲労回復や身体の強壮を助けます。

代表的な漢方薬は「十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」「六君子湯(りっくんしとう)」です。

当帰

▼効果効能

血の補強、婦人科系の症状改善

▼使用部位

根(ルート)

▼説明

原産国は中国です。

血液の循環を促進し、月経不順や貧血などの改善をサポートします。

代表的な漢方薬は「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「四物湯(しもつとう)」です。

大黄

▼効果効能

便秘解消、デトックス

▼使用部位

根(ルート)

▼説明

原産国は中国です。

便秘改善やデトックス効果があると言われています。
ただし、強い下剤として知られているため過度の使用は避け、専門家の指示に従いましょう。

代表的な漢方薬は「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」、「大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)」です。

桂皮

▼効果効能

体温調節、心臓血管系の調整

▼使用部位

樹皮

▼説明

原産国は中国です。

冷え性や頭痛に作用し、心臓血管系の調整をサポートします。

代表的な漢方薬は「桂枝湯(けいしとう)」、「桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」です。

芍薬(しゃくやく)

▼効果効能

痙攣緩和、抗炎症、消化器系の調整

▼使用部位

根(ルート)

▼説明

原産国は中国です。

筋肉の緊張や痙攣緩和や、消化器系の調整に用いられます。

婦人科系の症状をサポートし、特に月経前症候群(PMS)の緩和が期待できます。

代表的な漢方薬は「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

現代において「薬」というと病気に直接効果がある「西洋薬」が一般的でした。

しかし、残念なことに薬の副作用に悩む方も少なくありません。

また、「少し体調が悪い」ぐらいでは病院へ行ったり、休んだりすることができない方が多いのも事実です。

「生薬」を使った漢方薬ははまだ病気になっていない「未病」の段階から使うことができます。ぜひ漢方薬をうまく使い、一人でも多くの方が健康に毎日を過ごせることを願っています。

一方、生薬は不調に直接アプローチできるとても優れたものですが、その利用には専門的な知識が必要です。インターネットを利用して生薬を手軽に手に入れられることも増えているため、間違った使い方をした結果、副作用などのリスクを伴うこともあります。

安全に利用するためには、かかりつけの医師や薬剤師と相談して使用することがおすすめです。また、忙しい方でも気軽に相談できるオンライン漢方相談ができるところも増えてきています。

西漢方薬店では随時オンライン相談を受け付けています。初回は30分から1時間程度時間をかけてカウンセリングさせていただき、漢方診断に必要な望診(体格、顔色、舌の状態)、問診など総合的に判断し、あなたの身体に合った最適な漢方薬をお選び致します。

体からの小さなSOSを感じたらぜひ一度、西漢方薬店にご相談ください。

どうぞお一人で悩まずに、一緒に改善していきましょう。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

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