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漢方コラム

胃腸と漢方

胃腸は東洋医学では、私たちが食べた食べ物をエネルギーへと変える重要な臓器です。しかし、現代社会のライフスタイルや食習慣、ストレスなどの影響で胃腸に負担がかかり、不調を訴える人が増えています。

胃腸のトラブルが慢性化してしまうと、消化不良や免疫機能の低下、精神的影響などさまざまな不調を引き起こす可能性があります。

そこで、今回は胃腸のトラブルを和らげ快適な日常生活を送るための漢方の知恵をご紹介します。

東洋医学における「胃腸」とは?

東洋医学では胃は「六腑」の中の1つであり「五臓」の「脾」と深い関係にあります。

また、単なる消化吸収の器官としてだけでなく「水穀の海」と呼ばれ、体全体のエネルギーの流れに深く関わる臓器であるとされ、主な機能は3つあります。

受納

受納とは、飲食物を受け入れる機能のことです。摂取した飲食物はまず胃に受けられ、一時的に保持されます。
この機能が乱れた状態を「胃能呆滞(いのうほうだい)」といい、食欲不振や嘔吐などの症状が現れることがあります。

腐熟

腐熟とは、胃が飲食物を一定時間胃に留めて、胃酸や消化酵素の作用によって消化する機能のことです。
この機能が不足すると、飲食物は胃に停滞してしまい、消化不良や腹部の膨満感や胃もたれなどの症状が現れることがあります。

和降

和降とは「通降」とも言われ、消化された飲食物を小腸へと移動させる機能のことです。
小腸に送ることで、胃は受納をできるようになり、空腹感を感じまた食欲がでてきます。

もし、この機能が乱れてしまうと、胃もたれ、逆流性食道炎、胸焼けなどの症状が現れることがあります。

現代社会における胃腸のトラブルとは?

 

飽食の時代

現代社会は、多種多様な食材や加工食品を手軽に食べたい時に食べることができる飽食の時代と言われています。

産業革命以前は、技術が未発展だったため食品の保存技術や加工技術が確立していなかったため、食材を保存するには塩漬けや干物などの簡易的な方法しかありませんでした。そのため、栄養が偏ってしまったり、天候などによる不作や獲物の不足などによって、飢饉や飢餓で苦しむことが少なくありませんでした。
生命を維持し、食べることがやっとであるという時代は19世紀中頃まで続きました。

しかし、産業革命後には農業技術や食品加工技術が進化し、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど、手軽に食品を手に入れることができるようになりました。
その結果、豊富な食材や嗜好品としての食品の普及により、食事量やカロリーが増え、本来の胃腸がもっている消化できる能力のキャパシティを超えてしまい、トラブルを引き起こしてしまうリスクが高まりました。

ストレス

実は、胃腸はストレスに非常に敏感な臓器です。
ストレスがかかると胃酸を過剰に分泌し、胃炎や胃潰瘍の原因となります。


現代社会においてSNSやインターネットの普及により、知らず知らずのうちに一日中浴びるように情報に接しています。そのため、頭が休まる暇がなく精神的にも疲れを感じます。

また、労働環境もまだまだ改善されていないところも多く、長時間の労働時間やハラスメントやリモートワークにおける生活リズムの乱れなどが問題となっています。

さらに、人間関係で悩みを抱える人も少なくありません。

このように現在社会はストレスを感じやすい社会構造になってしまっているため、ストレスに敏感な胃腸はトラブルを抱えることが多くなってきます。

胃腸トラブルの予防

食生活の改善

胃腸のトラブルを予防するために、まずは食生活の見直しをしましょう。
バランスの良い食事を心がけ、腹八分目で食べることが基本です。また、常に胃の中に食べ物がある状態は胃腸に負担をかけてしまいます。間食や夜食をするのではなく、決まった時間にきちんと食べるようにしましょう。

そして、早食いは食材が十分に細かくなっていない状態で胃腸に入ってきてしまうので、消化するためにかなり負担がかかってしまいます。

消化を助けるためにも、食事はゆっくりしっかり噛むことを意識しましょう。

漢方薬や薬膳を取り入れる

東洋医学では胃腸のトラブルに作用する漢方薬を処方してもらうことや胃腸の機能を高める食材を積極的に日常生活に取り入れる薬膳の知恵など胃腸の機能をサポートするための方法が多数あります。

胃腸トラブルにおすすめの漢方薬

胃腸のトラブルにもそれぞれ症状があるため、その症状にあったものを処方してもらうことがおすすめです。ここでは代表的な胃腸に作用する漢方薬をご紹介します。

六君子湯(りっくんしとう)

食欲不振など胃腸の調子をよくしたい方におすすめなのが六君子湯(りっくんしとう)です。このような症状は、胃腸の働きが弱っていて「気」が少なくなっている状態であると考えられ、「気」を補ってめぐらせることで胃腸の働きを高める作用があるとされています。

(生薬の構成)

人参、半夏、茯苓、白朮、大棗、陳皮、甘草、生姜

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

漢方ではストレスを「気」にかかる圧力と考えられており、過度なストレスがかかると「気」はその場で停滞し、胃腸の消化吸収能力が低下しやすくなります。みぞおちがつかえる、嘔吐などはストレスが原因の不調の可能性があります。
半夏厚朴湯は気を降逆する作用があり、ストレス性の胃腸のトラブルによく用いられます。

(生薬の構成)

半夏、厚朴、生姜、茯苓、蘇葉

止逆清和錠(しぎゃくせいわじょう)

胃酸の逆流などによる胸焼けや胃もたれにおすすめなのが​​止逆清和錠です。
胆汁分泌を促進させ、胃酸を中和し胃の調子を整える作用が期待できます。

(生薬の構成)

牛胆汁エキス、牡蠣、甘草、桂皮、生姜、黄柏

薬膳における胃腸の効果を高める食材

①生姜
生姜は体を温め、胃腸の働きを活性化し食欲を増進させる作用があります。吐き気や嘔吐の緩和にもおすすめです。


②大根

大根は消化を助け、肺や胃腸の熱をとります。大根おろしは消化不良による胸焼けや、吐き気などにおすすめです。

③里芋

里芋の粘りが胃の粘膜を保護します。胃が不調で消化力が低下している時におすすめの食材です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

私たちが快適な生活を送るためにも胃腸の健康は必要不可欠です。

しかし、現在社会のストレスや食生活の変化はどうしても胃腸に負担がかかることが多いのが現状です。

食生活の見直しはもちろんですが、漢方の知識をうまく取り入れることで胃腸の健康を維持し、機能の向上を期待することができます。

西漢方薬店では随時オンライン相談を受け付けています。初回は30分から1時間程度時間をかけてカウンセリングさせていただき、漢方診断に必要な望診(体格、顔色、舌の状態)、問診など総合的に判断し、あなたの身体に合った最適な漢方薬をお選び致します。

体からの小さなSOSを感じたらぜひ一度、西漢方薬店にご相談ください。

どうぞお一人で悩まずに、一緒に改善していきましょう。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

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