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漢方コラム

漢方と乾燥対策

暑い夏が終わり、涼しくなり秋が深まり始めると同時に訪れるのが「乾燥」です。
乾燥する季節になると、肌のかさつきや体調の不調など様々なトラブルに悩まされている方も多いのではないでしょうか。

自然の成分を利用した漢方は身体の内側からアプローチし、乾燥対策の手助けをしてくれます。そこで、今回は漢方と乾燥の関係性について詳しくご紹介します。

乾燥における身体への影響

秋や冬になると空気の湿度が低下し乾燥の影響は顕著になり、全身に様々なトラブルがでてきます。

肌のトラブル

乾燥すると皮膚の水分と油分のバランスが崩れ、肌のかゆみや赤み、さらには粉を吹いたような状態になります。さらに症状が悪化すると、ひび割れや皮膚炎などの症状が発生し、肌のバリア機能が低下することで、感染症のリスクも高まってしまいます。

呼吸器系のトラブル

湿度が低下すると、喉や鼻の粘膜が乾燥してしまいます。
その結果、喉の痛みや鼻血が出やすくなり、粘膜の防御機能を弱めてしまうためウィルスや細菌が侵入しやすくなり感染症のリスクが増加します。

目のトラブル

パソコンやスマートフォンなど普段から目を酷使することが多く、ドライアイで悩まれている方も多いのではないでしょうか。
空気が乾燥しているとドライアイになりやすく、目がかわくだけでなく、不快感や疲れ目の原因になります。

臓器のトラブル

一見乾燥とは関係ないように思う方も多いかもしれませんが、心臓などの臓器も乾燥の影響を受けます。乾燥すると体内の水分量が減ってしまい、血液が濃くなり血流が悪くなる可能性があります。

脱水のトラブル

脱水症状は夏の暑い時だけではなく、汗を書く量が減少する冬にも起こります。冬は水分摂取量が不足するため、乾燥による脱水が起こりやすく頭痛や肥料間、集中力の低下などの症状が現れます。

乾燥におすすめの食材

乾燥対策のために、日々の食事で肌のターンオーバーを促す食材や、潤いを保つサポートをする食材を摂ることもおすすめです。

レバーや豚肉

乾燥肌はターンオーバーの乱れにより起こります。レバーや豚肉などのビタミンB₂、B₆が豊富な食材を摂ることでターンオーバーの正常化に役立ちます。

卵は完全栄養食と言われ、タンパク質、ビタミンA、B、D、豊富なミネラルを含んでいます。乾燥対策のためだけでなく、肌や髪を作り、脳や目の老化予防にも役立ちます。

大豆食品

豆腐や納豆、豆乳、きなこなどの大豆食品に含まれる「大豆イソフラボン」は細胞の新陳代謝を高めて肌の潤いを保つサポートをします。

漢方と乾燥

漢方では人の体は「気」「血」「水」の3要素で構成されていると考えられています。
そして、この「水」が不足し、「気」「血」のバランスが崩れることで体に様々なトラブルが出やすくなります。
乾燥は「陰虚」「血虚」という体質が引き金であると考えられています。

「陰虚」の体質

「陰虚」とは「陰」のエネルギーが不足し水分が不足する状態です。

陰虚の特徴は
・手足のほてり
・寝汗をかく

・身体がやせる

・喉の渇き

・不眠

・空咳

です。

この症状は、中年期以降の女性によく見られます。体を乾燥させやすくなる、辛い食べ物や香辛料の摂りすぎには注意が必要です。

【おすすめの漢方薬】

・知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
知柏地黄丸は体を冷やし余分な熱を除く「知母(ちも)」、肝臓と腎臓の機能を強化し、血液や体液の質を改善し体の潤いを保つ「地黄(じおう)」、そしてその他にも体のバランスを整えるための生薬で構成されています。
この漢方薬によって体内の陰の体内を補い、乾燥肌、喉の渇き、ほてり、不眠などによる陰虚による症状を和らげることができます。

・麦門冬湯(ばくもんどうとう)
麦門冬湯は、咳を和らげ肺を潤す「麦門冬(ばくもんどう)」、肺の機能を高め、体の水分バランスを調整する「粳米(こうべい)」、痰の排出や咳に効く「半夏(ハンゲ)」、胃腸の働きを助ける「人参(にんじん)」などの生薬で構成されています。

この漢方薬によって、特に乾燥による咳や喉の痛みを和らげ、肺の機能のサポートや胃腸の働きをサポートします。

「血虚」の体質

「血虚」とは「血」が不足している状態です。漢方において「血」は血液だけでなく爪や骨、皮膚など体をつくる原料となり、健康を維持しています。

血虚の特徴

・爪が割れる

・抜け毛

・めまい

・目のかすみ

・ドライアイ

・睡眠トラブル

など。

【おすすめの漢方薬】

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散は女性の不調に用いられることが多い漢方薬です。
全身に栄養素を与え血行をよくし、水分代謝を整え余分な水分を体から取り除き冷え性や生理不順を改善します。

血行を促進し、血液の質を改善する「当帰(とうき)」、筋肉の緊張を和らげ痛みを緩和する「芍薬(しゃくやく)」、消化を助け、体の水分バランスを整える「蒼朮(そうじゅつ)」、体の余分な水分を排出する「茯苓(ぶくりょう)」、体内のバランスを整える「甘草(かんぞう)」などの生薬で構成されています。

・四物湯(しもつとう)

四物湯は血を補うこと、血行を良くするサポートをする漢方薬です。
血行を改善し、血液の循環を促進する「川芎(せんきゅう)」、筋肉の緊張を和らげ痛みを緩和する「白芍(びゃくしゃく)」、血を補い体の潤いを保つ「地黄(じおう)」、血行を促進する「当帰(とうき)」などの生薬で構成されています。

まとめ

乾燥によるトラブルは私たちの生活に大きな影響を与えます。乾燥対策は、肌の表面的な問題だけでなく、体全身のトラブルの元になります。
バランスの良い食事を心がけること、十分な睡眠、ストレス対策、また、室内環境の調整などで湿度を適切に保つことも大切ですが健康で快適な毎日を送るために、漢方の力を借りることも1つの方法です。

漢方薬は副作用が少ないと言われていますが、個人の判断だけで行うには注意が必要です。

漢方は正しく使えば大きな助けとなりますが、間違って使えば副作用やアレルギー反応を引き起こす可能性もあります。また、一人一人の症状に合わせた調合が必要となってくるため、専門家の指導のもと利用するのが理想的です。

西漢方薬店では随時オンライン相談を受け付けています。初回は30分から1時間程度時間をかけてカウンセリングさせていただき、漢方診断に必要な望診(体格、顔色、舌の状態)、問診など総合的に判断し、あなたの身体に合った最適な漢方薬をお選び致します。

体からの小さなSOSを感じたらぜひ一度、西漢方薬店にご相談ください。

どうぞお一人で悩まずに、一緒に改善していきましょう。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

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