漢方コラム
春の体調不良に悩むあなたへ 〜健康管理と漢方によるアプローチ方法〜
雪が溶けはじめ、寒さが和らぐと共に冬が終わり、新たな季節である春が訪れます。
この時期は万物が生まれ変わり気候も良くなる時期ですが、この変化は人間の体にとってあらゆる影響を及ぼすので、体調を崩しやすい人も少なくありません。
また、気温のアップダウンも激しく、花粉症のアレルギー反応を引き起こす要因も多いので、体調管理も特に必要な季節でもあります。
そこで今回は、春の体調不良におすすめの健康管理と漢方の知恵について紹介します。
ぜひ、春を快適に健康的に過ごすヒントにしてください!
目次
春におすすめの健康管理
適度な運動
冬の間は寒さで体を動かすのが億劫に感じてしまいますが、春になると気温の上昇と共に活動がしやすくなります。適度な運動は血行を促進し、免疫を高めるため、春の体調不良を感じたら体を積極的に動かすようにしましょう。
ですが、冬の間動かしていなかった体を急に動かしてしまっては、体に負担がかかってしまうので、ウォーキングやストレッチ、ヨガなど軽めの運動からはじめ、徐々に体を慣らしていきましょう。
睡眠の質向上
春は日照の時間が長くなるため、生活リズムが乱れがちになります。睡眠の質の低下を防ぐためにも、夜更かしを避け、就寝・起床のリズムを崩さないことが重要です。
十分な睡眠は免疫力を高める上で非常に重要なので、快適な睡眠をとれるように寝室の環境を整える、お風呂の時間をゆっくりとってリラックスするなど工夫してみましょう。
ストレス発散
春は新生活がはじまる時期なので、環境の変化やルーティンの変化などがある人が多く、知らない間にストレスが蓄積してしまい、疲れを感じやすくなってしまいます。
ストレスは万病の原因とも言われ、自律神経のバランスを崩し免疫力を低下させるため、自身の効果的なストレス発散方法を知っておくことも大切です。
新しい環境に適応するために忙しく自分のための時間を取りにくいかもしれませんが、ストレスが爆発する前にリフレッシュのための時間を意識的にとるようにしてみてください。
バランスの取れた食事
野菜や果物などビタミンやミネラルを豊富に含む食材を積極的に取り入れ、バランスの良い食事を心がけるようにしましょう。
これは春だけに限りませんが、栄養価の高い食事をすることで冬の間に不足しがちだった栄養を補うことが期待されます。
また、春野菜はデトックスや免疫力アップが期待できるものが多いので、できるだけ春の食材を食べることを意識してみましょう。
春の代表的な体調不良とおすすめの漢方
春によく見られる体調不良には、花粉症、春バテ、肌トラブルなどがあります。
花粉症
春は花粉が多く飛散する季節であり、花粉症の症状が現れやすく鼻水やくしゃみ、目の痒みなどの症状に苦しむ人が増えます。
花粉症は単なる不快な症状に苦しむだけでなく、それらの影響で不眠や集中力低下を引き起こし、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
漢方では、花粉症の症状を引き起こす内的要因に着目し、体の内側からアプローチしていきます。
おすすめの漢方薬
※誰にでも合う漢方薬ではないので、服用前に必ずご相談ください。
①麦門冬湯(ばくもんどうとう)
喉の渇きや咳に効果的で、花粉症による咽頭炎や乾燥感にアプローチし、不快な症状を和らげます。
②小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
鼻水やくしゃみ、鼻詰まりといった症状にアプローチし、体内の余分な水分を取り除く作用があります。
③葛根湯(かっこんとう)
風邪のひきはじめの頭痛や肩こりの際に用いられます。花粉症は初期の風邪症状に似ているため、同様に体のだるさなどにアプローチし症状の緩和が期待できます。
春バテ
夏の猛暑にだるさを感じる「夏バテ」はよく聞きますが、春にも「春バテ」あることを御存でしたでしょうか?
春バテは気温の上昇と共に、体のだるさ、疲労感、気力の低下、集中力の欠如などの症状がでます。
寒い冬から春への季節の変わり目に体が適応しにくいことが原因で、自律神経の乱れやホルモンバランスの変化が影響しています。
この春バテの症状には、体のバランスを整えて、気の流れを改善しましょう。
おすすめの漢方薬
※誰にでも合う漢方薬ではないので、服用前に必ずご相談ください。
①補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
体力が低下している人に元気を与え、全身の疲労感やだるさを取り除き、食欲不振、消化不良などに作用します。
②抑肝散(よくかんさん)
自律神経の乱れを整え、精神的なストレスや不安を和らげ、睡眠障害などに作用します。
③逍遥散(しょうようさん)
春の気候変動や日照時間の増加によって影響を受けやすい心身のストレスや不調に対してアプローチします。さらに、PMSや更年期障害にも用いられる漢方薬で、体と心の両方の調整を行う効果が期待できます。
春の肌荒れ
春は、気温や湿度の変化、花粉や紫外線の影響によって肌のトラブルに悩む方も多く、乾燥、赤み、かゆみ、敏感肌、ニキビなどの症状が出やすくなります。
おすすめの漢方薬
※誰にでも合う漢方薬ではないので、服用前に必ずご相談ください。
①当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血の巡りを良くし、肌の乾燥や敏感さを和らげる作用があります。PMSや更年期障害による肌トラブルにも用いられます。
②四物湯(しもつとう)
血の不足による肌荒れ、顔色の悪さ、疲労感に対してアプローチし、全身の血行を促進することで春の肌荒れの症状に作用します。
③桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
水分代謝を正常化し、体内の余分な湿を取り除く作用をします。この効果により、ニキビや肌荒れの改善が期待されます。
まとめ
春は新しい季節がはじまり、喜ばしい季節ではありますが、一方で体調を崩しやすい季節でもあります。
「疲れがなかなか取れない」「肌あれがひどくて憂鬱」といった不調を抱え、春を満喫できない方も少なくありません。
本コラムでご紹介した健康を意識した生活習慣と漢方の知恵を取り入れることで、このような春特有の体調不良を解消し、誰もが春の季節を心身ともに快適に過ごせることを願っております。
ただし、体調不良が深刻な場合は注意が必要です。
それが単に春の体調不良によるものではなく、より深刻な病気の兆候である可能性もかんがえられます。なにかしらの病気が潜んでいる場合もありますので、自己判断するのではなく専門的な医療機関を受診してください。
また、漢方薬は一般的に副作用が少ないと言われていますが、それが完全にゼロというわけではありません。漢方薬を用いて体調を整えたい、今の不調を根本的に改善したいとお考えの場合は、ご自身で判断するのではなく漢方の専門家に相談することをおすすめします。
西漢方薬店では随時オンライン相談を受け付けています。初回は30分から1時間程度時間をかけてカウンセリングさせていただき、漢方診断に必要な望診(体格、顔色、舌の状態)、問診など総合的に判断し、あなたの身体に合った最適な漢方薬をお選び致します。
体からのサインに気づいたらぜひ一度、ご相談ください。
どうぞお一人で悩まずに、私たちと一緒に改善していきましょう!
この記事を書いた人
西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。