漢方コラム
【漢方薬の正しい飲み方】最大の効果を引き出すための方法
漢方薬を飲んでいるけど、いまいち効果を感じていない方へ。
漢方薬の正しい飲み方:最大の効果を引き出すための方法を解説します。
・病院でもらった漢方薬を粉のまま飲んでいる
・子供に飲ませるのにジュースで飲ませている
この記事を読み終わった後、少しの工夫で効果が上がるでしょう。
漢方薬とは?
漢方薬の歴史と基本原理
漢方は、5~6世紀に中国から日本へ伝わった中国伝統医学を基にしています。日本の特有の気候や風土、そして日本人の体質に適応させる形で独自に発展し、「漢方」として知られるようになりました。漢方薬は、その長い歴史を通じて、多様な効能を持つ植物、動物、鉱物などの天然素材を組み合わせて作られてきました。これらの薬は、身体のバランスを整えたり、体内のエネルギーの流れを改善することを目的としています。
西洋医学との違い
漢方薬と西洋医学の薬は、その成り立ち、病気の捉え方、作用の仕方、治療法など、いくつかの点で異なります。
■薬の成り立ち
・西洋薬は化学合成による人工的な単一成分で構成されています。
・漢方薬は天然の生薬を基に複数の生薬を組み合わせて作られています。
■病気の捉え方
・西洋医学では「病気そのもの」が治療のターゲットです。
・漢方医学では「病気を持つ人」を治療対象と考えます。
■作用の仕方
・西洋薬は、特定の症状や病気に対して強い効果を持ちます。
・漢方薬は、身体全体のバランスを整えるように働きます。
■治療法
・西洋医学は、原因となっている部分を取り除いたり、不随する症状を薬で抑える治療に優れています。
・漢方医学は、身体全体のひずみを整えながら身体に備わっている自然治癒力を高めることで、回復を図ることを目指す治療を行います。
これらの違いから、西洋医学と漢方医学はそれぞれ異なる病気や症状に対して得意とする分野があります。そのため、両方の得意分野を生かし、それらを症状や病気に応じて、上手に利用しながら健康を維持していくことが大切です。
漢方薬の飲み方の基本
漢方薬の剤形(ざいけい)の種類
漢方薬にはさまざまな形があります。漢方薬の種類を剤形(ざいけい)と言います。代表的な剤形は以下の5つです。
■煎剤(せんざい)
生薬に含まれる有効成分を熱湯で煮出すことを「煎じる」と言います。煮出したスープ状の薬汁が「煎薬」になります。
■散剤(さんざい)
生薬を粉砕して、粉状にしたもの。
■丸剤(がんざい)
散剤に水分や蜜分を加えて丸い粒状にしたもの。
■顆粒(かりゅう)
煎じ液を濃縮したあとに、水分を蒸発させて、取り出し、加工して顆粒状にしたもの。
■錠剤(じょうざい)
抽出したエキスに賦形剤を加えて定形に圧縮したもの。
では、ここで問題です。
病院でお馴染みのツムラの漢方薬は1~5のどれになるでしょう?
正解は、4.顆粒です。
ということは、
煎剤(せんざい)を水分を蒸発させて、取り出し、加工して顆粒状にしたものが、皆さんが病院でもらっている漢方薬になります。
漢方薬の名前で剤形を選ぶ ○○湯、○○散、○○丸
葛根湯、当帰芍薬散、八味地黄丸など、漢方薬にはいろいろな名前があります。
あなたが飲んでいる漢方薬は、
○○湯?
○○散?
○○丸?
一部例外はありますが、大体は○○湯、○○散、○○丸になると思います。
○○湯の場合は、湯剤が元々の形で、1.煎剤(せんざい)が基本になります。
○○散の場合は、散剤が元々の形で、2.散剤(さんざい)が基本になります。
○○丸の場合は、丸剤が元々の形で、3.丸剤(がんざい)が基本になります。
これらの剤形で服用するのが、一番効果があります。
お湯に溶かして飲んでみよう
では、病院でもらった4.顆粒(かりゅう)の漢方薬はどうやって服用したら、本来の形に近づけて服用できるでしょうか?
答えは、1.煎剤(せんざい)の形に近づけてあげます。
4.顆粒(かりゅう)は1.煎剤(せんざい)の煎じ液を濃縮したあとに、水分を蒸発させて、取り出し、加工して顆粒状にしたものでした。
なので、お湯で戻してあげます。
そうすると、あら不思議、独特のにおいと味がまずくなります(笑)
でも、これが本来の形です。
イメージとしては、
インスタントコーヒーの粉にお湯を注ぐイメージです。
インスタントコーヒーにお湯を入れるとコーヒーのよい香り、味が蘇ります。
顆粒はお湯に溶けにくいので、茶筅(ちゃせん)で混ぜてあげると溶けやすいです。
熱いお湯で飲んだ方が良い?冷やして飲んだ方が良い?
顆粒の漢方薬をお湯で戻した場合、熱いまま飲んだ方が良いのか、冷たくして飲んだ方が良いのか、迷う方もいらっしゃいます。
漢方薬には大きく分けて「身体の熱を冷ます漢方薬」と「身体を温める漢方薬」の2種類があります。
「身体の熱を冷ます漢方薬」は冷まして飲んだ方が飲みやすいです。
「身体の熱を冷ます漢方薬」は苦い漢方薬になることが多いです。
逆に、「身体を温める漢方薬」は、熱くしてフーフーしながら飲んだ方が
身体もすぐに温まり効果的です。
ご自分の服用している漢方薬が、身体の熱を冷ます漢方薬なのか、身体を温める漢方薬なのか不明な場合は、処方してくださった医師や専門家にお尋ねください。
漢方薬を飲むタイミング(食前・食間)
食前の場合は食事の1時間から30分前。
食間の場合は食後の2時間後に服用してください。
漢方薬を食前または食間に服用する理由は、
有効成分の吸収と関係します。
漢方薬は複数の生薬から成り立っており、その絶妙なバランスで効果を発揮します。食後に飲むと食べ物と胃の中で混ざり、配合のバランスが崩れ、効果が薄れてしまう可能性があります。
もし飲み忘れてしまったら、気づいた時点で、すぐに1回分を服用するようにしてください。
小児の飲み方の工夫
用法外とはなりますので処方された医師や専門家の判断が必要となります。
お湯にココアと一緒に溶かして飲ませたり、お湯に溶かして砂糖やハチミツで甘味をつける等の工夫がございます。(ハチミツの投与は1歳未満は不可ですのでご注意お願いいたします。乳児ボツリヌス症の危険性がございます。)
溶かさずに飲むということでしたら、まず先に水を含んでいただき、それから薬を口の中に入れて呑む方法もございます。
それでも苦い場合は、後味を消す意味合いで、服薬後、チョコレートやジュースなどを取っていただく方法もございます。
どうしても飲みにくい場合は?
お湯に溶かして飲む方法は、効果は上がりますが、においと味がまずくなり、どうしても続けられないという方もいらっしゃいます。
そのような方は、無理せず継続できる飲み方にされてください。
続かないと意味がないですからね。
ご自分のライフスタイルに合わせて、柔軟に取り入れることも大切です。
それでも効果がない場合は漢方薬の専門家に相談する
漢方薬の処方が合っていない可能性があります。
漢方薬の種類は日本で一般用漢方製剤として承認基準が制定されているものは294処方、医療保険の適用のある処方が148処方あります。
なので、このような多くの種類の中から、あなたにピッタリ合った漢方薬を選ぶには知識と技と経験が必要になります。
ぜひ、漢方薬を熟知した専門家にご相談ください。
まとめ
以上、漢方薬の効果を引き出すためのノウハウをお伝え致しました。
ご自分が飲んでいる漢方薬の種類の剤形は何か
○○湯?○○散?○○丸?
○○湯の場合は、湯剤が元々の形で、1.煎剤(せんざい)が基本になります。
○○散の場合は、散剤が元々の形で、2.散剤(さんざい)が基本になります。
○○丸の場合は、丸剤が元々の形で、3.丸剤(がんざい)が基本になります。
これらの剤形で服用するのが、一番効果があります。
お湯に溶いて、独特なにおいと味を味わう
病院で処方してもらう漢方薬は顆粒(かりゅう)の漢方薬が多くなります。
顆粒(かりゅう)は1.煎剤(せんざい)の煎じ液を濃縮したあとに、水分を蒸発させて、取り出し、加工して顆粒状にしたものです。
なので、お湯で戻して本来の形に近づけてあげます。
それでも効果がない場合は、漢方の専門家に相談する
そもそもの漢方薬の処方が合っていない可能性があります。
もし、お近くで漢方薬のご相談が出来ない場合は、いつでもお声掛けください。
あなたの健康資産のお役に立てれたら、うれしいです。
西漢方薬店 西 智彦
この記事を書いた人
西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。