漢方コラム
秋の食養生で心と体を整える
秋は気温や湿度の変化が大きく、心身のバランスが崩れやすい季節です。夏の暑さが一気に和らぎ、朝晩はひんやりと冷え込む一方、日中はまだ暑さが残ることもあります。
こうした気候の変化は、私たちの体調にも大きな影響を与えます。特に、秋は「乾燥」が進む季節としても知られ、肌や喉の乾燥、疲労感の増加、消化器系の不調など、様々なトラブルが起こりがちです。
夏の間に蓄積された体の疲労や、外気の乾燥による影響をしっかりとケアしないと、秋の終わりにはさらなる不調を招く可能性もあります。この時期に体調を整えるのは非常に重要なのです。
体調を整えるためにおすすめなのが「食養生」です。
「食養生」とは食べ物を通じて健康を維持し、病気を予防するという考えに基づいており、季節に応じた食材を取り入れることで、体を内部から調整し、心身のバランスを整えることができます。
そこで今回は、秋にぴったりの食養生についてご紹介していきます!
目次
秋の不調の主な症状
まずは、秋にはどんな不調が起こりやすいかについて紹介します。
肌の乾燥やかゆみ
秋の乾燥は、肌に影響を与えやすく、かゆみや肌荒れを引き起こすことがあります。遠くに年齢を重ねると皮脂分泌が減少し、感想が加速する傾向にあります。
疲れや気分の落ち込み
気温の定価により基礎代謝が低下しやすく、疲れやすさを感じることがあります。
また、日照時間の短縮がセロトニンの分泌に影響し、気分の落ち込みが激しくなることがあります。
便秘や消化不良
秋は胃腸の働きが乱れやすく、便秘や消化不良といった不調を感じる人も多く、特に冷え込みが強まってくると内臓の動きが鈍くなりがちです。
秋におすすめの食養生
それでは、秋の不調におすすめの食養生をご紹介いたします!
肌の乾燥やかゆみにおすすめの食養生
秋の乾燥から体を守るためには、潤いを与える食材を意識的に摂取することが大切です。
白い食材
梨や白キクラゲ、大根といった「白い食材」は肺を潤し、乾燥による咳や肌荒れを和らげます。特に梨はビタミンCや水分が豊富で乾燥対策に最適です。梨はそのままデザートやサラダに気軽に取り入れることができ、白キクラゲや大根はスープや煮物の活用がおすすめです。
亜麻仁油、えごま油
オメガ3脂肪酸を多く含むこれらの油は、肌の乾燥を防ぎ、細胞を潤す効果があります。これらの油は、体内で作ることができない必須脂肪酸を補給できるため、健康維持に役立ちます。しかし、亜麻仁油、えごま油は熱に弱いため、加熱せずに使うことが理想的です。毎日のサラダやスープに簡単に取り入れることができ、手軽に摂取することができるのも魅力です。
疲労回復と気分を整える食材
疲れやすさや気分の落ち込みを感じた場合は、栄養バランスの取れた食事を意識し、体を温める食材やビタミン豊富な食材をとりましょう。
根菜類
さつまいもやカボチャなどの根菜類は体を温め、エネルギーを補充するのに適しています。これらの根菜は、炭水化物をふくみ、体の燃料として活用されるだけでなく、ビタミンやミネラルも豊富に含んでいます。
特にビタミンやミネラル、食物繊維が多く、免疫力を高め疲労回復を助けます。秋の冷えやすい日には、さつまいもやカボチャを使った料理で体を温めてエネルギーを補給しましょう。
きのこ類
しいたけや舞茸などのきのこ類は、免疫力を高め、疲れにくい体を作るのに役立つ食材です。特にビタミンDが豊富に含まれており、秋冬に不足しがちな日照によるビタミンDの補給をサポートします。
これにより日照不足が原因で起こる気分の落ち込みや疲労感を軽減する効果が期待できます。さらに、きのこには食物繊維も多く含まれ、消化を助けるだけでなく、腸内環境の改善にも寄与します。
胃腸を整える食材
消化不良や便秘の改善には、消化にやさしい食材や腸内環境を整える食材を取り入れましょう。
発酵食品
納豆やヨーグルト、味噌などの発酵食品は、腸内環境を整え、消化を助ける効果があります。発酵食品に含まれる善玉菌は、腸内のバランスを改善し、便秘や消化不良の予防に役立ちます。
特に味噌は、体を温める効果があり、冷えやすい秋の季節にぴったりです。味噌汁は体を温め、発酵食品を毎日手軽に取り入れることができるおすすめのレシピです。
しょうが、ネギ
しょうがやネギは体を温める効果があり、胃腸の働きを活発にする食材です。特に冷えによって胃腸の調子が悪い時や消化不良を感じる場合には、しょうがを使ったスープや紅茶が効果的です。
ネギも体を温める作用があるので、料理に取り入れることで消化を助けながら体調を整える効果も期待できます。
秋の食養生で注意すべきこと
食べ過ぎ
秋は「食欲の秋」とも呼ばれるように、美味しい食材が揃う季節でもあるため、食欲が自然と増してきます。
しかし、この食欲に任せて食べ過ぎてしまうと、体に負担がかかり消化不良や便秘を引き起こすことがあります。
体に良い食材だから、と食べ過ぎてしまうと逆効果になってしまうので秋の食養生では「腹八分目」を心がけるようにしましょう。
冷たい飲み物や食べ物
秋は気温が下がり、体が冷えやすくなる季節です。冷たい飲み物や食べ物は体の内部の冷えを助長し、消化不良や便秘、さらには免疫力の低下につながることがあります。
夏に冷たい飲み物を飲む習慣ができていると、秋に季節が移ってもついその習慣が抜けずに冷たい飲み物を飲み続けている方も多いのではないでしょうか。
秋から冬にかけては、温かい飲み物や食べ物を積極的に摂取することで、体の冷えを防ぎ、胃腸の働きをサポートしてくれます。また、温かい食べ物は消化がスムーズになるだけでなく、食べ過ぎの防止にも役立ちます。
まとめ
暑い夏がようやく終わり、過ごしやすい季節でもある秋。
多くのイベントや行事があり、活動的になる一方で体調不良に悩まされる方も多いのではないでしょうか。
また、食養生にプラスして、肺を潤し、体を温め、免疫力を高める作用がある漢方薬を取り入れることもおすすめです。
敷居が高いと思われがちな漢方ですが、実際は日常生活に手軽に取り入れることができます。漢方薬は自然由来の成分で構成されており、体質や症状に合わせてオーダーメイドで処方されるため、それぞれのニーズに合ったものを選ぶことができます。
ですが、自己流で服用するのは危険です。
一般的に漢方薬に副作用がないと言われていますが、組み合わせや使い方によっては問題が発生する可能性もゼロではありません。
漢方薬を用いて秋の不調を改善したいとお考えの場合は、ご自身で判断するのではなく漢方の専門家に相談することをおすすめします。
西漢方薬店では随時オンライン相談を受け付けています。初回は30分から1時間程度時間をかけてカウンセリングさせていただき、漢方診断に必要な望診(体格、顔色、舌の状態)、問診など総合的に判断し、あなたの身体に合った最適な漢方薬をお選び致します。
体からのサインに気づいたらぜひ一度、ご相談ください。
どうぞお一人で悩まずに、私たちと一緒に改善していきましょう!
この記事を書いた人
西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。