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漢方コラム

血圧・血管を健やかに保つ漢方養生

「健康に気をつけましょう」とよく言われますが、血圧や血管の健康を気にしたことはありますか?

現代日本人の3人に1人は高血圧だと言われており、血管年齢の老化は生活習慣病の一因として知られています。しかし、病院でもらった薬を飲むだけで大丈夫なのかと不安を抱える方も少なくありません。そんな方におすすめなのが漢方養生です。

漢方では「気・血・水」という考え方で、血圧や血管の健康にアプローチします。薬だけに頼るのではなく、日々の食事や生活習慣を見直すことで、健やかな日々を送ることができるので、ぜひこのコラムを読んで漢方で血圧と血管を守っていきましょう!

漢方と血圧・血管の関係

漢方医学の基本的な考え方では、健康な体とは「気・血・水」という3つの要素がバランスよく循環している状況を指します。

「気」はエネルギーや生命力を、「血」は体内に栄養を運ぶ液体を、「水」は血液以外の体液を表します。これらがスムーズに巡ることで、私たちの体は調和を保ち、血圧や血管も健やかな状態を維持します。

一方でこのバランスが崩れると体調不良や病気が現れます。特に血圧や血管に関する不調は「気・血・水」が滞ることが要因となることが多いのです。

では、それぞれのバランスが崩れるとどうなるのでしょうか?

「気」の滞り

「気」は全身を巡るエネルギーで血液を流すポンプのような働きをになっています。しかし、ストレスが溜まると「気」が滞り、「気滞」という状態になります。

気滞が起こると、血液や水分の巡りも悪化し、血圧が上昇する要因になります。例えば、イライラや怒りっぽさを「頭に血がのぼる」と表現するように、血圧が急激に上がることがありますが、これは気滞の典型的な症状です。

「血」の滞り

「血」は全身に栄養を運び、体を温める役割を果たします。漢方では、血液の流れが悪くなり、停滞した状態を「血瘀(けつお)」と呼びます。

血瘀は動脈硬化の原因となり、血管を硬くして弾力を失わせるだけでなく、血圧の上昇にも繋がります。また、肩こりや冷え、肌のくすみといった症状も血瘀に繋がります。

血瘀が進むと血栓ができやすくなり、血管内の詰まりを引き起こします。これが脳卒中や心筋梗塞といった深刻な病気に繋がります。

「水」の不足

「水」は体を潤し、熱を冷ます働きを持っています。しかし、加齢や過労、不規則な生活習慣により、体の水分が不足してしまう状態を「陰虚(いんきょ)」といいます。陰虚になると、血液がドロドロになり、血管ないの流れが悪化し血圧が上昇しやすくなります。

また、陰虚の人は喉の渇きや肌の乾燥、寝汗といった症状を訴えることが多く、夜間の血圧が高い方は陰虚である可能性があるので、体の潤いを補う養生が必要です。

血圧・血管に効果的な漢方アプローチ

食養生

血圧や血管の健康を守るために、日々の食事から体を整える「食養生」を取り入れてみましょう。

漢方では食べ物を「薬」として捉える考え方があり、日常の食事に取り入れやすい食材を使って血圧を下げたり、血管を強くしたりすることが可能です。

ここでは、血圧・血管に効果的なアプローチをする食材を紹介します。

山芋

山芋は漢方で「補気薬」として知られていて、「気」のエネルギーを補いながら体の潤いを増やす食材です。高血圧の背景にある「陰虚」を改善し、血管の柔軟性を保つ効果があります。

また、山芋にはカリウムが豊富に含まれており、余分な塩分を体外に排出することで血圧を下げる働きもあります。

すりおろして食べたり、スープに加えたりすることで手軽に日々の食事に取り入れることができます。

黒胡麻

黒胡麻も「補気薬」として使われており、血を補い血管を若々しく保つ効果があります。

黒胡麻に含まれるセサミンには抗酸化作用があり、動脈硬化を防ぎます。また黒胡麻は腎の機能を強化するとされており、これが血圧を下げる作用にも繋がります。

すりごまにしてサラダやおひたしにかけたり、黒胡麻のスイーツを意識的に選んだりしてみましょう。

くるみ

くるみは腎のエネルギーを高めて血管を強くする働きを持っています。豊富に含まれるオメガ3脂肪酸が血液をサラサラにし、動脈硬化の予防に効果を発揮します。

また、ビタミンEやポリフェノールも豊富で、血管内の炎症を抑える作用があるため、血管の健康をトータルサポートします。そのままおやつとして食べたり、ヨーグルトやサラダに入れると簡単に食事に取り入れることができます。

海藻

海藻は血管の中に溜まった脂肪や老廃物を取り除く働きがあります。特に昆布やわかめに含まれるフコイダンやアルギン酸には、コレステロール値をさげ、血管をしなやかにする効果があります。

また、海藻に含まれる豊富なミネラル、特にマグネシウムは血圧を下げる作用を持ち、血管を広げて血流をスムーズにするサポートをします。

味噌汁やサラダなどに加えて無理なく続けられることができるのでおすすめの食材です。

漢方薬

漢方薬は単に症状を抑えるためのものではなく、体全体のバランスを整えることを目的としています。

西洋医学の薬が主に血圧を直接下げる作用を持つのに対し、漢方薬はこれらの根本的な原因にアプローチし、長期的に体質を改善する手助けをしています。

漢方薬を生活に取り入れるメリットは主に3つです。

根本的な体質改善

漢方薬は体質を根本的に改善することを目指します。例えば、ストレスが溜まりやすいひとには気の巡りをよくする薬を、血流が滞りやすい人には血の流れを促す薬を処方します。

こうした個々の体質にあったオーダーメイドな処方を取り入れることで、血圧や血管の問題だけでなく、その人の全身の調子を整えることが期待できます。

副作用が少ない

漢方薬の多くは植物や鉱物など自然由来の成分で作られており、長期的に服用しても体に負担が少ないとされています。特に、高血圧に悩む人はすでに薬を処方されているケースが多いので、漢方薬を補助的な役割として取り入れる人も増えてきています。

長期的な健康維持

漢方薬は即効性を求めるものではなく、体質を少しずつ改善することで長期的な健康維持や病気の予防に繋がります。

「未病」という考え方のもと、それぞれの症状にあった処方をされるので血圧や血管のためだけでなく、健康な日々の生活のサポートに繋がります。

まとめ

血圧や血管の健康を保つことは、単に病気を防ぐためだけでなく、心身ともに健やかで活力ある日々を送るための重要な鍵です。

漢方養生の考え方を取り入れることで、無理なく自然と体質を整え、健康維持を目指すことができます。ストレスを抱えやすい現代社会では、漢方的な視点からのアプローチがあることを知っているだけでも違います。

漢方薬を用いて体調を整えたい、今の不調を根本的に改善したいとお考えの場合は、ご自身で判断するのではなく漢方の専門家に相談することをおすすめします。


西漢方薬店では随時オンライン相談を受け付けています。初回は30分から1時間程度時間をかけてカウンセリングさせていただき、漢方診断に必要な望診(体格、顔色、舌の状態)、問診など総合的に判断し、あなたの身体に合った最適な漢方薬をお選び致します。

体からのサインに気づいたらぜひ一度、ご相談ください。

どうぞお一人で悩まずに、私たちと一緒に改善していきましょう!

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

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