漢方コラム

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年末年始は何かと忙しく、自分の体調はつい後回しになってしまいます。忘年会や新年会、家族との集まりなどが続くこの時期は、寒さや乾燥といった冬特有の環境に加え、暴飲暴食や睡眠不足が重なり、体に負担がかかりやすくなります。その結果、風邪を引いたり、疲れが抜けなかったりと、年明け早々に不調を感じる人も少なくありません。

東洋医学では、冬はエネルギーを内側に蓄える「養生」の季節とされています。自然界が静まり、木々や動物が休息に入るように、人間の体もこの時期にしっかり休め、整えることが大切です。

今回は冬を健康的に乗り切るためのヒントをお届けします！

冬と体の関係

東洋医学では冬は「腎」の季節とされています。「腎」は生命エネルギーを蓄え、体の基盤を支える臓器です。成長や老化、免疫力の維持に深く関わり、全身の健康を司る重要な役割を持っています。しかし、寒さや乾燥が厳しい冬は、この「腎」にとって大きな試練の時期でもあります。

一方で、この時期にしっかりケアをすると健康で寒さに強い体を作ることができます。

冷えがもたらす影響

冬の最大の敵は「冷え」です。寒さによって血流が滞ると、全身の臓器に十分な酸素や栄養が行き渡らず、代謝が低下します。この結果、だるさや疲労感を感じやすくなるだけでなく、免疫力が低下し、風邪や感染症のリスクが高まります。また、手足の冷えや冷え性の症状が強くあらわれる場合もあります。

冷えによる血流不良は筋肉のこわばりや関節痛を引き起こすこともあります。さらに内臓機能が低下し、消化不良や胃腸の不調につながることも少なくありません。

乾燥と感染症のリスク

冬の乾燥した空気は、肌や喉、鼻の粘膜を弱らせます。これにより、ウイルスや細菌への抵抗力が低下し、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。特に粘膜が乾燥すると、体の防御機能が大幅に弱まるため、加湿器を利用する、十分な水分をとるなどの乾燥対策が必須です。

また、室内の暖房も乾燥を加速させる要因です。暖房器具を使う際は湿度を保つ工夫を取り入れることが推奨されます。

日照不足がもたらす心への影響

冬は日照時間が短くなることで、気分が沈みやすい傾向があります。「腎」は精神的なエネルギーとも結びついていると考えられ、日照不足や寒さによって意欲や活力が減退することがあります。このため、冬季うつなどの症状がでやすくなる場合もあります。

食養生：冬に適した食べ物

冬を健やかに過ごすためには、体を内側から温める食事を心がけることが重要です。東洋医学では食材の性質に注目し、体を温める「温性」や「熱性」の食材を積極的に取り入れることが推奨されています。また、冬は「腎」を補うことが健康維持のカギとされているため、「腎」をサポートする食材を選ぶことが大切です。

温める食材

「温性」や「熱性」の食材である、生姜、ネギ、ニンニク、唐辛子などは体を温め、血流をよくする効果があります。これらは鍋料理やスープに加えることで日常的に食事に取り入れることができます。

さらに根菜類の大根、にんじん、ごぼうなどは体を温めるだけでなく食物繊維も豊富に含まれているので胃腸の調子を整える役割も果たします。

また、冬は冷たい飲み物をさけ、白湯や生姜湯、ハーブティーなど体を温めるものを選ぶようにしましょう。

「腎」をサポートする食材

東洋医学では黒色の食材が「腎」を補強すると言われています。

黒豆や黒胡麻は「腎」を養い、体を温める効果があります。煮豆やスープに活用すると良いでしょう。黒胡麻はカルシウムやミネラルが豊富でふりかけやお菓子に取り入れると簡単に摂ることができます。

昆布やワカメなどの海藻類は「腎」の働きをサポートするとともに、ミネラル補給に適しています。毎日の味噌汁やスープ、鍋に加えて摂るのがおすすめです。

さらに、栗やナッツ類は「黒」というイメージはないかもしれませんが、冬にぴったりの食材で滋養強壮効果が期待されます。

年末年始気をつけたいこと

年末年始は家族や友人との集まりや普段以上にイベントが多く、なかなか体調管理が難しい時期でもあります。この時期を健康的に過ごすために気をつけておきたいことを3つ紹介します。

■暴飲暴食を避ける

この時期はイベントが多いので、ご馳走を食べる機会が増え、ついつい食べ過ぎたり飲みすぎたりしてしまいがちです。

しかし、暴飲暴食は胃腸に大きな負担をかけるだけなく、体全体の調子を崩す原因となります。

胃腸は「脾胃」と呼ばれ、体にエネルギーを供給する中心的な役割を担うとされています。暴飲暴食によって胃腸が弱ると、消化吸収がうまくいかなくなり、疲れやだるさを感じやすくなります。

さらに、「腎」にも負担がかかりやすい時期です。塩辛いものや脂っこいものの過剰摂取は「腎」に負担をかけ、冷えやむくみの原因になります。年末年始は特に腹八分目を心がけるようにしましょう。

それでももし、暴飲暴食をしてしまった場合は次の日は胃腸を休めておかゆやスープなどの軽めの食事を取り入れるなどして調子を整えてください。

■寒暖差への注意

外出の機会が増える時期ではありますが、寒さが厳しく室内外の温度差が大きい時期でもあります。この寒暖差は体にストレスを与え、風邪や体調不良の原因となることがあります。

外出時にはコート、マフラー、帽子、手袋などの防寒具をしっかりと着用し、体を冷やさないようにしましょう。特に首、手首、足首などの「三首」と呼ばれる場所は冷えやすい部位なので、この部分を温めて冷えを予防しましょう。

ですが、厚着をしすぎてしまうと逆に汗をかいて冷えやすくなってしまいます。着脱しやすい服装を心がけることも重要です。

■感染症予防

冬は乾燥が強まり、ウイルスや細菌が活発になりやすい季節です。年末年始は人が集まる場所へ行く機会も増えるため、感染症のリスクが高まります。

感染症を防ぐためには基本的な感染症対策を徹底することが重要です。

手洗い、うがいはもちろんですが、加湿器を活用して室内の湿度を50-60％に保つことで喉やはなの粘膜を保護し、感染リスクを軽減できます。喉が乾燥しやすい場合はマスクを着用することもおすすめです。

また、栄養バランスの取れた食事や十分な睡眠を確保することが免疫を高めることにつながります。ビタミンC、ビタミンD、亜鉛を含む食品を積極的に摂取し、体の免疫機能を高めましょう。

まとめ

年末年始はイベントも多く、楽しい時期ですが、同時に体調管理が難しい時期でもあります。健康的な生活を心がけることも重要ですが、未然に病気を防ぐ漢方の力を活用するのもおすすめの方法です。

漢方は体調を崩してから取り入れるイメージを持たれることも多いですが、実際には普段から体質を整え、体の基盤を強化するためにも役立ちます。東洋医学の視点では、「未病」つまり病気になる前の段階で体調の不調に気づき、それを改善することが健康維持の鍵とされています。

漢方を日常的に取り入れることで、自然な形で体調を整え、寒さやストレスといった外敵要因にも負けない健康な状態を目指せます。

漢方薬を用いて体調を整えたい、今の不調を根本的に改善したいとお考えの場合は、ご自身で判断するのではなく漢方の専門家に相談することをおすすめします。

西漢方薬店では随時オンライン相談を受け付けています。初回は30分から1時間程度時間をかけてカウンセリングさせていただき、漢方診断に必要な望診（体格、顔色、舌の状態）、問診など総合的に判断し、あなたの身体に合った最適な漢方薬をお選び致します。

体からのサインに気づいたらぜひ一度、ご相談ください。

どうぞお一人で悩まずに、私たちと一緒に改善していきましょう！