漢方コラム
二十四節気と漢方
あけましておめでとうございます。
今年も季節とともに皆様に漢方のお話、身体の調子を整えるお話などをお届けしていきたいと思います。2025年1つめの記事は、私たちに馴染みの深い「二十四節気」と「漢方」のお話をさせていただきます。
二十四節気とは、太陽の動きを基に1年を24の季節に分けた日本古来の暦で、自然と共に生きる知恵として親しまれてきました。立春、夏至、立秋、冬至、大寒など、聞き覚えのある言葉も多いでしょう。それぞれの節気が季節の移ろいを的確に捉えており、現代人にとっても生活の指針になります。
漢方もまた、自然のリズムと調和することを重視する医学です。春には新陳代謝を高め、夏には消耗したエネルギーを補うなど、季節ごとの体調管理が重要とされています。二十四節気を参考に漢方を活用すれば、より効果的な健康管理が可能となるはずです。
目次
漢方と季節を調和する
こちらのサイトをご覧になられている皆様はもうよくご存じかもしれませんね。
漢方の世界では、人間の体を自然の一部と考えています。そのため、季節ごとの環境変化に合わせた体調管理が重要になります。
たとえば、春はストレスがたまりやすく、夏はエネルギー消耗が激しく、秋は乾燥で肌や喉が影響を受け、冬は冷えが深刻になります。これらに応じた対策を取ることで、未病(病気になる前の予防)を実践できると考えるのです。
季節ごとの漢方ケアについて
- 春(立春~春分)
春は「肝」の働きが活発になる時期で、ストレスが体調に影響しやすくなります。特に、気分の落ち込みや疲労感を抱えやすい人には、ストレスを和らげる漢方が効果的です。食材としては、菜の花や春キャベツなど、体を温める春野菜を積極的に取り入れましょう。 - 夏(夏至~立秋)
夏は暑さでエネルギーが消耗しやすく、熱中症や疲労感が増します。補気(エネルギーを補う)作用のある漢方が役立ちます。また、きゅうりやトマトといった夏野菜で水分補給と栄養補給を心がけると良いでしょう。 - 秋(立秋~秋分)
秋は乾燥が進む季節で、肌や喉を潤すことが重要になります。潤いを与える漢方や、梨や柿といった水分の多い食材を活用しましょう。また、この時期は夏の疲れが出やすいので、無理をせず体を整えることが大切です。 - 冬(冬至~立春)
冬は寒さが厳しく、特に「腎」を温めるケアが必要です。体を内側から温める漢方が役立ちます。食事では、生姜やニンニクなど温かさをもたらす食材を取り入れましょう。湯船に浸かる習慣も効果的です。
ここから、少しだけ二十四節気を深堀りしてみましょう。
二十四節気を学んだ時にはじめて知った言葉「啓蟄(けいちつ)」のお話をしていきます。
啓蟄の時期の過ごし方
啓蟄(けいちつ)は、毎年3月6日頃から3月20日頃(春分の前日)までの期間で、冬眠していた虫や動物が活動を始める時期です。この時期は気温が上がり、自然界が春に向けて活気づく一方で、季節の変わり目ならではの体調不良が現れることもあります。漢方では、啓蟄の時期に特有の体の変化や不調を整えるためのケアが大切とされています。
- 春のエネルギーが活発に
漢方では、春は「肝(かん)」のエネルギーが活発になる季節と考えます。肝は気(エネルギー)の流れを司る臓器で、ストレスや気候の変化の影響を受けやすいとされています。そのため、この時期は以下のような症状が現れやすくなります。- 頭痛や目の疲れ
- イライラや気分の落ち込み
- 消化不良や倦怠感
- 冬から春への体の切り替え
冬の間、体はエネルギーをため込むモードにありますが、春になるとそれを外に放出する必要があります。この切り替えがスムーズにいかないと、体調を崩すことがあります。
■啓蟄に適した生活習慣
(1) 体をほぐす運動を取り入れる
冬の間に滞っていた血流や「気(エネルギー)」の流れを整えるため、軽いストレッチやヨガ、散歩を習慣にしましょう。特に朝の太陽を浴びながらの散歩は、体内時計をリセットし、春の陽気を感じる良い方法です。
(2) 規則正しい生活を心がける
冬から春への移行期は、生活リズムを整える絶好のタイミングです。早寝早起きを意識し、1日3食をバランスよく摂ることで体調が整いやすくなります。
(3) デトックスを意識
漢方では、春は「肝(かん)」をケアする季節とされています。「肝」は解毒作用に関与しているため、春は体内の不要なものを排出するチャンスです。水分をしっかり摂り、軽めの運動や入浴で汗をかくのも効果的です。
(4) ストレスを溜めない工夫
啓蟄の時期は「肝」がストレスに敏感になる時期です。無理せずリラックスできる時間を設け、深呼吸や瞑想で心を落ち着かせましょう。
■啓蟄に適した食材
春に体が必要とするのは、冬の間に溜まった老廃物を排出し、気の巡りをスムーズにする食材です。以下のような食材を意識的に取り入れると良いでしょう。
◯ 冬眠明けの体を整える春野菜
- 菜の花、アスパラガス、春キャベツ、タラの芽
冬の間に滞った「気」を巡らせ、肝を助ける効果が期待されます。特に菜の花はビタミンやミネラルが豊富で、体を内側から元気にします。
◯デトックスを促す食材
- 大根、山芋、セロリ
体内の余分な水分や毒素を排出し、消化を助ける働きがあります。
◯酸味のある食品
- 梅干し、レモン、酢の物
酸味は「肝」を活性化し、体調を整えるのに役立ちます。食事に少し取り入れるだけで効果が期待できます。
◯ 体を温める食材
- しょうが、ねぎ、ニラ
春先の朝晩の冷え込みに備えるため、体を温める食材を取り入れるのも大切です。
さいごに
二十四節気と漢方は、いずれも自然と調和した健康な生き方を教えてくれる知恵の宝庫です。現代のような多忙な生活でも、これらを少しずつ取り入れることで、体も心も整えることができます。
季節ごとのケアを意識し、自分に合った漢方や食材を取り入れるだけで、少しずつでも生活の質が向上することをぜひ実感してみてください。この記事が、その一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
漢方薬を用いて体調を整えたい、今の不調を根本的に改善したいとお考えの場合は、ご自身で判断するのではなく漢方の専門家に相談することをおすすめします。
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体からのサインに気づいたらぜひ一度、ご相談ください。
どうぞお一人で悩まずに、私たちと一緒に改善していきましょう!
この記事を書いた人
西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。