漢方コラム
春になるとイライラするのはなぜ?

「春になると、なんだかイライラする」「些細なことで怒りっぽくなる」「気持ちが落ち着かない」そんなふうに感じたことはありませんか?
実は、春は心と身体が大きく揺らぐ季節です。冬から春への気候の変化、新年度のスタートによる環境の変化など、心が落ち着かなくなる要因がたくさんあります。また、漢方の考え方では、春は「気の巡り」が影響を受けやすい時期。気が滞ることで、ストレスを感じやすくなったり、イライラが増したりするのです。
今回は、春にイライラしやすくなる理由を紐解きながら、心を穏やかに整えるための生活習慣や工夫について詳しくご紹介します。
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春になるとイライラするその理由
■春は「変化の季節」だから
春は、新学期や新年度のスタート、引っ越しや転職など、ライフスタイルが大きく変わる時期です。たとえ環境が変わらなかったとしても、周りの変化に影響を受けて、無意識のうちにストレスを感じていることがあります。
また、寒い冬には「じっと耐える」モードになっていた心と身体が、春になると一気に動き出します。その変化に適応しようとすることで、心が不安定になりやすくなるのです。
■ 自然の影響を受けやすい季節
春は、気温や気圧の変動が激しい季節。特に、三寒四温といわれるように、暖かい日と寒い日が交互に訪れるため、自律神経が乱れやすくなります。
また、日照時間が長くなることで体内リズムにも影響が出ます。冬の間は日照時間が短く、脳内で「眠りのホルモン」とも呼ばれるメラトニンが多く分泌されていました。しかし、春になると日照時間が増え、メラトニンの分泌が減ることで、睡眠の質が変わったり、気持ちが不安定になったりすることがあります。
■ 漢方的な視点でみる「春のイライラ」
漢方では、春は「肝(かん)」が活発になる季節とされています。「肝」は、ストレスのコントロールや気の巡りを司る重要な役割を担っています。
しかし、春は気温の変化や環境の変化で「肝」の働きが過剰になりやすく、結果として気の巡りが滞ってイライラや怒りっぽさが出やすくなります。この状態を「肝気鬱結(かんきうっけつ)」といい、気分の落ち込みやモヤモヤ感、肩こりや頭痛などの症状を引き起こすこともあります。
揺らぐ心を整える方法
春先に揺らいでしまう心を整える方法についてお話しをしていきたいと思います。
■朝の過ごし方を見直す
朝の過ごし方を工夫することで、自律神経を整え、気の巡りをスムーズにすることができます。
- 朝日を浴びる
朝起きたら、まずは窓を開けて外の空気を吸い込み、太陽の光を浴びましょう。これにより、脳内のセロトニン(幸せホルモン)が分泌され、気持ちが安定します。 - 白湯を飲む
朝起きたばかりの身体は、まだ冷えています。白湯を飲むことで内臓を温め、気の巡りを促しましょう。 - 軽いストレッチや深呼吸
簡単なストレッチや深呼吸をすることで、体内の気がスムーズに巡るようになります。特に、首や肩を回す動作は、「肝」の働きを助け、気の滞りを防ぐのに効果的です。
■ 食事で気の巡りをサポート
春は「酸味」のある食べ物を適度に取り入れることで、気の巡りを整えることができます。
- おすすめの食材
- レモン、梅干し、酢の物
- 柑橘類(グレープフルーツ、オレンジなど)
- 緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜など)
また、胃腸の働きをサポートするために、温かい食事を心がけましょう。冷たい飲み物や刺激の強いもの(コーヒー、辛い食べ物)は控えめにすると、気の巡りがスムーズになります。
■気持ちを落ち着ける習慣を取り入れる
- 深い呼吸を意識する
息を深く吸い、ゆっくり吐くことで副交感神経が優位になり、リラックスしやすくなります。 - 「何もしない時間」を作る
スマホやテレビをオフにして、ボーッとする時間を作るのもおすすめです。心に余白を作ることで、気持ちが落ち着きます。 - 夜の過ごし方に気をつける
夜はブルーライトを避け、ハーブティーやアロマを活用することで、質の良い睡眠をとるようにしましょう。
心と身体のバランスを整えて健やかに過ごすためには?
■ 軽い運動で巡りをよくする
春のイライラやモヤモヤを軽減するためには、適度な運動を取り入れることが効果的です。身体を動かすことで、気の巡りがスムーズになり、自律神経のバランスも整いやすくなります。
おすすめの運動としては、ウォーキングやヨガ、ストレッチが挙げられます。激しい運動をする必要はなく、毎日少しずつ身体を動かすことが大切です。
- ウォーキング
→ 外の空気を吸いながらリズムよく歩くことで、心がリフレッシュされます。特に、朝や夕方の時間帯に公園や緑の多い場所を歩くと、よりリラックス効果が高まります。 - ヨガやストレッチ
→ 気の巡りを促し、体の緊張を和らげるのに役立ちます。特に、肩や首をほぐす動きを意識すると、肝の働きを助け、イライラしにくくなります。
おすすめのストレッチ:
- 首のストレッチ(ゆっくり首を回し、左右に傾ける)
- 肩回し(肩甲骨を大きく動かし、深呼吸しながらほぐす)
- 前屈ストレッチ(腰を伸ばし、下半身の血流をよくする)
これらを朝や夜に数分間行うだけでも、気持ちがスッキリし、心が落ち着きやすくなります。
■ お風呂の時間を活用する
お風呂は、身体を温めるだけでなく、リラックスしながら気の巡りを整える大切な時間です。特に、春は「肝」の働きを穏やかにするために、ぬるめのお湯(38~40℃)にゆっくり浸かるのが効果的です。
お風呂の時間をより心地よくするために、以下の工夫を取り入れてみてください。
- アロマオイルや入浴剤を活用する
→ ラベンダーや柑橘系の香りは、リラックス効果が高く、気持ちを落ち着けるのに役立ちます。 - 半身浴を取り入れる
→ 15~20分程度、ぬるめのお湯に浸かることで、血行が促進され、身体の緊張が解けやすくなります。 - 入浴前後に白湯を飲む
→ 身体の内側から温めることで、リラックス効果が高まり、気の巡りをスムーズにすることができます。
また、お風呂の後にストレッチや深呼吸をすると、副交感神経が優位になり、よりリラックスした状態で眠りにつくことができるので、ぜひ試してみてください。
■春の自然を感じる時間を作る
春は、冬の間に眠っていた植物が芽吹き、花が咲き始める美しい季節です。自然のエネルギーを取り入れることで、心が落ち着き、ストレスが軽減されます。
- 公園を散歩する
→ 近所の公園や緑の多い場所を歩くことで、新鮮な空気を吸いながら気分転換ができます。特に、桜や春の花が咲いている場所を歩くと、視覚的にもリラックス効果が高まります。 - ベランダや庭で植物を育てる
→ 小さな鉢植えでも良いので、ハーブや花を育てることで、自然と触れ合う時間を増やし、心を穏やかに保つことができます。 - 芝生の上や土の上を歩く
→ 靴を脱いで芝生の上を歩くと、大地のエネルギーを感じることができ、心身ともにリフレッシュできます(アーシングと呼ばれる方法)。
自然の中にいるだけで、副交感神経が優位になり、心の緊張がほぐれやすくなります。忙しい日常の中でも、少しの時間を見つけて、春の陽気や風の心地よさを感じる時間を作ることを意識してみましょう。
さいごに
春のイライラや不調は、一見すると厄介に感じられるかもしれませんが、実は心と身体が新しい季節に適応しようとしているサインでもあります。冬の間に溜まっていたエネルギーが流れ出し、心身が活発に動き始めること自体は、決して悪いことではありません。
大切なのは、この変化を無理に抑え込むのではなく、上手に付き合いながら、自分自身を労わることです。季節の移り変わりに逆らうのではなく、その流れに身を任せながら、自然と調和したライフスタイルを意識することで、春のエネルギーを前向きに活かすことができるでしょう。
今年の春は、自分の心と身体の声に耳を傾け、ちょっとした工夫を取り入れながら、穏やかで心地よい毎日を過ごしてみてください。
この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴20年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
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