漢方コラム
漢方相談が初めての方へ
「漢方」「漢方薬」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?
よく聞くけど、詳しくはわからない。体にはよさそう、飲みにくそう、日常生活で取り入れるのは難しそう…でもなんだか効果があるようなイメージがありますよね。
実は、その歴史は古く、今もなお注目を集めている「漢方」「漢方薬」。体質や体型、これまでの症状の様子から、正しく活用すれば有用な効果が得られるものがたくさんあるのです。
そんな心強い味方「漢方」「漢方薬」しっかり理解しておきましょう。
そもそも漢方とは?
日本では、中国(漢の時代)より、医学というものが遣隋使・遣唐使らによって日本にもたらされたと言われています。
伝来した中国の医学にそって診断や治療を続けていましたが、平安時代び遣唐使廃止とともに、医学は日本独自の発展の道をたどることになりました。
そして江戸末期、鎖国が終わり海外との貿易が再開され、様々な新しい医学が海外から伝来し、中でも西洋医学と呼ばれるものが圧倒的な勢いで広がっていきました。
この西洋医学とは、もともとオランダがメインでしたので、その医学は「蘭方」とよばれていました。
そこで従来の日本の医学を何とよぶかという話しになり、中国・漢の時代に伝わったものなので「漢方」と呼ぶようになったことから始まります。
この「漢方」とは鍼灸や食養生も含めた医学を意味しています。
「漢方」は、患者さんを心身両面から総合的に捉え治療するという全人的医療の考え方があり、また人間が本来持っている自然治癒力を高めるというものです。
そして漢方医学の基礎理論の1つである「五行説」というもが重要になってきます。これは万物を木・火・土・金・水の5つの要素に分類し、それらの関係を説いた理論です。
古代の人達は、この木・火・土・金・水、五種類の物質が生活のなかで、なくてはならないものと考えていました。
例えば、水と火は飲食の調理のため、金と木は日常の労働のなかで必要とし、土は万物が資生するものであるというものです。
この5つの要素が、お互いの性質を助け合ったり、打ち消し合ったりすることで、あらゆるものがバランスを保っています。
これを人の体に応用して、5つに分類したのが「五臓」という考え方です。五臓は、「肝」「心」「脾」「肺」「腎」と分けられ、体を支えるものとして重要視したものです。
「肝」… 栄養物の貯蔵、自律神経系の血の流れを調整する。精神情緒や運動神経系のバランスを調整する。
「心」… 精神、思考、意識、感情、血の生成・運行を行う。
「脾」… 消化吸収や栄養物と水分の運搬・筋肉の栄養バランスの調整をする。
「肺」… 呼吸からの気の摂取。皮膚の機能の制御、防衛力の保持、気の生成、水分の調整、免疫機能の調整をする。
「腎」… 成長や発育を担う。老化との関連。深い呼吸、水分ろ過と再吸収の機能。生命エネルギーの貯蔵と生命活動の統括維持をする。
この「五臓」でしっかり体を支えることで健康な状態を保てるようになるというものです。漢方の考え方は、このように日々をより健やかに美しく生きる知恵がつまっているのです。
漢方薬ってどんなもの?
「漢方薬」とは、漢方医学の理論に基づいて処方される医薬品のことを指します。
漢方医学は、患者さん一人ひとりの心とからだの状態をあらわした「証」というものがあります。
これは漢方でもっとも重要な役割を果たすもので、この証によって処方される漢方薬が決められます。
証は、「陰陽(いんよう)」「虚実(きょじつ)」「気(き)・血(けつ)・水(すい)」といったさまざまな“ものさし”によって判断されます。
この“ものさし”によって体格や体質、体力や心理状態などを測り、個人差にあわせた証が作られ、その患者さん専用の漢方薬が仕立てられます。
病名は同じであっても、この証が違えば、異なる漢方薬が処方されるのです。
それではどのような漢方薬があるのでしょうか?
漢方薬とは、自然界に存在する植物や動物、鉱物などの薬効となる部分を「生薬(しょうやく)」と称し、薬効があるとされる一部分を加工し、漢方理論に基づき2つ以上組み合わせてつくられたものです。
加工とは、切る、乾燥する、蒸すという行為です。そして漢方薬には、粉薬・錠剤・煎じ薬といった3つの剤形がよく使われます。それぞれにメリットがあり、個人の症状やスタイルに合わせ選ぶことができます。
1.粉薬
粉末にした生薬。
そのまま水と一緒に服用。漢方薬を口に入れる前に、まず、水を口に含み、漢方薬を口に含んだ水の上に落とし、その水と漢方薬を一気に飲みと良いでしょう。
2.錠剤
生薬の粉末に圧力をかけて飲みやすい大きさに。
そのまま水と一緒に服用。苦い味が不得意な方は錠剤の方がオススメです。錠剤を口に入れてすぐに水で流し込めばあまり苦くありません。
3.煎じ薬
生薬をそのまま使用する本格派です。細かく切ったり、砕いた生薬をじっくりと煮出して服用。
薬草の力があふれ、香りにもアロマ効果があり、一番ストレートに素材の成分を摂取できるためおすすめです。
漢方薬のなかには、その苦味などの味で胃のはたらきを活発にする目的で用いられるものもあります。
飲みにくいと思われても、できるだけ水または白湯で飲むようにしましょう。
一般的には、食前(食事の30分~1時間前)、食間(食事と食事の間のことで食後2時間ぐらい)のときに飲みます。
漢方相談でよくこられる方々
○冷え性
○更年期障害
○ストレス
○自立律神経失調症
○ダイエット
○生理不順
○冷え性
○胃腸の弱さ
○肌あれ
○不妊
○不眠
○病院に行くまでもないが不調が続いている。
○病院に行っても不調の原因がわからなかった。
○処方された薬を飲んでいるが良くならない。
○症状を繰り返したくない
どれか一つの症状で悩んでいるというよりは、お悩みを複数持たれている場合が多いです。実は、原因は共通しているケースも少なくありません。
病名のつかないさまざまな症状や不調に悩まれている方、「心と体を健やかにしたい。」と願われこられる方、病気の治療だけでなく、健康維持や、美容目的の方も多いです。
よくあるお悩みの症状
アトピー性皮膚炎
ひとことでアトピー性皮膚炎といっても、その原因は様々です。起床時間や就寝時間、食事内容など、まずは相談者の生活習慣をお伺いし、お悩みの根本解決にぴったりの養生法を考えていきます。
自律神経の働きを整えて、気や血という栄養の巡りをコントロールも必要となりますし、ストレスなどで肝の働きが悪くなると、気血の巡りが滞ることで熱化し、炎症や湿疹が生じやすくなります。
アトピー性皮膚炎の場合、この熱が痒みを悪化させる原因となるのです。交感神経(緊張)と副交感神経(リラックス)が入れ替わるときに痒みが強くなる方もコントロールが必要となります。
お肌の状態(炎症・化膿・乾燥)や、むくみ、お通じなど、気になる症状を具体的に確認しながら体質も見極め、漢方理論に基づく改善方法を総合的にご提案します。
症状を改善するだけでなく体質から整えていくことですこやかな状態へ導くことが可能です。
自立律神経失調症
特に、季節の変わり目は自律神経の乱れによる不調を訴える方が多いですが、最近はコロナ禍で運動不足になっていることも自律神経が乱れる要因の一つとなります。
長く続く不規則な生活やストレス、疲れなどが原因で生活リズムが崩れると、神経のバランスが乱れ、血管や筋肉、新陳代謝へ悪影響を及ぼすため、様々な症状があらわれます。
この状態を「自律神経失調症」といいます。不安感や情緒不安といった精神面の症状をはじめ、不眠や疲労感、食欲不振などの肉体面の症状も多くみられます。ひどくなると、うつ病やパニック障害などに発展する場合もあります。自律神経のバランスを整えるには、自分の症状を理解し、改善するための取り組みが大切です。個人に応じて処方する内容は違いますが、天気の良い日は外に出て日光を浴びることも自律神経にとっては重要なことになります
悩まずにご相談ください。お力になれると思います。
漢方は一人ひとりにあわせてのオーダーメイド
漢方の基本は、まず話すことから始まります。お一人お一人の体質や症状を詳しくお聞きすることからスタートです。
同じような症状・体質・病気でも人によって根本となる原因があります。普段の生活や体の状態を、専門の相談員が詳しくお聞きし
良く知った上でお一人お一人にあった解決法、生活環境改善のアドバイスをさせていただいております。
このように漢方は一人ひとりの体質やお悩みにあわせて処方するオーダーメイドの治療法です。西洋医学ではなかなか症状が改善しない場合でも、漢方薬が劇的な効果を示すことがあります。
またいくつもの症状をかかえていらっしゃる方も、たくさんの薬を飲まなくても症状が改善することもあります。
ただ「隣の人が効いたから私も効く」とは限りません。自分の体質に合った漢方薬を選ぶ事が一番大事な事なのです。
漢方診断の流れ
まとめ
漢方薬は、その人の体質や症状に合ったものでないと、十分に効果を発揮することができません。その体質を見極めるためには、漢方特有の”ものさし”が必要です。
こうした診断には患者側の協力が欠かせません。自分に合った漢方薬を見つけるに、しっかりコミュニケーションをよくとって二人三脚で治療に取り組んでいくんでいってます。
自然のめぐみを最大限に生かして人々の健康と医療に貢献したいと考えていますので、ぜひ一度ご相談ください。
この記事を書いた人
西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持つ。
臨床歴17年の経験を活かし、子供からご高齢の方々の幅広い世代のお悩み、病気の改善のお手伝いをさせていただきます。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。