漢方コラム

自律神経と漢方について

人間の体内には無数の神経があります。
その中で、血圧や呼吸数、内臓の働きなどを調整してくれる神経が「自律神経」です。
心や体などのデリケートな変化によって自律神経が乱れると心や身体にさまざまな支障が出ます。
漢方医学の考え方は、心と身体を区別せず一体であるというものです。
今回は、その自律神経について解説したいと思います。

自律神経とは?

神経は「中枢神経」(脳と脊髄)と体中に張り巡らされている「末梢神経」に分けられます。
自律神経はこの末梢神経の一部です。
自律神経は全身に分布していて、血管、胃、腸管、肝臓、腎臓、膀胱、性器、肺、瞳孔、心臓、汗腺、唾液腺、消化腺などの内臓を支配しています。
この内臓の働きや代謝、体温などの機能をコントロールするために、私たちの意思とは関係なく24時間働き続けています。
暑い時に汗をかいたり、運動した時に心臓の拍動を速めたり、物を食べた時に消化液を分泌させたりなど・・・主に自律神経系は、以下のような体内プロセスを行います。
●血圧
●心拍数
●脈拍数
●体温
●消化
●代謝
●体液分泌
●排尿
●排便
●性的反応

また自律神経には、活動しているときに活発になる「交感神経」とリラックスしているときに活発になる「副交感神経」の2種類があります。
この2つは逆の働きを行い、お互いにバランスを取りながら働いています。
交感神経の働きが強いと、血圧が上がり、瞳孔が拡大して、心と身体が興奮状態になります。
これにより、蓄えられたエネルギーが体から放出され、筋肉に大きな力が入るようになります。
その一方で、緊急時にあまり重要でない機能(消化や排尿など)を鈍らせます。
ストレスの多い状況や緊急事態に際して身体の状態を整える神経となります。
副交感神経が優位に働けば、血圧が下がり心拍数は減少瞳孔が収縮し、心と身体が休んでいる状態になります。食べものから吸収されたエネルギーが、組織の修復や形成に利用されたり、消化や不要物の排泄を促します。
簡単にいうとエネルギーを温存し、身体を回復させる役割をとるものです。
基本、この「交感神経」と「副交感神経」は車のアクセルとブレーキみたいな存在でバランスが取れた状態を保っています。

自律神経失調症とは?

1の自律神経とは?でお伝えした「交感神経」と「副交感神経」は車のアクセルとブレーキみたいな存在でバランスが取れた状態を保っていますが、日常の生活には、このバランスを崩すかも知れない様々なものが身近に存在します。
主なものは下記となります。

1.化学物質やウイルスなどの物質
細菌、ウイルスなどにより免疫力が低下し(免疫力とは体内に侵入した細菌やウイルス、腫瘍などを排除する力です。)直接的ではないがバランスが崩れる原因となる。

2.ストレスなどの感情や精神的心理の変化
人間関係、仕事のプレッシャーなどの悩み不安による精神的なものから音、光、温度なども身体的なストレスなどになります。
また親族・友人・ペットの死、けんか、いじめ、パワハラ、詐欺、ニュース、地震などの自然災害なども引き金となります。

3.ホルモンの変化などの体質(先天的要因・遺伝的なものも含む)によるも
過労、事故、怪我、病気により変わるものから、年齢によるホルモンの低下、その人の生まれつきの体質や性格など様々な理由。

4.生活習慣の変化によるもの
慢性的な寝不足や昼夜逆転、不規則な食生活など不摂生を続けていると、生体リズムが狂って自律神経のバランスを乱す原因になります。
親元を離れ一人暮らしを始める、単身赴任、子どもが家を離れた、離婚をしたことなどの環境の変化も関係します。

また1~4複合していることも多いです。
こういったものが強かったり、弱すぎたりしてバランスが乱れたり、崩れてしまったときに様々な身体の不調が起きるのです。
これが、私達がよく耳にする自律神経失調症と言われるものです。
しかしながら自律神経失調症は正式な疾患名ではないために統一された診断基準が存在しません。
医師によっても見解や治療方針が異なるのが現状で、症状があるのに診察や検査では身体に異常が見られない場合などに暫定的に「自律神経失調症」との診断名がつくことが多々あります。
よって「慢性的なだるさなどで困っている」「病院では検査して異常はないと言われた」等というケースで悩んでいらっしゃる方が多くいらっしゃいます。

自律神経失調症で現れる現象

全身的症状としてだるい、眠れない、疲れがとれないなど、ほかにも頭痛、動悸や息切れ、めまい、のぼせ、立ちくらみ、下痢や便秘、冷えなど多岐にわたります。
精神的症状として、情緒不安定、イライラや不安感、うつなどの症状が現れたります。

(症状)
頭痛(片頭痛、緊張型頭痛)
めまい
ぜんそく
高血圧
胃痛
下痢、便秘
腰痛
更年期障害
睡眠の不調(寝つけない、睡眠中よく目が覚める、寝過ぎてしまう)
食欲がなくなる
全身倦怠感や疲労感
食欲低下
微熱、のぼせ
息苦しさ 
手足の冷えしびれ
ふらつき
喉の渇き
口内炎
吐き気
生理不順
寝汗
これまで楽しんでいたことへの興味が薄れる 
不安
憂うつ感、焦燥感
イライラして怒りやすい
常に落ち込んでいる
集中することができない
心の病(うつ病、不安症)

自律神経失調症と漢方

自律神経失調症と診断されたものの、何が体調不良の原因なのか理解できないまま通院を止めてしまったり、改善されず、悩んでしまって落ち込んだり、そういう方がとてもたくさんおられます。
置かれている環境や生まれつきの体質は、すべて一人ひとり異なるため、あらわれてくる症状も一人ひとり違うのです。
だからこそ、どこかに不調を感じるのは、「心と身体からの声」と受け止め改善していくことが大切です。

漢方では、何となく体調がすぐれない状態のことを「未病」といいます。
この「未病」の段階から無理なくていねいに改善していく方法を取るのが漢方の考え方です。
また人の身体は「気」「血」「水」の3つの要素があると考えられています。
「気」は身体を温め、代謝の力を生みます。「血」はいわゆる血液で、身体の栄養分です。
「水」は「血」以外の体液となり、「気」によって「血」と「水」は全身を巡り、栄養を届けます。
ここに以前お話した生体の生命・精神活動の中心をなす機能、五臓(肝・心・脾・肺・腎)や証などを用います。
すべての要素が体内をうまく巡ることによって、健康が維持されていて、これらが不足したり、滞ったり、偏ったりしたときに、不調や病気、障害が起きたりするというものです。
以上をもとに食事、運動、ストレス、日々の生活面、舌や脈や血流などの確認やカンセリングさせていただきながら、一人ひとりにあわせたアドバイスであなたの心と身体に向き合っていきます。
全体的なバランスの回復を促すことによって自律神経の乱れを一緒に整えてきましょう。

まとめ

ご自身の今の体調はどうですか?
問1 : よく風邪を引くし、治りにくい
問2 : 手、足が冷たい、しびれる
問3 : 急に息苦しくなることがある
問4 : 眠れない
問5 : 胸が痛くなることがある
問6 : スッキリしない
問7 : 眼が疲れる
問8 : めまいや立ちくらみがある
問9 : 耳鳴りがすることがある
問10 : 頭痛がする
問11 : 食欲がない
問12 : 胃が痛い
問14 : 下痢や便秘をすることがよくある
問13 : 肩がこりやすい
問14 : イライラしている
問17 : なかなか疲れが取れない
問18 : 体重が減った
まず自身の身体をよく知ることが1番です。
上記の問によく当てはまる項目が多かったら、まずは、不調の原因を改善していきましょう。
それでも改善しないようなら、西漢方薬店にご相談ください。
大事なのは、根っこの原因を調べ、そこにアプローチしていくことです。

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