漢方コラム

冷え症

すっかり朝晩冷え込むようになりました。
空気が乾燥し、気づいたら手や唇がカサカサになっていたり、手足が冷えて寝付きや起床がつらかったり、喉が乾燥したりなどしていませんか?
この季節、漢方相談では、冷えや風邪などの不調を訴える方が増えてまいります。さらに、新型コロナウイルスにより、例年以上に体調管理に敏感になりますよね。
今回は、冬によくあるご相談「冷え症」についてご説明したいと思います。

冷え性とは?

冬場は冷え症の方にとってはつらい季節です。ただ冬場にある程度手先や足先が冷たくなるのは、当然のことです。
ですが、この季節の外気温によって冷やされる程度ではなく、手と足の先端がかなり温まりにくく、慢性的に冷えているような感覚があるとき、また暑い夏でも体が冷たいと感じている症状などのことを、冷え症と呼びます。
これは本来はたらくべき体温調節機能がうまく機能していない状態のことです。

・寒いわけでもないのに手足が冷たい
・布団に入っても手足が冷えて眠れない
・お風呂に入ってもすぐに手足が冷えてしまう
・厚着をしても体が冷える

からだの中から冷えるため、少し体を動かしたくらいでは、なかなか温まらないので辛い症状です。
主な原因として、次のようなことが考えられています。

■自律神経の乱れ
自律神経は、体内での体温調節の役割を担っています。冷暖房が整った住環境の中では、「暑い」「寒い」の感覚が鈍くなり体温調節の機能がうまく働かなくなってしまいます。
■運動不足
運動不足は身体の代謝を低下させ、血液の循環を悪くする原因となります。また、筋肉量が少ないと体内で熱を生産することが出来ず、うまく体を温められません。
■ストレス
ストレスをため込むと、末端の血流が悪くなり血行不良を引き起こします。また緊張状態が続くと交感神経が長時間働き、自律神経のバランスが崩れてしまいます。
それにより、体温調節機能がうまく働かなくなってしまうのです。
■食生活の乱れ
冷たい飲食物や甘い物、ファストフードやスナック菓子を食べすぎること。無理な食事制限などでミネラル・ビタミン不足に陥ることで循環を悪くしています。
■頭や目の酷使
目を酷使するコンピューター関係の仕事等は脳内の活動の方が体を使うよりも多いです。
脳内が活動するには熱が集中するため、内面や下半身は冷えてきます。
他にも喫煙や便秘など原因は様々です。

さらに冷え性は、膀胱炎、過敏性腸症候群、下痢、慢性疲労、月経不順、不妊症、更年期障害、不眠、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、関節リウマチ、腰痛、肩こり、頻尿などの病気につながる可能性もありますので注意が必要です。

漢方と冷え性

「冷え性」というような病名はありませんので「冷え症の薬」というものもありません。
ただ体に何らかの異変が起こっていると考えられますし、さまざまな病気を引き起こしやすい原因のひとつととらえられています。
漢方は、症状のある部位だけにアプローチするのではなく、体全体のバランスを修正しながら自然治癒力を高め不調改善をする考え方です。
人間が本来持っている治癒力で最大限サポートしますので、つらい冷え性の症状を感じられている方は、ぜひご相談ください。

また自分で簡単にできる半身浴もおすすめです。
下半身を温める事で、上熱下寒や表熱裏寒の寒を取ることで、上部や体表面の熱を促し自然治癒力を上げることができます。
38~40度位のぬるま湯に15分~20分位に半身浴をする簡単な方法です。

冷え性のタイプ

■全身タイプ
全身型は、常に体温が低く、季節を問わず寒さを感じるタイプの冷え性です。 若者や高齢者に多く見られ、自覚症状がないケースも多く見られます。
エネルギーが低下している状態を「気」が不足している状態です。
十分な睡眠、休息を摂ることが一番重要です。
また体をあたためる食品(生姜、ねぎ類、根菜など)を上手に摂るのもよいでしょう。
漢方では、温める作用がある桂枝・芍薬・甘草・生姜・大棗、人参・乾姜・山椒などがよく処方されると考えられます。
ただおなかが弱いか弱くないかで、胃腸機能を整えたりする必要もあります。
■四肢末端タイプ
血液がドロドロだったり血管が細かったりして血行が悪い状態だと、血液が手足の末端部分まで届きません。そのため、手足の末端が冷えてしまいます。
食生活に気を付け、適度な運動、筋トレなどして筋力低下を防ぎ、冷えやすい部位を衣服で温める必要があります。
漢方では、血を補い、血の巡りをよくする生薬として当帰、芍薬、川芎(せんきゅう)、地黄などを用いることが多いでしょう。
■自律神経失調タイプ
自律神経の調節がうまくいかず、血流が悪くなり冷えを感じるタイプです。アロマなどでリラックスしたり、香りのよい食材を上手に摂るなどもおすすめです。
漢方では、陳皮、紫蘇葉、厚朴、香附子などがよく用いられます。
これらのタイプがありますが、どのタイプか実際は診断しないと難しい問題です。他の症状と併用している場合もあります。

冬の養生

冷え性はもちろんのこと、冬の時期(立冬(11月上旬)~立春(2月上旬)までの約3か月)は、冬は寒さから身を守るために生命力を体の奥に蓄えておく季節と漢方的に言われています。
身体はエネルギーの流れを内向きにして無駄な消費を抑え「気」(エネルギー)をため込もうとします。

夏のように活発に過ごしてしまうと、蓄えておくべき力を放出してしまい、寒さに熱を奪われて力を消耗してしまいます。
早寝遅起しストレスをためず、いつもの時期以上に心穏やかに過ごすようにしましょう。
また身体を温める食物や、「腎」を補う黒い食べ物を積極的に食べましょう。
海藻類、黒ゴマ、黒豆、黒きくらげ、玄米、高麗人参、やまいも、羊肉、もち米、栗、ナツメ、クルミ、杏仁、ニラ、パセリ、かぼちゃなどが良いです。

まとめ

冬における体の不調は、やはり専門家のアドバイスを受け、ご自分の体質と症状に合った処方について相談することから始めましょう。
この機会に自分の冷え症などを改善し、すこやかに冬を乗り切りしょう。
どんなお悩みでも構いませんので、まずはお気軽にお問合せください。

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