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植物の部位別活用術
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「植物の部位別活用術」を公開しました!
花も葉も根も薬になる。漢方薬に生かされる植物のさまざまな部位
漢方薬の原料となる植物は、根だけが使われていると思っていませんか。

実は漢方では、花や葉、枝、樹皮、根、さらには植物の棘に至るまで、さまざまな部位が「生薬」として活用されています。
植物は、部位によって香りや成分、役割が異なります。
先人たちは長い経験の中で、その違いを見極め、人の体を整える薬として生かしてきました。
今回は、漢方薬に使われる植物の部位と、それぞれを代表する生薬についてご紹介します。

漢方薬の原料となる「生薬」とは
漢方薬は、自然界に存在する植物や動物、鉱物などを加工した「生薬」を組み合わせて作られます。
その中でも、特に多く使われているのが植物由来の生薬です。
植物は、同じ一株であっても、花と葉、枝、根では含まれている成分や働きが異なります。
そのため漢方では、植物全体を一つの薬として扱うのではなく、必要な部位だけを選び、乾燥や加工を施して使用します。

花を薬として使う「菊花」
植物の中でも、美しい花そのものが生薬になる場合があります。
代表的なものが「菊花(きくか)」です。
菊花は、キクの花を乾燥させた生薬で、漢方では主に目の疲れや目の充血、頭痛、めまいなどに用いられます。
特に、目を使い過ぎた時や、体の上部に熱がこもっているような状態に使われることがあります。
普段は観賞用として親しまれている花にも、体を整える力があると考えられてきたのです。

葉の香りを生かした「蘇葉」
葉を使った生薬として有名なのが「蘇葉(そよう)」です。
蘇葉は、シソの葉を乾燥させたもので、特有の爽やかな香りを持っています。
漢方では、体を温めて発汗を助けるほか、気の巡りを整え、胃腸の不快感や吐き気を和らげる目的でも用いられます。
風邪のひき始めに寒気がする場合や、ストレスによって胃の働きが乱れている場合などにも使われます。
シソの香りを嗅ぐと気分がすっきりするように、その芳香も生薬としての大切な働きの一つなのです。

枝や茎にも薬効がある
植物を支える枝や茎も、漢方では重要な生薬になります。
その代表が「桂枝(けいし)」です。
桂枝は、シナモンの仲間であるケイの若い枝を乾燥させた生薬で、体を温め、血の巡りを良くする働きがあります。
風邪の初期に寒気がある場合や、冷えによって体の痛みが出ている場合などに用いられます。
また、「麻黄(まおう)」は、マオウという植物の地上茎から作られます。
一般的には節を取り除いて使用され、発汗を促したり、咳や喘鳴を鎮めたりする目的で配合されます。
有名な葛根湯にも含まれている生薬の一つです。
根の皮だけを使う「牡丹皮」
植物の根をそのまま使うだけでなく、根の皮だけを薬にする場合もあります。
その代表が「牡丹皮(ぼたんぴ)」です。
牡丹皮は、ボタンの根から外側の皮を剥ぎ取り、乾燥させた生薬です。
漢方では、血の巡りが滞った「瘀血(おけつ)」を改善し、体内にこもった熱を冷ます目的で用いられます。
特に、月経不順や月経痛など、婦人科系の不調に使われる処方に配合されることがあります。
美しい花を咲かせるボタンですが、薬として利用されるのは、目に見えない地中の根の皮なのです。
植物の棘も薬になる「釣藤鈎」
漢方で使われる植物の部位の中でも、特に意外なのが棘です。
「釣藤鈎(ちょうとうこう)」は、カギカズラという植物の鉤状に曲がった棘を乾燥させた生薬です。
漢方では、頭部にのぼった熱や興奮を鎮め、頭痛やめまい、ふらつきなどを改善する目的で用いられます。
血圧が高い方に見られる頭重感や、神経の高ぶりを伴う症状に使われることもあります。
植物が自らの体を支えたり、周囲に絡みついたりするために備えた棘が、人間の体を整える薬になるのです。
大地の力を蓄えた「葛根」
植物の生薬として、最もよく知られている部位の一つが根です。
その代表が「葛根(かっこん)」です。
葛根は、野山に生えるクズの根を乾燥させた生薬で、有名な漢方薬である葛根湯の中心となる原料です。
体を温めて発汗を促し、風邪のひき始めに見られる寒気や発熱、首筋や肩のこわばりを和らげる目的で使われます。
クズの根は太く、地中深くに伸びながら、多くの栄養を蓄えています。
そのため古くから、薬としてだけでなく、葛粉などの食材としても利用されてきました。
植物を支え、生命力を蓄える根は、漢方において特に重要な部位の一つなのです。
植物の個性を余すことなく生かす漢方の知恵
漢方薬では、植物の花や葉、枝、茎、樹皮、棘、根など、驚くほど多くの部位が生薬として利用されています。
同じ植物であっても、使う場所が変われば、体への働きも変わります。
先人たちは、植物を細かく観察し、どの部位にどのような特徴があるのかを長い年月をかけて確かめてきました。
一見すると役に立たないように思える棘や根の皮でさえも、体を整える大切な薬となります。
漢方薬は、自然の恵みを余すことなく生かし、人の健康につなげてきた知恵の結晶と言えるでしょう。
西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


