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葛根湯の正しい選び方と仕組み
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「葛根湯の正しい選び方と仕組み」を公開しました!
葛根湯は風邪なら何でも効く?正しい選び方と意外な使い方を解説
「風邪のひき始めには、とりあえず葛根湯」
そんなイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。

しかし実は、葛根湯はすべての風邪に合う万能薬ではありません。
漢方では、同じ風邪でも汗の有無や体力、寒気の強さ、首や肩のこわばりなどを見ながら、処方を使い分けます。
今回は、最も有名な漢方薬の一つである「葛根湯」がどのような状態に向いているのか、そして風邪以外ではどのように使われるのかを詳しく解説します。

葛根湯が向いているのは「表寒実証」
葛根湯が特に用いられるのは、漢方でいう「表寒実証(ひょうかんじっしょう)」に近い状態です。
これは、寒さなどの影響による風邪の初期症状が体の表面にあり、まだ比較的体力が残っている段階を指します。
体は病邪を外へ追い出そうとしていますが、体表が閉じていて、うまく汗を出せていない状態と考えます。

葛根湯を選ぶ重要なサインは2つ
葛根湯を考える時に、特に注目したいポイントがあります。
1つ目は「汗が出ていない」
悪寒や発熱があるにもかかわらず、ほとんど汗をかいていないことです。
葛根湯には発汗を助ける生薬が含まれているため、こうした「汗が出ない風邪の初期」に使われることがあります。
すでに自然に汗をかいている場合は、同じ風邪の初期でも別の処方が適することがあります。
2つ目は「首筋から背中がこわばる」
もう一つ重要なのが、首や肩、背中のこわばりです。
風邪をひいた時、
「首がガチガチに張る」
「肩から背中まで重くこわばる」
という感覚がある場合があります。
この「汗がなく、首筋がこる」という組み合わせは、葛根湯を考える大きな手がかりになります。

葛根湯は7種類の生薬からできている
葛根湯には、
・葛根
・麻黄
・桂皮
・芍薬
・甘草
・大棗
・生姜
という7種類の生薬が配合されています。
基本となっているのは「桂枝湯」という処方で、そこへ葛根と麻黄を加えた構成です。
それぞれの生薬が異なる役割を担いながら、一つの処方として働いています。

麻黄と桂皮が発汗を助ける
麻黄と桂皮は、体表を温め、発汗を促す方向に働きます。
寒気が強く、汗が出ていない状態で、体にこもった病邪を外へ追い出すことを助けます。
風邪のひき始めに葛根湯が使われる理由の一つが、この発汗作用です。
葛根が首や肩のこわばりを和らげる
処方名にもなっている「葛根」は、クズの根を乾燥させた生薬です。
葛根には、首や肩、背中などの筋肉のこわばりを和らげる方向の働きがあります。
そのため、
「寒気だけでなく首筋まで張っている」
という状態に葛根湯がよく用いられます。
汗が出ている風邪には別の処方も
同じ風邪のひき始めでも、汗をじわっとかいている場合は、葛根湯が必ずしも適しているとは限りません。
比較的体力が弱く、自然に汗が出ている場合には「桂枝湯」が選ばれることがあります。

一方、
・体力が比較的充実している
・悪寒が強い
・汗が出ない
・関節や全身の痛みが強い
といった場合には「麻黄湯」が検討されることがあります。

つまり、
「風邪だから葛根湯」
ではなく、
「どんな風邪なのか」
を見ることが大切なのです。
葛根湯は風邪以外にも使われる
葛根湯は、風邪だけに使われる漢方薬ではありません。
首や肩周辺の筋肉の緊張を和らげる特徴を利用して、
・肩こり
・頭痛
・上半身の筋肉痛や神経痛
などに用いられることがあります。
また、症状や体質が合えば、
・じんましん
・中耳炎
・扁桃炎
などの初期に処方されることもあります。
漢方では病名だけで処方を決めるのではなく、その時に現れている「証」が合っているかどうかを重視します。

葛根湯を使う時に覚えておきたいこと
葛根湯を選ぶ時の大きな目安は、
「汗が出ていない」
そして、
「首筋や背中がこわばっている」
という二つのサインです。
ただし、葛根湯には麻黄が含まれているため、体質や持病、服用中の薬によっては注意が必要な場合があります。
また、高熱が続く、息苦しさがある、強い倦怠感があるなど症状が重い場合は、漢方だけで対処しようとせず医療機関を受診することが大切です。

まとめ
葛根湯は非常に有名な漢方薬ですが、すべての風邪に適しているわけではありません。
大切なのは、
・汗が出ているか
・寒気が強いか
・首や肩がこわばっているか
・体力がどの程度あるか
といった体の状態を確認することです。
漢方薬は、病名ではなく、その人の現在の状態である「証」に合わせて選ぶことで、本来の力を発揮します。
「風邪には葛根湯」と決めつけるのではなく、自分の体がどのようなサインを出しているのかを確認することが大切なのです。

西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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