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ゾクゾク寒気と節々の痛みに【麻黄湯】
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「ゾクゾク寒気と節々の痛みに【麻黄湯】」を公開しました!
麻黄湯とは?高熱・強い悪寒・関節痛・無汗がポイントの漢方薬
インフルエンザのように突然高い熱が出て、ゾクゾクする強い寒気があり、全身の節々が激しく痛む。
それなのに、なぜか汗だけはほとんど出ない。
このような激しい風邪の初期症状に用いられる代表的な漢方薬が「麻黄湯(まおうとう)」です。
麻黄湯は、中国の古典医学書『傷寒論』に記載されている非常に歴史の古い処方で、「太陽病」の中でも「傷寒」と呼ばれる状態を代表する処方です。
今回は、麻黄湯がどのような状態に適しているのか、葛根湯や桂枝湯との違いも含めて詳しく解説します。

麻黄湯が適する「太陽傷寒」とは?
漢方では、風邪など外から入ってきた病邪が、まだ体の表面にとどまっている初期段階を「表証」と考えます。
その中でも麻黄湯が適するのは、比較的体力があり、病邪に対して体が強く抵抗している「表寒実証」の状態です。
代表的なサインは、
・強い悪寒
・発熱
・汗が出ない
・頭痛
・腰痛
・関節痛や筋肉痛
・脈が浮いて力強い
などです。
特に重要なのが「強い寒気があるのに汗が出ていない」という点です。

高熱なのに「無汗」が重要な理由
麻黄湯を考えるうえで大きなポイントとなるのが「無汗」です。
東洋医学では、寒さの邪気である「寒邪」が体表を強く閉じることで、毛穴が閉じ、汗を出せなくなっている状態と考えます。
体の中では病邪と戦うために熱が生まれているのに、その熱を外へ発散できません。
そのため、
「高熱がある」
「強い寒気がする」
「全身が痛い」
「それでも汗が出ない」
という特徴的な状態が現れます。
麻黄湯は、この閉じた体表を開き、発汗を促すことで病邪を外へ追い出す「発汗解表」を目的とした処方です。

全身の激しい痛みも麻黄湯のサイン
もう一つ注目したいのが、全身の痛みです。
麻黄湯が適する状態では、頭だけでなく、腰や背中、筋肉、関節など、体のあちこちが痛むことがあります。
「風邪をひいたら全身の節々が痛くなった」
という場合に、麻黄湯が候補となることがあるのはこのためです。
また、咳や息苦しさを伴う場合もあります。
ただし、高熱や強い全身痛、呼吸困難などはインフルエンザをはじめとする感染症でも起こります。症状が強い場合は漢方だけで判断せず、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。

麻黄湯を構成する4つの生薬
麻黄湯は、わずか4種類の生薬から構成されています。
・麻黄
・桂枝
・杏仁
・甘草
非常にシンプルな組み合わせですが、それぞれの役割が明確です。
中心となる「麻黄」は、体表を開いて発汗を促し、表にある病邪を追い出す方向に働きます。
「桂枝」は麻黄と協力して体表を温め、発汗を助けます。
この麻黄と桂枝の組み合わせによって、汗の出ていない強い表寒証に対して力強く働きかけます。
「杏仁」は、肺の働きを整えて咳や息苦しさを鎮める方向に働きます。
そして「甘草」は、それぞれの生薬の作用を調和させ、処方全体をまとめる役割を担っています。

麻黄湯・葛根湯・桂枝湯の違い
風邪のひき始めに使われる代表的な漢方薬として、麻黄湯、葛根湯、桂枝湯があります。
この3つは似ていますが、同じ状態に使うわけではありません。
麻黄湯は、
・比較的体力がある
・強い悪寒がある
・汗が出ていない
・全身の筋肉や関節が強く痛む
というタイプが一つの目安です。
葛根湯も比較的体力があり、汗が出ていない風邪の初期に用いられますが、特に「首筋から背中にかけての強いこわばり」が大きな特徴です。
一方の桂枝湯は、体力がやや低下しており、風邪の初期から自然に汗が出ている「表虚証」に用いられます。
つまり、同じ風邪の初期でも、
「汗が出ているのか」
「汗が出ていないのか」
「全身が痛むのか」
「首や背中がこわばるのか」
「体力があるのか」
といった違いによって、適する処方が変わってくるのです。

麻黄湯は誰にでも使える風邪薬ではない
麻黄湯は発汗作用の強い処方であるため、風邪をひいたからといって誰にでも適しているわけではありません。
特に、すでに大量の汗をかいている方や、体力が大きく低下している方などでは、麻黄湯が適さないことがあります。
また、麻黄にはエフェドリン類が含まれるため、動悸、不眠、発汗などが現れることがあります。高血圧や心臓病、甲状腺機能亢進症などがある方、他の薬を服用している方は、自己判断で使用せず医師や薬剤師などの専門家へ相談することが大切です。

まとめ
麻黄湯は、『傷寒論』に記載されている風邪の初期に用いられる代表的な漢方薬です。
特に、
・比較的体力がある
・急激な発熱と強い悪寒
・汗が出ていない
・全身の筋肉や関節が痛む
・咳や息苦しさを伴うことがある
といった「太陽傷寒」の状態が重要な目安となります。
同じ風邪でも、首や背中のこわばりが目立つなら葛根湯、体力が低下して自然に汗が出ているなら桂枝湯というように、漢方では細かな体の反応を見ながら処方を使い分けます。
「風邪だからこの漢方」ではなく、今の自分の体がどのような状態なのかを見極めることが、漢方薬を選ぶうえで非常に重要なのです。

西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。
この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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