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頑固な便秘とみぞおちの張りに【大柴胡湯】

「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「頑固な便秘とみぞおちの張りに【大柴胡湯】」を公開しました!

大柴胡湯とは?頑固な便秘とみぞおちの張りに使われる「攻め」の漢方薬

その頑固な便秘や、みぞおちの不快感。

もしかしたら、それは「体力がありすぎる」サインかもしれません。

今回は、柴胡剤(さいこざい)の中でも最もパワフルな処方「大柴胡湯(だいさいことう)」について解説します。

その頑固な便秘やみぞおちの不快感は体力がありすぎるサインかも。最強の攻め処方・大柴胡湯の秘密
便秘やみぞおちの不快感は「体力がありすぎる」サイン?柴胡剤最強のパワフル処方・大柴胡湯
漢方カフェの黒板メニュー:大柴胡湯の特別解説

不調=「体が弱っている」とは限りません

体の不調というと、「疲れている」「弱っている」と考えがちです。

しかし漢方では、体力やエネルギーが有り余っているからこそ起こる不調もあると考えます。

体の中で熱がこもり、出口である便が詰まってしまう。

いわば、高性能なエンジンがオーバーヒートしている状態です。

症状の原因は「虚弱」ではなく「過剰」?体内でエネルギー(熱)が溢れて渋滞している状態
エネルギー(熱)が体内にこもり、出口(便)が塞がっている実証タイプのオーバーヒート状態
不調=体が弱っているとは限らない。実証は体力という高性能エンジンがオーバーヒートしている状態

大柴胡湯は柴胡剤の中で最もパワフルな処方

大柴胡湯は、がっしりとした筋肉質で体力のある、いわゆる「実証(じっしょう)」タイプの方に用いられる漢方薬です。

結論から言うと、この処方は体内にこもった過剰な熱や炎症を鎮め、同時に便の滞りを解消する強力な作用を持っています。

上の熱を冷まし、下の滞りを出す。このダブルアクションが大柴胡湯の特徴です。

柴胡剤のヘビー級チャンピオン「大柴胡湯」。過剰な熱や炎症を鎮め、便の滞りを解消する
柴胡剤、最強の攻め手『大柴胡湯』。熱を冷まし、滞りを抜くパワフルな処方
大柴胡湯は上部の熱や炎症を冷まし、下部の滞り(便秘)を解消するダブルアクション

大柴胡湯が向いている「実証タイプ」

次のような特徴に心当たりはありませんか?

・体格ががっしりしている、筋肉質
・顔色が浅黒い、または赤ら顔
・ストレスを感じやすく、イライラしがち
・高血圧気味で、肩こりや耳鳴りがある
・基本的に便秘がち

いくつも当てはまる方は、エネルギーが有り余る実証タイプかもしれません。

大柴胡湯がおすすめの方:がっしりとした筋肉質で体力が充実しているが、体内は大渋滞の実証タイプ
実証度チェック:体格ががっしり・赤ら顔・イライラしがち・高血圧気味で肩こりや耳鳴り・便秘がち

特徴的なサイン「胸脇苦満」と「心下急」

大柴胡湯を使う大きな目安になるのが、お腹のサインです。

特に、みぞおちから脇腹にかけてパンパンに張り、押すと硬く痛む「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」。

そして、みぞおちが強く緊張して硬く張る「心下急(しんかきゅう)」という症状が大きな特徴です。

痛みのサイン:みぞおちから脇腹が張る胸脇苦満と、みぞおちの強い緊張・心下急
胸脇苦満(肋骨の下から脇腹がパンパンに張る)と心下急(みぞおちが硬く張り押すと痛む)
痛みのサインを読み解く:胸脇苦満と心下急の位置

お腹だけじゃない、全身への波及効果

こもった熱と渋滞は、お腹以外にもさまざまな不調を引き起こします。

大柴胡湯は、高血圧に伴う肩こりや耳鳴り、ストレスによるイライラや不眠といった悩みにも対応します。

熱と渋滞が引き起こす連鎖:頑固な便秘・高血圧に伴う肩こり・耳鳴り・不眠・ストレスによるイライラ
お腹だけじゃない全身への波及効果:肩こり・耳鳴り・イライラや不眠・肥満や胃炎

秘密は生薬の「足し算」と「引き算」

ではなぜ、そのような効果があるのでしょうか。

その秘密は、攻めの力に特化した生薬の組み合わせにあります。

大柴胡湯は、よく知られた「小柴胡湯(しょうさいことう)」をベースにしています。

そこから胃腸を守る人参(にんじん)や甘草(かんぞう)を抜き、代わりに便通を促す「大黄(だいおう)」、気の巡りを改善する「枳実(きじつ)」、筋肉の緊張を和らげる「芍薬(しゃくやく)」が加えられています。

「守り」の生薬を外して、「攻め」の生薬を加えた処方なのです。

処方の秘密は足し算と引き算:小柴胡湯から人参・甘草を抜き、大黄・枳実・芍薬を足す
小柴胡湯−(人参・甘草)+(大黄・枳実・芍薬)=最強の大柴胡湯
大柴胡湯のレシピ:胃腸を守る生薬を抜き、攻めに特化した生薬を加えた理由

働き1:柴胡と黄芩が上半身の熱を冷ます

柴胡(さいこ)と黄芩(おうごん)のコンビは、胸から上にこもった過剰な熱や炎症を鎮めます。

イライラやストレスによる「火」を消し、血圧の昂りを落ち着かせる働きが期待されます。

生薬の働き①冷ますチーム:柴胡と黄芩が上半身にこもった過剰な熱と炎症を鎮める
作用1:柴胡と黄芩のコンビネーションが胸から上にこもった熱を逃がす

働き2:大黄・枳実・芍薬が「出す・巡らせる・ほぐす」

枳実が停滞した「気」を動かし、芍薬がみぞおち周辺のガンコな筋肉の緊張を緩めます。

そして大黄が、行き場を失った熱を、溜まった便や老廃物と共に体の外へ出します。

これにより、上半身の熱を冷ましつつ、みぞおちの緊張をほぐし、溜まった老廃物を便と共に力強く排出するのです。

生薬の働き②出す・ほぐすチーム:大黄が出す、枳実が巡らせる、芍薬がほぐす
作用2:枳実が気の巡りを改善し、芍薬が筋肉の緊張を和らげてみぞおちの張りをほぐす
作用3:大黄が行き場を失った熱を溜まった便や老廃物と共に体外へ排出する

似た処方との使い分け

大柴胡湯を選ぶ上で最も重要なポイントは、体力と便秘の有無です。

・大柴胡湯:体力があり、みぞおちが硬く張り、便秘がち
・小柴胡湯:体力が中等度で、便秘がない
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):同じ実証向けでも、動悸や強い不安感が目立つ

似た処方である小柴胡湯は、体力が中等度で便秘がない場合に適しています。

また、同じ実証向けでも、動悸や強い不安感が目立つ場合は柴胡加竜骨牡蛎湯が選択肢となります。

大柴胡湯・小柴胡湯・柴胡加竜骨牡蛎湯の体力・便秘・特徴的なサインの比較表
似た処方との見分け方表:大柴胡湯・小柴胡湯・柴胡加竜骨牡蛎湯
大柴胡湯と小柴胡湯の違い:体力・便通・みぞおちの張り
大柴胡湯と柴胡加竜骨牡蛎湯の違い:物理的な詰まりか、精神的な昂りか
症状の強さと悩みの中心で変わる処方:小柴胡湯・大柴胡湯・柴胡加竜骨牡蛎湯

大柴胡湯を選ぶ「3つの条件」

大柴胡湯は、次の3つの条件が揃った時に、その真価を発揮します。

・体力がある
・みぞおちが硬く張る
・便秘がち

大柴胡湯が合う3つのサイン:筋肉質で体力あり・頑固な便秘がち・みぞおち周辺がパンパンに硬い
処方を選ぶ黄金の3条件:体力がある・みぞおちが硬く張る・便秘がち
体力がある・便秘がち・みぞおちが硬く張る、の3条件が揃った時に大柴胡湯の真価が発揮される

服用上の注意

大柴胡湯には、下剤の働きがある大黄が含まれています。

体力のない方や胃腸の弱い方が飲むと、お腹がゆるくなりすぎることがあります。

妊娠中・授乳中の方、ほかにお薬を飲んでいる方は、服用前に専門家にご相談ください。

症状が続く場合は医療機関での確認も大切

便秘やお腹の張りには、ほかの病気が隠れていることもあります。

特に、

・便秘が長く続いている
・血便や黒い便が出る
・体重が急に減っている
・強い腹痛がある

といった場合には、医療機関で確認することが大切です。

まとめ

大柴胡湯は、「体力があり、みぞおちが硬く張り、便秘がち」という3つの条件が揃った時に力を発揮する、柴胡剤の中でも最もパワフルな漢方薬です。

柴胡・黄芩で熱を冷まし、枳実・芍薬で緊張をほぐし、大黄で溜まったものを出す。まさに「出して、冷まして、巡らせる」処方です。

ご自身の不調がどのタイプかわからない場合は、漢方の専門家に相談して体質に合ったものを選ぶことが大切です。

出して、冷まして、巡らせる。大柴胡湯の攻めのレシピ
体からの渋滞サインを見逃さないで。心当たりがあれば漢方の専門家にご相談を

西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。

自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦(臨床歴20年)

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦(臨床歴20年)

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

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