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漢方偉人伝 王叔和(おうしゅくか)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 王叔和(おうしゅくか)」を公開しました!
王叔和 ― 張仲景の遺産を未来へ繋いだ静かな功労者
中国西晋時代、医学の流れを後世へと繋ぐ重要な役割を果たした人物がいました。
その名は、王叔和(おうしゅくか)。
彼は医学の記録を整理・復元し、診断技術や食養生に深い理解を持った、中医学の静かな礎石です。

医官の長「太医令」として仕えた沈静な人物
王叔和は、西晋時代の**兗州山陽郡高平県(現在の山東省)**に生まれ、
宮廷の医学長官「太医令」として国家の医療を担った人物です。
性格は沈着で、派手さよりも研究・記録・体系化を重んじる学者肌の医師でした。
散逸した名著を復元 ― 張仲景の知を救った人
後漢末の名医張仲景が著した『傷寒雑病論』は、
戦乱と時代の流れによって散逸・断片化していました。
王叔和はそれらの文献を丁寧に収集し、
それを**『傷寒論』『金匱要略方論』**として整理・再編集、復元・出版したのです。
これにより、張仲景の医学が後世に伝わることとなり、漢方医学の中核が守られたといっても過言ではありません。
『脈経』を著し、診断学の体系を確立
王叔和のもうひとつの偉業が、診断書として知られる**『脈経(みゃくけい)』の著作**です。
この全10巻の医学書には、以下の内容が詳細に記されています:
- 百病の根源と脈象(脈の状態)
- 実際の症例と診断基準
- 声色(声の質や顔色)や証候(症状・体質)による診断法
脈診を中心とした診断学を一冊にまとめたこの書は、
『素問』『霊枢』『難経』『傷寒論』『金匱要略』に並ぶ中医学の基本文献として、以後の中医理論に多大な影響を与えました。
食養生の重要性を説いた先見的な思想
王叔和は薬と同じくらい**「食事の管理と節制」**に重きを置いていました。
著書の中では、
「粗雑な食事は五臓六腑を害する」
「食べ過ぎは百病の元となる」
といった食養生の原則が強調されています。
これは現代における「生活習慣病」の概念にも通じるもので、
**病を予防する医学(養生)**を体系的に捉えようとする姿勢が見て取れます。
静かなる名医、その遺産は今も生きる
王叔和の名は、正史の中ではそれほど多く語られていません。
しかし、彼の記録・整理・復元の功績なくして、現代の漢方理論は存在しえませんでした。
目立つことなく、歴史の知を守り抜いた王叔和。
その学者としての信念と静かな功労は、現代医療にも通じる価値を今も放っています。
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王叔和のように、「丁寧に見極め、整える」ことを大切にするのが漢方の本質です。
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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。