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漢方偉人伝 皇甫謐(こうほひつ)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 皇甫謐(こうほひつ)」を公開しました!
皇甫謐 ― 「書淫」と呼ばれた学者が遺した鍼灸の古典
三国時代から西晋にかけて、医術・歴史・思想の分野で活躍した学者・皇甫謐(こうほひつ)。
その情熱は寝食を忘れるほどで、あらゆる学問を深く掘り下げ、
とくに鍼灸の体系化に貢献した人物として、今日の東洋医学にも大きな影響を残しています。

「書淫」と呼ばれた学問の鬼才
皇甫謐は後漢の名将・皇甫嵩の曾孫として、215年に生まれました。
一族は名門でしたが、彼自身は官職には一切就かず、
著述と学問に人生を捧げた人物です。
読書に没頭するあまり「書淫(しょいん)」と呼ばれたほどで、
その探究心はとどまるところを知りませんでした。
西晋の武帝からたびたび仕官を求められましたが、これを丁寧に辞退。
代わりに、車一杯分の書物を賜ったという逸話も残されています。
鍼灸の原典『鍼灸甲乙経』
皇甫謐の最大の医学的功績は、
**現存する鍼灸書として最古の体系書『鍼灸甲乙経(しんきゅうこういつけい)』**を著したことです。
この書は、黄帝内経や難経などの古典をもとに、
- 経絡(けいらく)と経穴(つぼ)の位置
- 鍼の操作法
- 症状と経絡の関係
などを実用的に整理した鍼灸学の基礎書です。
鍼灸の臨床理論をわかりやすく体系化したこの書物は、
現代の鍼灸師にとっても必読の一冊となっています。
医学だけでなく、歴史や人物伝にも業績
皇甫謐は医学に限らず、以下のような著作も数多く残しています:
- 『帝王世紀』:天地開闢から三国時代魏末までの王朝史
- 『高士伝』:隠者や高潔な人物の伝記
- 『列女伝』:古代女性の人物像を描いた記録
- 『玄晏春秋』『逸士伝』『年暦』なども著しましたが、大部分は散逸しています
これらの著作の一部は他の歴史書に引用される形で今に残っており、皇甫謐の学識の深さがうかがえます。
「寒食散」の服用経験とその苦しみ
皇甫謐の記録には、当時流行していた漢方薬**「寒食散」**を服用して苦しんだ経験も記されています。
この話は、近代文学の巨匠・魯迅の著作にも引用されており、
「漢方の良薬も体質に合わなければ逆効果」という教訓を後世に残しています。
現代にも通じる皇甫謐の教え
- 学問は臨床と結びつけてこそ意味がある
- 良薬も用い方次第
- 養生と節度を重んじることの大切さ
皇甫謐の姿勢は、現代の東洋医学においても通用する“基本のき”とも言える内容ばかりです。
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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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