「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝　陶弘景（とうこうけい）」を公開しました！

陶弘景 ― 医・道・文を極めた“山中宰相”の軌跡

中国の医学、道教、そして文化芸術において、多方面にわたる革新を成し遂げた天才学者がいます。
その名は、陶弘景（とうこうけい）。
道士であり、医師であり、思想家であり、書家でもあった陶弘景は、
まさに**中国古代における“知の巨人”**でした。

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幼少から才能を発揮した「道と学の申し子」

陶弘景は、10歳で道教経典に出会い、15歳にして山岳研究の著作を完成させるという早熟ぶりを見せました。
その後も天文・暦法・薬学・詩文・占いなど、あらゆる学問に精通する才人として知られるようになります。

20歳で朝廷に招かれ重職に就きましたが、わずか36歳で全ての地位を辞して山中へ。
世俗を離れ、本当の学問と修行の道に生きる決意を固めました。

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茅山で道と医を極める ― 『神農本草経』の整理と拡張

陶弘景は隠遁後、南京近郊の茅山（ぼうざん）に入山し、
本格的なフィールドワークと薬草研究を開始します。

ここで彼は、中国最古の薬学書である**『神農本草経』を再編・整理し、
掲載されていた薬物を730種類にまで拡張**しました（従来の約2倍）。

また、薬物の分類法を独自に再構築。
これが後の『新修本草』などに受け継がれ、現在の漢方薬学においても活用されています。

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「山中宰相」と呼ばれた隠者の影響力

陶弘景が山中に隠棲した後も、その名声は衰えるどころか高まる一方でした。
梁の武帝は彼を深く尊敬し、国家の重要な決定にたびたび意見を求めました。

この関係から陶弘景は「山中宰相」と呼ばれるようになります。
彼は権力を捨てながらも、道と医を通じて政治をも動かす存在だったのです。

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茅山道教の祖として弟子を育成

陶弘景は、茅山において独自の道教思想と修行体系を築き、
のちに「茅山派（ぼうざんは）」として広く知られる流派の基礎を築きました。

修行法や思想は実践的で、身体と精神の浄化、薬草による養生、気の修練を重視。
彼の教えは、後世の道士たちに深く受け継がれていきます。

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書家としても名を残した ― 「瘞鶴銘」の革新性

陶弘景は書の世界でも名を成しました。
特に有名なのが、**『瘞鶴銘（えいかくめい）』**という書碑です。

この作品は、書体の自由さ・美しさ・構成の妙において画期的とされ、
後世の多くの書家たちに大きな影響を与えました。

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44冊もの著作を残し、81歳で大往生

陶弘景は81歳まで生き、44冊にも及ぶ著作を残しました。
その幅広さは、

• 医学・薬学
• 天文・占星
• 道教・養生
• 文学・書法

にまで及び、一人の人間がこれほど多方面に影響を与えた例は極めて稀です。

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