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漢方偉人伝 林億(りんおく)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 林億(りんおく)」を公開しました!
林億──宋代に漢方医学の礎を築いた文献校訂の巨匠
宋の英才が医学の発展に尽力
北宋の真宗時代、西暦1000年前後に生まれた**林億(りん おく)**は、
宋代の医学史において特筆すべき業績を残した学者です。
若くしてその才を認められ、1034年には書判抜萃科に合格。
官僚としても高い地位に就き、最終的には**光禄卿直秘閣(五品官)**に昇進しました。
しかし彼の名を後世に残したのは、政治の世界ではなく、医学文献の整理と校訂の功績でした。

医書校正局と神農本草の校訂
1057年、北宋政府は医書校正局を設立。
これは、古代から伝わる膨大な医学書に記された誤記や理論の混乱を正す国家的プロジェクトでした。
林億はその中核を担い、まずは**「神農本草経」**の校訂に着手。
さらに「素問」「霊枢」「難経」「傷寒論」など、
現代でも重要とされる多くの古典に対して、緻密な校正作業を行いました。
数千字の誤りを正し、後世の医学に道を開く
特に注目すべきは**「黄帝内経素問」**の校訂です。
林億は、数十種類もの異なる版本を精査し、
6000字以上の誤りを修正、2000以上の注釈を加えました。
彼の校注によって「素問」はより明確で整った形となり、
後の医家や研究者たちにとっての標準テキストとなったのです。
また、彼が整理した**「脈経」は、
今日まで伝わるすべての「脈経」の祖本(基本資料)**として高く評価されています。
その手法は現代研究にも生きている
林億の校訂方法は、当時としては極めて科学的かつ体系的でした。
原典に忠実でありながら、多様な版本を比較して最も信頼できる形を導き出すという姿勢は、
現代の文献学・中医学研究の模範とされています。
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林億のように、文献に基づいた丁寧な体質診断と処方選定を大切にしています。
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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。