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漢方偉人伝 陳師文(ちんしぶん)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 陳師文(ちんしぶん)」を公開しました!
宋代に誕生した処方集『太平恵民和剤局方』──千年を超えて受け継がれる漢方の知恵
宋代の医官・陳師文が築いた画期的な医療体系
今から約1000年前、中国・宋の時代に一冊の処方集が編纂されました。
その名は『太平恵民和剤局方(たいへいけいみんわざいきょくほう)』。
この書物は単なる医学書ではなく、現代の漢方薬の処方にも深く関わる中国初の公的製薬マニュアルです。
この歴史的な書物の編纂に尽力したのが、宋の都・臨安にて薬局の管理職を務めていた医官・陳師文です。
彼は、同僚の陳承や裴宗元と協力し、朝廷からの勅命を受けて膨大な医学資料を整理・校正しました。

約800種類の処方を収録──誰にでも使いやすい医学書
『太平恵民和剤局方』は、当初「太医局方」と呼ばれていましたが、
時代を経て改訂されながら、14の医学分野に分類された約800の処方を網羅する大著へと発展しました。
- 各処方には明確な症状の説明
- 使用薬物の詳細
- 誰が読んでも理解しやすい構成
といった特長があり、医師だけでなく一般の人々にも利用可能な処方集として高く評価されました。
現代漢方に受け継がれる処方のルーツ
特筆すべきは、この書に記された処方の多くが現代の漢方薬の基礎となっている点です。
たとえば:
- 四物湯(しもつとう)
- 華蓋散(かがいさん)
- 藿香正気散(かっこうしょうきさん)
これらは現代でも広く使用されている代表的な処方であり、
『太平恵民和剤局方』の登場が現在の漢方治療の土台を形作ったと言っても過言ではありません。
『傷寒論』に次ぐ重要書と評価された理由
この処方集は、中国の医療史において**『傷寒論』に次ぐ重要な方書**と位置づけられています。
なぜなら、単なる知識の集約にとどまらず、
- 既製薬の規格化(分量や製法の統一)
- 誰でも同じ薬が使えるという医療の標準化
- 医療効率の向上
といった、現代医療にも通じる視点を先取りしていたからです。
陳師文の功績──処方だけでなく医療制度の礎を築く
陳師文の功績は、単なる処方の整理にとどまりませんでした。
彼が取り組んだのは、
- 薬の正しい使い方の普及
- 診断から処方までの流れの明確化
- 一般市民に開かれた医療の実現
こうした医療の社会的インフラ整備だったのです。
まさに彼の仕事は、今日の「標準治療」に通じる概念を1000年前に実践していたといえるでしょう。
西漢方薬店では、現代に活きる伝統を活かした処方を提案しています
西漢方薬店では、こうした歴史的処方にもとづきながら、
一人ひとりの体質と症状に合わせた漢方薬の提案・相談を行っています。
「伝統の知恵を、いまの自分の体に役立てたい」
そんな方は、ぜひオンライン漢方相談をご利用ください。
👉 自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。