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漢方偉人伝 劉昉(りゅうぼう)
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宋代の官僚医師・劉昉が遺した小児医学の金字塔『幼幼新書』
子どもたちの命を守るために──官僚が挑んだ医学編纂
中国医学の歴史において、子どもの健康を守ることに生涯を捧げた一人の官僚医師がいました。
その名は劉昉(りゅうぼう)。本名は劉旦で、後に字の「方明(ほうめい)」として知られるようになります。
彼は1124年、科挙の最高峰「進士」に合格し、宋代の官僚として政治の道を歩み始めました。
しかし、その後赴任した潭州(現在の湖南省)で小児の病苦に直面し、官職の傍らで医学研究に没頭することになります。

体系化されていなかった小児科医学──欠けていた子どもの命を守る知識
当時、小児科に関する体系的な医学書は乏しく、
実際の臨床に役立つ知識をまとめた文献が非常に限られていました。
劉昉はその状況に危機感を持ち、王歴・王湜という学者とともに、過去の医学文献から小児医学に関する記述を丁寧に収集していきます。
この作業は、まさに中国小児医学の知恵を集大成する一大プロジェクトでした。
『幼幼新書』──宋代以前の小児医学の集大成
こうして誕生したのが、全**40巻にも及ぶ大著『幼幼新書(ようようしんしょ)』**です。
この書は、子どもの病気の診断と治療に特化した画期的な医学書であり、
宋以前の多くの医学理論や処方を引用・整理しています。
特に以下の点で画期的でした:
- 小児に特有の病理や体質に基づいた診断体系
- 年齢ごとの発育と病状の違いへの理解
- 古代医学書からの引用により、現在では失われた知見も多数記録
志半ばで亡くなった劉昉、その意思を継いだ弟子たち
劉昉は最後の2巻を完成させる前に病に倒れ、1150年に亡くなりました。
しかし、弟子である**李庚(りこう)**がその後を引き継ぎ、序文を添えてこの偉業を完成させます。
『幼幼新書』はその後の中国医学、特に小児科医学に多大な影響を与え、
現代の中医学や漢方の根幹を支える文献の一つとなりました。
現代にも生きる「子どもを守る医学」の精神
劉昉のように、「子どもの命を守る」という志と行動は、
現代の私たちにとっても大きな示唆を与えてくれます。
医学の知識が未発達だった時代にあって、ひとりの官僚が医書の体系化に挑んだ姿勢は、
まさに“公”のために生きるという中医学の精神そのものでしょう。
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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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