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漢方偉人伝 陳言(ちんげん)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 陳言(ちんげん)」を公開しました!
「病を治すには三つの原因を見極めよ」――南宋の名医・陳言の革新的医学理論
脈を診るだけで、病の根を見抜いた男
12世紀の南宋時代、陳言(ちんげん)という名医が登場しました。
彼の最大の功績は、病の原因を三つに分類し、
その違いに応じて治療法を変えるという画期的な診断理論を打ち立てたことです。
その理論は**『三因極一病証方論』**という医学書にまとめられ、
後世の東アジア医学に多大な影響を与えました。

三つの「因」――病の根を分類する独自の視点
陳言は、従来の五病分類を見直し、病気の原因を以下の**三つの因(要因)**に整理しました:
① 外因(がいいん)
自然界の変化、たとえば風・寒・暑・湿などの気候や外界の影響によるもの。
現代で言えば、風邪やインフルエンザなどの感染症がこれに近いです。
② 内因(ないいん)
怒り・喜び・悲しみ・驚きなど、感情の乱れによって起こる病気。
これはまさに現代で言うところのストレス性疾患と一致します。
③ 不内外因(ふないがいいん)
暴飲暴食、過労、けが、虫刺されなど、外因でも内因でもない第三の要因。
生活習慣病や事故、自己管理に起因する症状がこれに含まれます。
治療は「原因」によって決める
陳言のすごいところは、
同じような症状でも原因によって治療を変えるべきだと強く主張した点です。
例えば、同じ「頭痛」でも、
- 外因(風寒)なら温めて発汗させる処方
- 内因(怒り)なら肝を鎮める処方
- 不内外因(過労)なら補気・養血の処方
というように、根本の原因に対して的確に処方を選ぶのが彼の診療スタイルでした。
脈診の達人としても有名
さらに特筆すべきは、陳言がこれらの原因を脈診のみで見分けられると語っていた点です。
彼の脈診の精度は非常に高く、予後の判定においても驚くほどの的中率を誇ったと伝えられています。
東アジア全域に広がった陳言の影響
陳言の著作『三因方』には、従来の医書に見られなかった独自の処方も多く記されており、
それらは後の中国・日本の医学に深い影響を与えました。
特に日本では、**室町時代の『福田方』**にも彼の理論が多数引用され、
漢方医学における診断理論の一大礎となっています。
現代に活かされる、千年前の知恵
現代でも「ストレス」「生活習慣病」「環境因子」など、病気の原因は複合的です。
まさに陳言の三因理論は、現代医学と東洋医学の架け橋ともいえる考え方です。
ご相談ください
西漢方薬店では、こうした東洋医学の深い知見を活かした漢方相談をオンラインでおこなっております。
「病の根を見極める」ことを大切に、
あなたの症状と体質に合わせた最適な処方を一緒に考えてまいります。
漢方薬は体質に合って、はじめて効果を発揮します。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。