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漢方偉人伝 張従正(ちょうじゅうせい)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 張従正(ちょうじゅうせい)」を公開しました!
を攻めて追い払う──張従正が説いた「攻邪」の医学とは?
邪気を排し、病を治す──12世紀の革新者・張従正
病とは、体に入り込んだ邪気である。だからこそ、排出すべきものだ。
このような力強い思想のもと、積極的に病を「攻める」治療法を実践した医師がいました。
12世紀、中国金王朝の時代に活躍した名医、**張従正(ちょうじゅうせい)**です。
彼は「攻邪派(こうじゃは)」の祖として知られ、後に「金元四大家」の一人として中国医学史に名を刻みました。

10代で医学を志し、20代で名医に
張従正は10代で医学を学び始め、20代にはすでにその名を各地に知られる存在となっていました。
その卓越した観察眼と判断力により、数多くの患者を救いながら、常に「病の本質は何か」を問い続けました。
「邪気を追い出せ」──三法を用いた排出治療
張従正の治療哲学の中核は、「邪気を体外に追い払うことこそが、病を治すための正攻法」という考え方でした。
彼は、邪気の種類を次のように分類しています:
- 天からの邪気(風や寒気)
- 地からの邪気(雨や露など湿気)
- 飲食からの邪気(味や性質による内的影響)
これらの邪気は体にとって**「不要なもの」「異物」**であるため、
その排出を目的とした三つの方法を提唱しました。
張従正の三法(さんぽう):
- 発汗法:汗をかかせて外邪を追い出す
- 嘔吐法:上から吐き出すことで内邪を排出
- 下法(げほう):便通を促し、体内の汚れを排出する
これらを症状や体質に応じて使い分け、積極的かつ的確に病を攻めるという、
それまでの「守りの医療」とは一線を画すアプローチを確立しました。
実地に根ざした医学書『儒門事親』
張従正は、数十もの地域を巡り歩きながら、その土地の風土や季節、患者の体質を観察し、
一人ひとりに合った処方を試みました。
その豊富な経験は『儒門事親』という書にまとめられています。
この書では「攻めの医療」が軸に据えられつつも、
一律な方法ではなく、個別性を重視した柔軟な治療指針が提示されています。
この点において、張従正の医術は単なる「激しい排出療法」ではなく、
観察と判断に基づく理論的な医学でもありました。
張従正の思想が現代に与えるヒント
現代でも、体に不要なもの(老廃物・過剰な水分・炎症)を「出す」ことが重視される場面があります。
漢方医学においても、発汗・利尿・通便などを用いて体内環境を整える治療法は重要な柱の一つです。
張従正の「攻めの医療」は、
現代の漢方治療においても大いに参考となる思想であり、
体の中から邪を追い払い、回復へ導くという本質は今も生き続けています。
ご自身の体質に合わせた漢方治療を
漢方薬は、体質に合ってこそ本当の効果を発揮します。
西漢方薬店では、オンラインでの個別漢方相談を行っております。
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お悩みのある方はぜひ一度ご相談ください。
経験豊富な専門家が、あなたの体質と症状に合わせた処方を提案いたします。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


